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ユース取材ライター陣が推薦する「選手権注目の11傑」vol.4

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安藤氏が注目するFW若林龍(桐蔭学園高)

特集企画「ユース取材ライター陣が推薦する『全国高校選手権注目の11傑』」

 ゲキサカでは12月30日に開幕する第96回全国高校サッカー選手権の注目選手を大特集。ユース年代を主に取材するライター陣に今年も選手権注目の11選手、「選手権注目の11傑」を紹介してもらいます。第4回は“ユース教授”ことサッカージャーナリストの安藤隆人氏による11名です。

安藤隆人氏「今年も残すところ後僅か。今年度の高校サッカーを締めくくる、第96回全国高校サッカー選手権大会のシーズンがやって来た。恒例の11傑では、この大会を彩る選手達の中で、今回は1、2年生の場合は『来年、再来年プロに行きそうな選手』、3年生の場合は『大卒でプロに行きそうな選手』の11名を選ばせていただきました。未来のことは分かりませんし、当然これからの彼らの努力次第ということには間違いありません。だからこそ、ここで挙げたからと言って、『太鼓判』という訳ではありません。選んだ選手達には「真のプロフェッショナルの能力とは、持っている自分の能力を最大限の努力で磨いていく力」であることメッセージとして送りたいと思います。
今回のフォーメーションは中盤が逆三角形の【4-3-3】にしたいと思います」

以下、安藤氏が注目する11名
GK伊藤元太(松山工高、2年)
「現代GKに必要な高さを持つ、ポテンシャルの大きなGK。188cmの高さと高い身体能力を誇り、ハイボールの強さとシュートストップの上手さが光るGK。まだ荒削りな部分があり、GKとしてやるべきことは沢山ある。しかし、それ以上に将来性を持っており、今後の伸びが楽しみな存在だ」

DF沼田皇海(尚志高、2年)
「皇海と書いて『すかい』と読む。高性能な左足を持つ左サイドバック。綺麗なフォームから繰り出す左足のクロスと、するするっと駆け上がって行くオーバーラップが魅力。プレースキックも魅力で、彼の描く放物線は美しい。個人的にさらに化ける能力を持っていると感じており、今大会がそのきっかけとなって欲しい」

DF関川郁万(流通経済大柏高、2年)
「これまで僕の11傑の常連となっている男だ。彼の空中戦の強さと対人の強さ、そして相手に向かって行けるメンタリティーは、11傑を組む上で欠かせない存在。相手のエースを封じる姿は、鬼気迫るものがあり、まさに植田直通を彷彿させる」

DF高嶋修也(明秀日立高、2年)
「181cmの高さを持ち、空中戦の強さと上手さを兼ね揃えたCB。セットプレーにおける彼のヘッドは大きな武器で、守備面でも読みがよく、鋭い出足で相手にプレスを仕掛ける。1年時から主軸を張っており、リーダーシップも十分にあり、安定感がさらに高まれば、今後より注目の存在となって行く存在になるだろう。関川とのコンビでどういう化学反応を示すか、一度観てみたい」

DF宮本優太(流通経済大柏高、3年)
「チームではアンカーのポジションをこなすが、彼には右サイドバックとしても高い適性能力がある。広い視野と優れたバランス感覚を持ち、サイドバックの位置から的確なポジショニングと抜群の攻め上がりのタイミングで攻撃に絡んで行く。精神的にも大人で、周りを鼓舞する声とコーチングの質の高さも、チームのバランスを支えている。卒業後は流通経済大に進むが、彼の起点が利くプレーは、チーム全体に安定感をもたらすだけに、1年時からの出番も十分あるし、卒業後はプロ入りをして欲しいタレントだ」

MF佐野海舟(米子北高、2年)
「アンカーのポジションは豊富な運動量で広範囲をカバーすることが出来、かつボール奪取能力と展開力に秀でた彼が一番の適任だ。個性が強い選手が揃うこのフォーメーションの中で彼が攻守を繋ぐ存在として、持っている能力を発揮した時、かなり円滑なサッカーが展開できるだろう」

MF大塚尋斗(矢板中央高、2年)
「ここは富山一の高縁海(3年)、昌平の渋屋航平(2年)と迷ったが、プリンスリーグ関東参入戦での彼のプレーを見て、トップ下のポジションに置いてみたいと思えたので彼に決めた。チームではFWをやっており、181cmの高さと正確なトラップからのポストプレーで周りのドリブラーを巧みに行かして行くスタイルだが、足下の技術も高く、前向きで飛び出して行ける攻撃力を持っている。1トップの榎本はポストプレーだけでなく、裏への飛び出しや運ぶことも出来る選手だけに、彼とポジションを入れ替わることで、常に前線に起点を置けることが、この布陣において大きなメリットとなる」

MF熊澤和希(流通経済大柏高、2年)
「攻撃的なポジションならどこでもこなせる彼のサッカーセンスは、この布陣の中で欠かせない。どのポジションに置いても、正確なボールコントロールとしっかりと視野を確保できる、背筋が伸びた姿勢で状況を読み取って、適したプレーを選択できる。ここでは2シャドーの一角として、パスセンスを発揮しつつ、フィニッシャーとして機能して欲しい」

FW若林龍(桐蔭学園高、2年)
「豊富なアイデアを具現化させる魅惑のファーストタッチで、局面を次々と打開して行くサイドアタッカー。チームではサイドハーフだが、ここでは左ウィングとして起用をしたい。彼の良さは中でも外でも状況に応じてプレーの選択肢を引き出せるところで、彼の機転が左サイドにリズムの変化をもたらしてくれる。熊澤とポジションを入れ替わったり、中田を上げることで、インサイドハーフとしてもプレーをして欲しい」

FW榎本樹(前橋育英高、2年)
「抜群の決定力と安定したポストプレーを見せる万能型ストライカー。186cmの高さと上手さは前線で際立つ存在であり、周りを上手く使いながら、最後は自分が良い形でシュートに持って行けるパターンを持っているのが強み。ハイセンスなハイタワーストライカーは、今大会で主役となれるか」

FW渡邊颯太(草津東高、1年)
「チームでは1トップを張るが、ここでは右ウィングに置きたい。というのも、彼の動き出しのセンスは非常に高く、DFラインとの駆け引きは抜群。視野を確保しやすいサイドに置くことで、よりこの駆け引きの妙が生きるのではないかと考えた。スピード、ボールコントロール、ワンタッチプレーも上手く、このメンバーの中に入れても遜色は無いのではないだろうか」

安藤氏注目11傑の布陣図

若林    榎本    渡邊
   熊澤    大塚
      佐野
中田  関川  高嶋 宮本優
      伊藤

執筆者紹介:安藤隆人
 日本列島、世界各国を放浪するサッカージャーナリスト。育成年代を精力的に取材する“ユース教授”。主な著書は『走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生』『壁を越えろ 走り続ける才能たち』(いずれも実業之日本社)、『高校サッカー聖地物語』(講談社)など
●【特設】高校選手権2017

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