[12.30 全国高校選手権開幕戦 関東一高0-2佐賀東高 駒沢]

　自信があったからこそ、早すぎる幕切れに愕然とした。試合終了のホイッスルが鳴ると、関東一高(東京B)の主将DF小野凌弥(3年)はピッチに崩れ落ち、泣きじゃくった。

「勝つ自信があったからこそ、負けたことが悔しかった。本当にこれで終わりなんだなと思ったら力が一気に抜けた。涙が自然と出てきました」。2年連続となる駒沢での開幕戦。総体は8強入りを果たし、全国で戦える手応えを掴んでいただけに、「自分を含めてチームには自信があった。1回戦、2回戦は突破できるかなという雰囲気がありました」。足元を救われる形となり、2年連続の初戦突破とはならなかった。

　スコアレスで折り返した後半に流れを失った。同6分に先制点を献上。「うちは今まで先に点を取らないとあまり勝てなくて、先制されても焦らないように話し合っていたけど、あそこで重田がいなくなるのは予想外で…」。後半14分、攻撃の起点であるFW重田快(3年)が競り合いで頭部を強打。脳震盪の疑いで運び出され、チームには少なからず動揺があった。

「チームに嫌な空気が流れたかな。その雰囲気を自分が立て直せなかったことを反省しています」。なかなか攻撃の形をつくれず、後半24分にも追加点を与え、2点差に。自らも「試合前からCKを狙っていた」とセットプレーのチャンスを狙い、後半アディショナルタイムには右CKにヘッドで合わせたが枠を捉えられず、ゴールをこじ開けられなかった。

　3年間を捧げた高校サッカー生活はあっけなく幕を閉じた。主将として、後輩たちに「1年生は今年、開幕戦という素晴らしい舞台を経験したと思う。後輩たちはベスト8以上を目指して、関東一を全国に広めてもらいたい」とエール。関東学院大でサッカーを続ける小野は「自分の足りないところを極めて、将来Jリーガーという目標があるので、 また4年間サッカーをやっていきたい」と必死に前を向いた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文　佐藤亜希子)

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