[MOM2370]佐賀東FW中里知己(3年)_空手仕込みの“野生の嗅覚”で開幕弾
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.30 全国高校選手権開幕戦 関東一高0-2佐賀東高 駒沢]
迷いなくニアサイドに走り込んだ。佐賀東高(佐賀)はスコアレスで折り返した後半6分、右サイドバックをオーバーラップしてきたDF山田昭汰(3年)のクロスをFW中里知己(3年)がヘディングで叩きつけ、先制のゴールネットを揺らした。
「サイドバックの山田が最高のクロスを上げてくれて、自分はヘディングで流し込むだけだった」。前回大会の初戦となった2回戦・鵬学園戦(4-0)でも2得点を挙げている中里は2大会連続のゴール。1万2195人の観衆の前で決めた開幕弾に「自分はFWなので、点を取ることに集中していた。大会の第1号ゴールということで自信も持てた」と胸を張った。
蒲原晶昭監督のゲキに応えた。前半6分にチームのファーストシュートを打った中里は同32分にもFKのサインプレーから決定機を迎えたが、シュートはクロスバーを越えていた。ハーフタイムにトイレに行くと、蒲原監督とバッタリ遭遇。「お前、2点外してるぞ。ここで決めるのはだれかな」とハッパをかけられ、「自分が決めます」と宣言した。
蒲原監督は中里について「身体能力が高い。技術というより、ゴールに向かう部分で動物的に普通の人ではないような瞬発力を見せる。『クロスにしっかり入っていこう』と話していて、その良さが出た」と目を細める。身体能力の高さ、野生の嗅覚は小学生時代に取り組んでいた空手の経験が原点にある。
ジャッキー・チェンにあこがれていたという小学校3年時、両親から「地元の空手道場にジャッキー・チェンがいる」と言われ、空手を始めたのがきっかけだった。「そこの道場の先生がジャッキー・チェンに似ていて……。最初は本当に信じていた」と笑う。大会で優勝したら空手はやめると両親と約束し、小学校5年時に優勝。「きれいな終わり方かな」と空手はその時点でやめ、中学からサッカーを始めた。
サッカーか野球かで迷っていたという中里だが、先輩からの勧めで三日月中でサッカー部に入部。「最初はルールも分からなくて、一人で夜遅くまで練習していた」というが、人一倍の努力を重ね、キャリア6年目ながら全国大会で2年連続ゴールを決めるなど、佐賀の名門でエースを担うまでになった。同じようにサッカーを始めるのが遅かった後輩たちに対し、「中学からサッカーを始めても、がんばればここまで来れるぞと。負けるなというメッセージも込めてプレーしている」と、その姿は全員の模範にもなっている。
前回大会は中里の2ゴールなどで鵬学園に4-0で快勝し、初の2回戦突破を果たしたが、続く3回戦で滝川二に0-5の大敗。自分自身、「何もできなかった」と無得点に終わった。来年1月2日の2回戦では北陸(福井)と日章学園(宮崎)の勝者と対戦する。2大会連続の16強進出、そして初の8強へ、「チームのエースストライカーとしてどんどん点を取って、チームを勝たせる選手になりたい」と力強く誓った。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 西山紘平)
●【特設】高校選手権2017
[12.30 全国高校選手権開幕戦 関東一高0-2佐賀東高 駒沢]
迷いなくニアサイドに走り込んだ。佐賀東高(佐賀)はスコアレスで折り返した後半6分、右サイドバックをオーバーラップしてきたDF山田昭汰(3年)のクロスをFW中里知己(3年)がヘディングで叩きつけ、先制のゴールネットを揺らした。
「サイドバックの山田が最高のクロスを上げてくれて、自分はヘディングで流し込むだけだった」。前回大会の初戦となった2回戦・鵬学園戦(4-0)でも2得点を挙げている中里は2大会連続のゴール。1万2195人の観衆の前で決めた開幕弾に「自分はFWなので、点を取ることに集中していた。大会の第1号ゴールということで自信も持てた」と胸を張った。
蒲原晶昭監督のゲキに応えた。前半6分にチームのファーストシュートを打った中里は同32分にもFKのサインプレーから決定機を迎えたが、シュートはクロスバーを越えていた。ハーフタイムにトイレに行くと、蒲原監督とバッタリ遭遇。「お前、2点外してるぞ。ここで決めるのはだれかな」とハッパをかけられ、「自分が決めます」と宣言した。
蒲原監督は中里について「身体能力が高い。技術というより、ゴールに向かう部分で動物的に普通の人ではないような瞬発力を見せる。『クロスにしっかり入っていこう』と話していて、その良さが出た」と目を細める。身体能力の高さ、野生の嗅覚は小学生時代に取り組んでいた空手の経験が原点にある。
ジャッキー・チェンにあこがれていたという小学校3年時、両親から「地元の空手道場にジャッキー・チェンがいる」と言われ、空手を始めたのがきっかけだった。「そこの道場の先生がジャッキー・チェンに似ていて……。最初は本当に信じていた」と笑う。大会で優勝したら空手はやめると両親と約束し、小学校5年時に優勝。「きれいな終わり方かな」と空手はその時点でやめ、中学からサッカーを始めた。
サッカーか野球かで迷っていたという中里だが、先輩からの勧めで三日月中でサッカー部に入部。「最初はルールも分からなくて、一人で夜遅くまで練習していた」というが、人一倍の努力を重ね、キャリア6年目ながら全国大会で2年連続ゴールを決めるなど、佐賀の名門でエースを担うまでになった。同じようにサッカーを始めるのが遅かった後輩たちに対し、「中学からサッカーを始めても、がんばればここまで来れるぞと。負けるなというメッセージも込めてプレーしている」と、その姿は全員の模範にもなっている。
前回大会は中里の2ゴールなどで鵬学園に4-0で快勝し、初の2回戦突破を果たしたが、続く3回戦で滝川二に0-5の大敗。自分自身、「何もできなかった」と無得点に終わった。来年1月2日の2回戦では北陸(福井)と日章学園(宮崎)の勝者と対戦する。2大会連続の16強進出、そして初の8強へ、「チームのエースストライカーとしてどんどん点を取って、チームを勝たせる選手になりたい」と力強く誓った。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 西山紘平)
●【特設】高校選手権2017