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[MOM2374]滝川二MF稲田丈太郎(3年)_キャプテンが「あ、入っちゃった」先制ゴール!

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MF稲田丈太郎(3年)がファインゴール(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 実践学園高 0-2 滝川二高 駒沢]

 滝川二高(兵庫)の「前半の15分までに得点する」プランを現実のものとしたのは、頼れるキャプテンMF稲田丈太郎(3年)が放った左足ボレーからのファインゴールだった。

「立ち上がりからずっと攻めててフィニッシュでも終われていた。だから自分も(フィニッシュで終わろうと)思い切って足を振ってみたところ、たまたまですけどいいところへ飛んでくれました。これまで、あんなシュートを決めたことはありません。トラップするという選択肢もありましたが、最初だし、何が起きるか分からないと思っていた。立ち上がりはシンプルに押し込んでシュートも多く打てていてできれば点を取りたいと思ってたところで“あ、入っちゃった”と」本人はそうはにかむ。

 この試合ではボランチに位置するも、元々FWとしてプレーしてきた。「幼稚園の年中くらいからサッカーを初めて、小・中とずっとFW。高校ではCBとFWという二刀流もしていましたが。今年は新人戦、インターハイと勝てなくて、ポジションがどうこう言っていられなくなりました。夏ぐらいからトップ下やボランチになったので、今のポジションは慣れ切っています」。

 点が取れるボランチ。それは背番号「9」を背負うことからも分かる。かつて岡崎慎司(レスター・シティ)など名だたる先輩ストライカーが背負ってきた番号だ。「岡崎さんの9番を背負って、また、昨年の9番だった山田裕也さんからも選手権前に連絡をもらって。僕も続いて活躍してやろうと考えていました。だからひとつ結果を残せてよかった。キャプテンとしてチームをまとめることが、9番としてはゴールを求められますから」。

 そう、稲田選手のもう一つの重要な役割はキャプテン。実は、滝川二にくるまでキャプテンの経験はなかった。だが、そのキャプテンシーに対する評価はすこぶる高い。「キャプテンを中心に選手たちでやってきたことが今日のゲームにつながったと思います。稲田はサッカーも勉強もリーダーシップがとれる選手。とても“滝二”らしいというか、監督の言いたいことを選手たちに代弁できる。それでいて受け身にならない。彼の人間性が、この試合の立ち上がりの勢いにつながったような気がします。べた褒めですけど(笑)」と、松岡徹監督は目を細める。

 実際、この試合前にも監督の思いを代弁していた。「立ち上がりから飛ばしていこうと。声やプレーの起伏で相手を圧倒すれば、そこで必ずチャンスが来るからと伝えました」。“滝二らしさ”とは美しさや華やかさよりも泥臭さや戦う姿勢を優先することを指す。偉大な先輩にも「勉強させてもらってます」と冷静に語るキャプテンが見据えるのは前回大会越えだ。

「前回大会で多くの2年生が出場させてもらって、前橋育英さんに負けたところからこのチームはスタートしている。前回を超えたいです」。前橋育英戦から約5日ほどでキャプテンになった稲田。そのキャプテンシーの集大成は、埼玉スタジアムへ行けるかどうか、で問われそうだ。

(取材・文 伊藤亮)
●【特設】高校選手権2017

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