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なでしこ宇津木瑠美、女性がアスリートとしてスポーツを続けるということ

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『The Athletic Woman』の代表格であるMF宇津木瑠美

 『The Athletic Woman』。スポーツを通じて女性を豊かにする。日本女子代表(なでしこジャパン)で先日、通算100試合出場の節目を迎えたMF宇津木瑠美(29)は、その代表格と言ってもいい選手だ。

―女性がアスリートとしてスポーツを続けることの難しさはいろいろあると思います。例えば女性の美への追及。宇津木選手にとって体を鍛えることとは?
「女性の魅力の一つでもある体のラインを維持するという意味では、トレーニングをすることは重要だと思います。私たちにはアスリートだからこその悩みはありますけど、自分としては筋肉をより鍛えることでモチベーションにもなるし、男性とは違う筋肉の付き方もするので楽しい。でもそれはアスリートだけではないとは思いますし、サッカーをする、しないに関わらず、女性は良い体を維持したいと思っているので、浸透していくのはいい流れなのかなと思います」

―アンダーアーマーは美を追求するという意味でも特化しているブランドだと思います。女子チームのユニフォームデザインの可愛さは、ゲキサカ編集部でも話題になったほどです。
「私が体のラインが出るタイトな服が好きというのもありますが、女性らしさを強調することで自覚も持っていますし、いいウェアを着られる自分でいたいというのが常にある。着たい服に合った自分でいられるというか、ちょっと上を行って鍛えていけるようにアンダーアーマーの服は作られているので、そういった意味でモチベーションになります。アンダーアーマーのスパイクも今年で3年目。すごく軽いのが印象的です。私は足が細身で、日本の他モデルは幅が広かったりしますけど、すごく足にフォットするので、気に入っています」

―オフの期間には子供たちと触れ合うことも多い。スポーツを続ける難しさという点では思春期の女の子がスポーツを続けることの難しさを感じることもあると思う。
「たしかに真剣に運動するということを、恥ずかしいと感じる子が多い時期かもしれない。ただいろんな精神のバランスとかもあるので無理はしてほしくはないですが、20代、30代といい女性になるためにも、そこはしっかり自分にあったトレーニングを積み重ねていくことが大事なのかなと思います」

―30代になれば結婚も視野に入ってくる選手も多く、女性は出産を経験する可能性もある。なでしこジャパンの選手たちでそういった話をすることはありますか?
「阪口(夢穂)とか鮫島(彩)とかになるのですが、30代なのでそろそろ結婚を考える年齢だよねという話はします。でもそういう切り口で入っても、結果的にサッカーの話になってしまう。それだけ今はサッカーに夢中になっているのだと思います。またアメリカでは出産して戻ってくる選手がいる。何が正解ということは絶対にないですけど、自分に合ったことをするのが、一番いいのかなと思います」


21歳で海外に飛び出した宇津木。海外で得た経験とは――

―宇津木選手は2010年から海外に生活の拠点を移しています。日本に還元できると考えていることはありますか?
「海外生活で学ぶことは本当に多いです。でもそれを日本にそのまま反映させればいいかというと、正直難しい。考え方や組織の在り方から日本とアメリカでは違うし、もちろん欧州でもそう。海外の選手から学んだことをそのまま反映させるのではなく、シフトチェンジしてやっていかないといけない。そこは自分自身に試されているところなのかなと思います」

―サッカーをやっていて欧米の選手との違いを感じることはありますか?
「欧州の選手は目標の設定が高ければ高いほど力を発揮する。例えばこれに勝ったらすごいボーナスが出るぞという風にすると今まで以上に頑張ります。アメリカの選手たちは教えなくても一人ひとりがエンターテイナーとしてパフォーマンスを発揮できる。大きい試合になればなるほど、それを発揮します」

―ご自身の性格はどちらが合っている?
「自分がサッカーを辞めてノラリクラリ暮らしたいなと思うのは欧州ですけど、自分がパフォーマーとして形になるものにしたいという意味ではアメリカの環境っていうのは合っている。新しい自分に出会うとか、新しいものを発見したいといったことを見つけやすい環境がアメリカにはあるのかなと思います」

―もともと幼少期から海外志向が強かった?
「後付けですけど、結果的にそうだったのかなと思います。小さい頃からいろんな物事に何でだろうと考えることが多く、合わないと感じることの多かったので。振り返ると、日本にいるからだという自覚はもちろんなかったですけど、何でもっとこうしたらいいのに、みたいなことを考えながら過ごす子供時代でした」

―男子選手だけでなく女子選手もどんどん世界に出るべき。
「成功する、しないではなくて、知らないものを知って損はしないぞということだと思います。人間的にというか、人間の厚みが出るというか。結果出す、出さないは置いておいて、知らないことを知ることは単純にいいことなんじゃないかなと思います」

●宇津木瑠美
1988年12月5日生まれ、神奈川県川崎市出身の29歳。若くして頭角を現し、2005年には16歳でなでしこジャパンデビュー。2008年の北京五輪も経験。2011年W杯で世界一を経験すると、15年W杯では7試合のうち6試合にフル出場し準優勝。自身にとっては最も飛躍を遂げる大会になった。クラブチームレベルでは、2010年、21歳の時に日テレ・ベレーザからフランスのモンペリエに移籍。そして16年からはシアトル・レインに移籍し、アメリカに活躍の舞台を移している。

(取材・文 児玉幸洋)

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