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毎晩眺めた『インカレ』の4文字…清水内定の流経大GK新井栄聡、骨折乗り越え涙のV!

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試合終了後に涙があふれた流通経済大GK新井栄聡(4年=西武台高/清水内定)

[12.24 全日本大学選手権決勝 流通経済大5-1法政大 浦和駒場スタジアム]

 寮のベッドで毎晩眺めた「インカレ」の4文字――。今季途中から左手首骨折で離脱していた流通経済大GK新井栄聡(4年=西武台高/清水内定)は、これまで復帰目標としてきた大学生活最後の大舞台で安定したプレーを披露。見事に3年ぶり2回目の優勝に貢献し、次のステージに弾みをつけた。

 関東大学リーグ後期が始まったばかりの9月、新井はトレーニング中に左手首を骨折。シーズン当初からGKオビ・パウエル・オビンナ(2年=JFAアカデミー福島)に正GKの座を奪われていたが、メンバー表からも名前が消えることになった。「その瞬間にはインカレのことしか頭になくて、紙に『インカレ』って文字を書いて、毎日見つめるようにした」。悔しい離脱ではあったが、冬に控えた全日本大学選手権を勝負の場所と定めた。

 そうして迎えた12月16日、新井はインカレ初戦となったIPU・環太平洋大戦で先発に名を連ねる。それはオビがU-20日本代表のタイ遠征で不在だった影響でもあったが、つかんだチャンスは逃さない。復帰初戦を無失点で飾ると、オビが戻ってきた準々決勝の福岡大戦でもスタメン入り。そのまま決勝戦までゴールマウスを守り切り、大学生活を最高の形で終えた。

「今日のパフォーマンスが一番良かった。ハイボールの読みとか、足運びという武器を自分で出せた」。1失点で終えた一戦をそう振り返ると、優勝が決まった直後には涙もあふれ出し、チームメートと抱き合って歓喜のひととき。苦難を乗り越えてきただけに、「失うモノはないし、インカレでは楽しもうって決めていたので、楽しむことができた」と感慨もひとしおだった。

 来季はJ1残留を果たした清水に入団し、Jリーグのゴールマウスを守ることになる。「自分の中の物差しでは、GKが最もプロとアマチュアの差があるポジション」と立ち位置を真摯に認識。「目が慣れているのも、ボールに慣れているのもあるけど、自分たちがはじくようなボールもプロの人はキャッチする」と高いハードルを課してトレーニングを続けているという。

 目標と定める選手は「自分と同じくらいの身長で、身体能力がめちゃくちゃあるわけじゃないけど、技術がすごくあって、人間としても勉強になる」というGK六反勇治(清水)。もちろん、ただ仰ぎ見るだけでなく、「1年目から試合に出ないというのはダメなので、チャレンジするつもりでしがみついていきたい」と果敢に競争を挑んでいく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
●第66回全日本大学選手権(インカレ)特集

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