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1年前は観客として見ていた選手権。柏U-18離れ、青森山田で挑戦したFW中村が初の選手権で2発!

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青森山田高のU-18日本代表FW中村駿太(左)は2得点の活躍(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.2 全国高校選手権2回戦 青森山田高 5-0 草津東高 フクアリ]

 柏U-18に所属していた1年前はスタンドから見ていた選手権。初めて立つ憧れの舞台で青森山田高のU-18日本代表FW中村駿太(3年、山形内定)が2ゴールを挙げた。

 前半から前線でボールを収め続けていた中村は、後半11分に選手権初ゴール。右SB鍵山慶司(3年)の縦パスを右サイド深い位置で引き出すと、切り返しから強引に左足を振り抜く。これがゴール左隅に決まると、さらに20分にはパス交換からPAへ潜り込んで左足で2点目。“選手権デビュー戦”を2ゴールで終えた。

 昨年度の選手権はU-19日本代表でチームメートだったFW岩崎悠人(現京都)やMF原輝綺(現新潟)、そしてDF杉岡大輝(現湘南)を応援するために、市立船橋高対京都橘高の1回戦をスタンドから見ていたという。

 柏レイソルの育成組織では小学生時代からゴールを量産して“怪物ストライカー”として注目を集め、年代別日本代表でもエース級の活躍。柏U-18に所属していた16年には、17歳ながら“飛び級”でU-19日本代表に招集され、AFC U-19選手権で2得点を決めて優勝に貢献している。

 だが、FW中村駿太(3年)は選手権観戦から3か月後には、自分に足りないものを身につけるため、さらなる進化を遂げるために“北の名門”青森山田に籍を移していた。青森山田転校直後は運動量、守備の部分など自分にできないことがたくさんあることを痛感。それを少しずつできるように変えていった。変化させた部分でチームの勝利に貢献する一方、持ち味を発揮できなかったり、ゴールから遠ざかって悩んだ時期もある。

 それでも、「プレミアリーグの終わりくらいからちょっとずつ自分の中で整理ができ始めて、選手権が開幕するまでの直前合宿では凄くいい感覚でできていたので、自分の持ち味を整理して持ち味を出せているかなと思っています」と中村。全国初戦で2ゴールを決め、それは手応えとなった。

 選手権の舞台に立ったことについて、中村は「ずっと外から見ていて、いいなと憧れがあったんですけれども、いざ入ってみるとあれだけ観客がいる中で試合したことが無かったのですごく緊張しました。でも、今までにないくらいワクワクした気持ちが出てきたので楽しめたなと思っています」と微笑。初戦で楽しむことができた選手権はここから、プレッシャーの中での厳しい試合が続いていく。

 その中で求めていくのは、結果だ。1年前、青森山田の初優勝の場にいなかった中村は、仲間たちが持つ連覇への強い思いとともに自身の“初優勝“を目指す。「チームを勝利に導く活躍をすることが自分を受け入れてくれたチームメートや、迷惑をかけてきたたくさんの人たちへの恩返しにもなると思うので、とにかく自分は毎試合チームを勝利へ導く活躍ができればと思っています」。まだチームとしては1勝しただけ。仲間たちのために決勝戦まで結果を残し続けて、この数か月の挑戦を最高の形で終える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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