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[MOM2380]明秀日立MF伊里隼人(3年)_気合の五厘刈り、孝行息子のアピール

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MF伊里隼人(3年)が攻守に存在感を放っている

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 明秀日立3-0高知西 ゼットエー]

 アピールの一撃だった。明秀日立高(茨城)が1点リードで迎えた後半12分、左サイドから上がったクロスがゴール前でこぼれると、ボランチの位置からゴール前に詰めていたMF伊里隼人(3年)の足もとにこぼれる。

「とにかく枠を外さないようにと思った」

 大事にそして強く左足から蹴り込まれたボールは、ゴール右隅に突き刺さった。

 萬場努監督が「チームの心臓。司令塔」と絶大な信頼を置く選手。ただ背番号10を付ける3年生だが、「正直まだ彼だけ進路が決まっていない」のだという。

 3人兄弟の末っ子。両親に負担をかけたくない思いから、お金を貰いながらサッカーができる環境を探している。

 両親には奨学金をもらいながら大学に行くことも勧められたが、兄姉も高校を出て働いていることから、「自分も稼ぎながら、親にも返せるようにしていきたい」と決意は固い。

 五厘刈りで自身を奮い立たせる。頭を丸めたのは大会2週間ほど前。「気合を入れるため」に自分でバリカンを頭にあてた。大会直前の開会式前日にも再び五厘で刈り揃えて、決戦に臨んでいる。

 ピッチ中央でひときわ目立つ五厘刈り。ただそれは頭が目立つからだけでなく、運動量豊富にどこでも顔を出すプレー面で存在感を放っているからこそだ。「寒いですけど、そこは気持ちで頑張ります」。孝行息子のアピールは続く。
 
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 児玉幸洋)

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