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「“好きだから”という原点」元日本代表DF岩政が贈る、プロでも学生でもないプレーヤーへのエール

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DF岩政大樹(東京ユナイテッドFC)が移籍後の1年を語る

 ゲキサカにて期間限定で無料配信中の話題の小説『それ自体が奇跡』。30歳、結婚3年目、共働きの夫婦が主人公。夫は妻に相談せずにJリーグを目指す東京都リーグ所属クラブに加入し、本気のサッカーを開始。妻は夫ではない男に惹かれていく。初めて訪れる危機を二人は乗り越えられるのか!?夢を追う全ての男女に贈る一冊。(●ゲキサカ内で作品を読む)
 本作品の取材先ともなった東京ユナイテッドFC(関東1部)に所属する元日本代表DF岩政大樹。鹿島アントラーズ、BECテロ・サーサナFC(タイ)、ファジアーノ岡山と渡り歩き、周囲を驚かせた関東一部リーグへの移籍。サッカーとビジネスの両立、初めての社会人サッカーなど、アマチュアカテゴリーで過ごした1年を振り返り、プロでも学生でもないプレーヤーにエールを贈る。


―「それ自体が奇跡」を読んでいかがでしたか。
 半日くらいで読みました。一気に読めちゃいましたね。サッカーを絡めてはいますけど、とある人の人生、そのストーリーがある。読んでいて楽しかった。当然自分とも重なる部分がありました。

―東京ユナイテッドFCのチームメイトととも似た境遇の主人公が登場します。
 環境も考えていることも似ている部分がありますね。
社会人サッカーの選手のことをよく取材し、想像して書いていらっしゃる。

―学生でもない、プロでもない環境のプレーヤーが葛藤する様子が描かれています。そのような環境でプレーすることをどう考えますか。
 サッカーをやるって最初は好きってだけだったり、上手くなりたかっただけだったものが、途中から夢でなきゃいけないみたいになる。将来成功するためのものになってしまう。
本来は好きだったからやっているだけで、大人になっても変える必要はないのに、プロサッカー選手になれなきゃやめなければならない空気がある。
 社会人サッカー(アマチュアカテゴリー)でサッカーするってある意味、何のためでもないけど、好きだからっていう原点の感情であって、自然なんじゃないかって思うようになりました。
 この作品は好きだからサッカーをやるということの背中を押してくださる作品ですね。


―関東1部リーグの東京ユナイテッドFCに移籍した理由は?
 まずは単純にオファーがあったから。
 プロは試合のためにベストを尽くします。そのために1週間を捧げます。それはとても幸せなのですが、サッカー選手としての人生しか歩めないから、もういいかなって。社会人しかいないチームで、試合以外は仕事をしてバタバタする生活を2年、3年続けないと何も見えてこないかなと。
 サッカー選手を辞めたときに突然次のステップに行くのが嫌だったんです。初心者で解説者やったり、サッカースクールやるのは難しい気がしたので、プレーヤーをやりながら準備を始めたかった。ファーストキャリア、セカンドキャリアって決める必要はないと奥さんと話して気づきましたね。サッカーやりながら働くことを考えて、移籍先を考えました。その構想が先でした。

―奥様は移籍について何かおっしゃいましたか。
 僕の決断に対しては「ほんとにいいの?」と聞かれることは多いですね
プロ選手ってお金やカテゴリーで判断されると思うんですけど、僕の決断ってそれらを度外視して選んでいるので、奥さんからすればちゃんと考えさせたいのでしょうね(笑)。
冷静に考えると自分でもこれでいいのか分からないときもありますけどね。

―シーズンを振り返って、当初の想像とのギャップはありましたか。
 想定内でした。僕はクラブをプロにするために呼ばれて、メンバーはひとりもプロはいません。プロでないメンバーをどう勝たせるか考えなきゃいけないというのは、プロでは考えなかったことです。関東1部でも上位チームは毎日練習ができる環境があり、毎日練習ができない東京ユナイテッドFCとは差が出てしまう。そのギャップをどう埋めるか。埋めるために、どのくらいの熱量で接したらいいのか。プロで経験できなかった貴重な経験です。


―Jリーグを目指すアマチュアカテゴリのクラブがたくさん出てきたことはどう思いますか。
 一から作るのが楽しいんだろうなって思います。合理性はさておき、この小説の主人公みたいにひたすらサッカーが好きな人が、最終的に何やりたいかって言われたら、サッカークラブをつくりたいというのがロマンとしてあるんだろうなと感じますね。僕はまだそこに至ってないけど、サッカー人だったらいつかやりたくなるのかもしれないですね。

―最後に、高校、大学を卒業し、プロではないサッカーを続けているゲキサカ読者にメッセージをお願いします。

 日本のサッカーでは大学までの22年間でサッカーをすることがどういうことか、そんなに教えられていない、そこからでもサッカーはうまくなるのに、望まなくなってしまう。欲求を失わないでほしい。22歳までがすべてではない。試合中に考えなきゃいけないこと、やれることはいっぱいあるし、こうやれ、と言われたことをやるだけで終わっている選手が多い。僕は22歳からたくさんサッカーを知りましたし、たくさん上手くなりましたし、まだまだできることはたくさんあります。チームで言っているのは「90分をデザインしろ」ということ。チームメイトを動かすこと、自分で考えること、がサッカーだけでなくて社会でも活躍できる要素になることは間違いないので、それは忘れないでほしいですね。



<書籍概要>


■書名:それ自体が奇跡
■著者:小野寺史宜
■発行日:2018年1月9日(火)
■版型:四六判・272ページ
■価格:電子版 500円(税別・期間限定)、単行本 1,450円(税別)
■発行元:講談社
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