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夏冬連覇狙う流経大柏が3-0発進!決勝まで「少しずつ改善」と成長を繰り返す

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後半4分、MF菊地泰智のゴールを喜ぶ流通経済大柏高イレブン(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.2 全国高校選手権2回戦 流通経済大柏高 3-0 大分西高 フクアリ]

 第96回全国高校サッカー選手権は2日、2回戦を行い、フクダ電子アリーナ(千葉)の第1試合では夏のインターハイ優勝校・流通経済大柏高(千葉)と大分西高(大分)が対戦。流経大柏が10番MF菊地泰智(3年)の2ゴールなどによって今大会初戦を3-0で制し、日章学園高(宮崎)と対戦する3回戦進出を決めた。

 前半3分、流経大柏は自陣でボールを持ったCB瀬戸山俊(3年)が縦パス。敵陣中央でこれを巧みにコントロールした10番MF菊地泰智(3年)が、やや前目のポジションを取っていた相手GKの頭上を超える左足ミドルを決めて先制した。

 03年の創部から14年目、2年連続県決勝敗退を乗り越えて全国初出場を果たした大分西は試合前にスタンドの控え部員と先発、ベンチメンバー全員で円陣を作って全国デビュー戦をスタート。立ち上がりにいきなり失点を食らった大分西だが、相手のハイプレスの“矢印”を変えるようにDF背後へのパスやサイドチェンジを狙いながら反撃。FW後藤健也(1年)が鋭いターンでDFを振り切ってシュートを放つなど臆せずに攻め返す。

 だが、本田裕一郎監督が「いつになく選手たちのキレが良かったかな。一人ひとりのキレが良かったと感じました」という流経大柏の圧力は強力。大分西・首藤啓文監督が「(プレスでパスが引っかかったり)予想以上に相手のヘディングが強かったりして上手く行かなかった」と振り返ったように、流経大柏は高さとアプローチの速さで相手の攻撃を断ち切って押し込むと、狭い局面でのパス交換、オープンスペースを活用した攻撃などで攻め続ける。そして、18分にはFW熊澤和希(2年)がDF3人を振り切って決定的な右足シュートを放った。

 その後もMF宮本優太主将(3年)中心に寄せのスピードや球際の強さで違いを示す流経大柏が攻撃回数を増やし、FW安城和哉(3年)のヘディングシュートなどで2点目を狙う。だが、CB宮崎優成(3年)中心にDFラインを高くして対抗する大分西は、宮崎のカバーリングや左SB野口茅斗(3年)が対人で強さを発揮するなど食い下がる。

 そして39分、大分西は右中間からスピードのあるパス交換。PAへ抜け出したFW幸航平(3年)が、さらにDFを外してラストパスを入れる。だが、流経大柏GK薄井覇斗(3年)が足で止めて決定機を阻止。そして、流経大柏は本田監督から「相手のチームはなかなかいいので10分我慢しろ」とメッセージを受けて臨んだ後半序盤のゴールで初出場校を突き放した。

 4分、流経大柏は右サイドから攻めると、熊澤からの落としを受けた菊地が技ありの左足ミドルを逆サイドのゴールネットへ沈めて2-0。さらに13分には安城がペナルティー・アークまで持ち込むと、宮本優が身体を張ってパスを繋ぐ。最後は後半開始から出場のFW加藤蓮(3年)が冷静に右足シュートを右隅に決めた。

 大分西も1点を目指して攻めたが、U-17日本代表CB関川郁万(2年)のスライディングタックルやシュートブロックにあうなど、1点を奪うことができない。結局、相手をシュート2本に封じた流経大柏が初戦突破を果たした。

 07年度選手権で優勝している流経大柏は、17年インターハイで2度目の優勝。本田監督は選手たちへ向けて、優勝するチームは一戦一戦成長していく、と語っているという。「やるごとに良くなって行くのが理想的だと思うんですよね。これはサッカーに限らずどの試合もそうだと思いますが、『やるたびに良くなってくね』というのが最終的に(優勝に)繋がるんじゃないかと思いますが、(今回は)トーナメントなのでまずは負けないこと、そのためには失点しないこと、そればかり言ってきました」。

 この日は快勝スタートだったが、守備面では対応のまずさなどがあり、指揮官の評価は「70点」。5-0で快勝発進したインターハイはその試合で出た甘さなどを一戦一戦改善し、チームのサッカーを向上させながら頂点に立った。宮本優が「(今回も)少しずつ、少しずつ改善していけば、決勝まで行けると思いますし、優勝できると思うので一気に変えるのではなくて、一つひとつスタッフに言われることを全員で改善していければいい」と語ったように初戦で出た課題を一つずつ改善していくこと。夏冬連覇の目標を達成するために、流経大柏は決勝まで、「少しずつの改善」と成長を止めない。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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