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兄「一番期待している」弟「結果で返せるように」。桐生一は宏武と渉の田中兄弟がともに1G1Aで逆転勝ちに貢献!

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桐生一高は兄・MF田中宏武(左)と弟・MF田中渉(右)の田中兄弟がともに1ゴール1アシストの活躍!

[12.25 高円宮杯プリンスリーグ関東参入戦決勝戦 桐生一高 4-3 東海大相模高 埼玉第3G]

 桐生一高(群馬)はプリンスリーグ関東昇格を懸けた一戦でMF田中宏武(3年)とMF田中渉(2年)の田中兄弟がゴール競演。兄の高校ラストゲームを最高の白星で飾った。

 まずは前半3分、「弟のこと見ていたし、信じていたので、ここしかないと思って出しました」という田中宏からのラストパスを受けた田中渉が、「良いパスが来て、タッチが上手く行ったので、打った時には入ったと感触的に分かった」という一撃を決めて先制点を奪う。

 その後、逆転されて前半は1-3で終了。それでも後半8分、田中宏が「公式戦で自分はほとんど点が獲れていなかったので、絶対に点取ってやると思っていた。切り返したタイミングで中を見て、あそこそしかないと思ったので、いい感じで打てたと思います」という右足ミドルを決めて1点差とする。

 そして同点に追いついて迎えた後半37分、田中渉のスルーパスからFW小澤謙登(2年)が決勝ゴールを決めて逆転勝ち。田中兄弟はともに1ゴール1アシストの活躍を見せてプリンスリーグ関東昇格に大きく貢献した。

 兄が小学3年生、弟が小学2年生の時にともに始めたというサッカー。「きょう引退となるのも分かっていたので怪我してもいい」という東海大相模高戦含めて、この参入戦2試合、感動的な動きでチームを牽引した兄は大学でサッカーを続け、弟は注目の技巧派MFとして来シーズンに臨む。

 田中宏が「弟にはやっぱり選手権出てもらいたいですし、自分たちが(プリンスリーグに)上げられていい経験ができると思う。来年は中心になってくれると思うし、そういう意味では後輩たちには期待していますけれども一番期待している。自分が残せたものを来年上手く活かせてもらえればいい」と語れば、田中渉は「(兄は)パス出せば何かしてくれるという安心感がありましたし、頼りになりました。(桐生一に)入った時から色々助けてもらったりしていた。結果で返せるように、来年は今年の結果を全部超えて、全国出られるようにしたいです」と兄の前で宣言した。

 試合では兄は誰よりも弟に強く要求し、「言い返すタイプではないのでムカつきながらも聞いていました」という弟も徐々に自覚を高めて、仕事をする回数を増やしていった。選手権予選で準優勝に終わるなど、なかなかチームの結果が出なかったが、その兄弟が力を合わせて勝ち取ったプリンスリーグ関東への切符。卒業する田中宏からの厳しい指摘は減ることになるが、田中渉は新エースとして桐生一を牽引してプリンスリーグ関東残留、そして全国出場へ導く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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