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劇的勝利にも悔し涙…鳥栖U-15、2年生ドリブラー中村尚輝「プレーに満足できなかった」

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コントロールミスに悔しさをあらわにするサガン鳥栖U-15MF中村尚輝(2年)

[12.26 高円宮杯全日本ユース(U-15)準決勝 清水0-1鳥栖 味フィ西]

 劇的勝利で決勝進出が決まった直後、14歳の目からあふれ出ていたのは悔し涙だった。鳥栖U-15MF中村尚輝(2年)は「僕の中ではプレーに満足できなかった。悔しいという気持ちが100の涙です」ときっぱりと言い放った。

「小学校の頃から負けず嫌いだった」と自らの性格を話す中村は清水エスパルスジュニアユースとの準決勝、2トップの一角で先発出場。「ドリブルは相手が2枚3枚と来ても取られない自信がある」という鋭い突破で、鳥栖U-15の攻撃を牽引した。

 そんな中村のハイライトは後半35分、味方のスローインを受けて左サイドを抜けると、「最初は相手に当ててCKにしようと思ったんですけど、思ったより相手が寄せてこなかった」と縦へと突破。相手DFを一気に抜き去って、ゴールライン際にフリーで抜け出した。

 ゴール前の様子は、間接視野でしっかりと捉えていた。「自分が1枚抜いた後、禅(FW田中禅、3年)にパスしようと思ったんですけど、相手が禅に2枚ついていた。それならもう1枚抜いて、ボランチがニアに入れる時間をつくったほうがいいと考えて、しかける判断に変えた」。

 しかし、もう一段階ギアを上げようとダブルタッチを試みた時にコントロールミス。ボールはゴールラインに流れ、プレーを自ら切ってしまった。「あそこは抜いたらゴールだったので行きたかったんですけど、そういうところも調子の悪さが出ました」。

 そうして肩を落とした直後の後半38分、エースの田中がヘディングから決勝弾。スローインを受けた自身のプレーが起点とはなったが、「今日は禅に救われたという思いでいっぱいです」と悔しそうに話した。

 そんなギラギラしたキャラクターを裏付けるかのように、目標とする選手はトップチームのFW小野裕二、夏にドイツへ巣立って行ったFW鎌田大地(フランクフルト)の2人だという。「試合を見た次の日には真似をするくらい、刺激を受けながらサッカーをさせてもらっている」。そんな素直な憧れも口にしていた。

 FC東京U-15深川との決勝は、自身のステップアップも懸けた一戦となる。「今は中2なんですけど、もう一つ上の日本代表を目指している。決勝の相手にはその代表選手もいるので、劣らないプレーをしたい」。今大会8得点を挙げているU-15日本代表FW青木友佑(3年)をプレーで上回り、クラブを2冠に導くことが使命だ。

(取材・文 竹内達也)
●高円宮杯第29回全日本ユース(U-15)選手権特集ページ

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