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[MOM2386]流通経済大柏MF菊地泰智(3年)_“黒子役”だった夏から“主役”へ。流経の10番が左足で鮮烈2発!

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前半3分、MF菊地泰智(左端)の先制ゴールを流通経済大柏高イレブンが喜ぶ(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 流通経済大柏高 3-0 大分西高 フクアリ]

 夏の覇者の10番が、インターハイと違う姿を見せる。まだ観衆がスタンドを埋め尽くす前の前半3分、流通経済大柏高は自陣でボールを持ったCB瀬戸山俊(3年)が敵陣中央へ縦パスを通す。これを巧みにコントロールした10番MF菊地泰智(3年)がすぐさま前を向いて左足を振り抜く。

 やや前目に位置していたGKの頭上を越えたボールが、そのままゴール右上隅に突き刺さった。「ファーストタッチで左足のところに入ったので、シュートを打とうと思ったらもう打っていた。その感覚があったので良かったと思います」という一撃。GKの位置を確認していた訳ではなく、「どちらかというと(感覚で)『打っちゃった』という感じです」というゴールが先制点となった。

 チームは菊地のゴールで勢いづき、押し込んでいたが、前半には奪えていなかった2点目。その2点目を菊地が左足で再び決めて見せる。後半4分、右サイドでFW熊澤和希(2年)からのパスを受けると、「クロス兼シュートみたいな感じで」ゴール方向へ鋭いボールを入れる。中央で味方が触ることはなかったが、ボールは菊地の狙い通りにゴール左隅を捉え、2-0となった。

 流経大柏にとって9年ぶりの全国制覇となったインターハイでは5試合ノーゴール。チームが勝つために“黒子役”に徹していたことが印象的だった。前線の選手の調子が良かったこともあって、自分が決めるよりもセカンドボールを献身的に拾い、つなぎ役を全うして掴んだ優勝。それでも無得点で終わったことはさすがに悔しかったか、優勝直後に「帰って練習したい」と語っていた。そのMFは夏との違いを示す2発。「本来あるべきは、自分が点取ってチーム勝たせないといけないな、と選手権に向けて準備してきたので、最初にできて良かったです」と喜んだ。

 昨年度の選手権予選決勝で流経大柏はライバル・市立船橋高に1-2で敗戦。菊地は前半に同点ゴールを決めたものの、それ以外にも前後半にあった決定機を決めきることができなかった。敗戦の責任を強く感じていたこともあり、選手権では得点を取ることを目指してきた菊地に対し、本田裕一郎監督は「私は『得点王獲れ』と言って、送り出しました」。2得点はその期待に応えるゴールでもあった。

 菊地は得意の左足を駆使して攻撃の中心となりつつ、献身的な守備でも貢献。浦和ジュニアユースから浦和ユース昇格を逃した際、「ユースの監督から言われたのが連続したプレーができていないと」と振り返る。だが、全員がハードワークを求められる流経大柏の中で「高校に入ってから逆にそれがストロングになってきた」と成長を実感。高校に入って伸ばしてきた連続性をチームリーダーの一人として発揮しながら、夏に足りなかったゴールでもチームに貢献して、10番が今度は“主役”として流経大柏を頂点へ導く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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