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C大阪内定FW安藤が先制ミドル弾!! 長崎総附は3回戦進出も「慢心があった」と小嶺監督

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3回戦へと駒を進めた長崎総合科学大附高

[1.2 全国高校選手権2回戦 長崎総合科学大附高2-1高川学園高 オリプリ]

 第96回全国高校サッカー選手権は2日、2回戦16試合を行った。ゼットエーオリプリスタジアム(千葉)の第2試合では、長崎総合科学大附高(長崎)が高川学園高(山口)を2-1で下した。3日の3回戦では、前年度覇者の青森山田高(青森)と対戦する。

 序盤はお互いにロングボールの応酬で、リスクを避ける展開となったが、世代ナンバーワンの呼び声高いストライカーが試合を動かした。前半32分、長崎総附はC大阪加入が内定しているFW安藤瑞季(3年)がPA外でボールを持つと、鋭いターンで振り向いて右足を一閃。低くコントロールされたボールはゴール右隅を突き、貴重な先制点を奪うことに成功した。

 百戦錬磨の小嶺忠敏監督も「どこからでも打てるからね」と目を細めた一撃。そんなエースの今大会2得点目に勇気づけられた長崎総附は、さらに前半35分、この日は2トップの一角に入ったDF嶋中春児(3年)が左サイドからロングスローを送ると、ニアサイドでDF柏木澪弥(2年)が頭でそらす。ボールは相手DFが触ってPA内にこぼれたが、DF岩本蓮太(3年)がボレーで蹴り込み、前半のうちに2点のリードを得た。

 一方、前半をシュート2本で終えて2点ビハインドとなった高川学園はハーフタイム、181cmのFW山本廉哉(2年)、FW大山蒼一郎(3年)を同時に入れて、長身2トップに布陣を変更。「2点を取ったことで気の緩み、すきま風があった」(小嶺監督)という長崎総附につけ込み、猛攻を展開し始める。

 後半12分、左からのクロスがこぼれたところに反応した山本がボレーで狙うと、同14分には大山のパスを受けたFW土信田悠生(3年)が振り向きざまのシュートを放ち、相手DFを強襲。その後もMF平尾泰雅(3年)が何度も左サイドを突破し、着実にゴールへの距離を縮めていった。

 そんな後半24分、ついに高川学園が1点を返す。味方の縦パスを受けた大山がPA内にドリブルで切れ込み、タックルを試みた嶋中に倒されてPKを獲得すると、エースの土信田がペナルティースポットにつき、ゴール右にシュートを放つ。しっかりコースを読んだGK湊大昂(3年)は片手で触れたが、ボールの勢いを止めるには至らず、軌道が変わってゴールネットに突き刺さった。

 2-1となった後は一進一退の攻防。後半28分、高川学園は平尾の突破でチャンスをつくると、長崎総附も同31分、FW荒木駿太(3年)が右からのクロスでゴールに迫る。ところが、いずれも決定的なシュートにつなげることはできず、時間だけが過ぎていく。

 高川学園にとって最後のチャンスは後半アディショナルタイム、ゴール正面でパスを受けた土信田が相手DFをかわして右足シュート。江本孝監督が「あれを決めていれば安藤くんを越えられる」と振り返った絶好のチャンスだったが、ボールはゴールマウスを越えてしまう。そのまま最後までスコアは動かず、1回戦で清水桜が丘高を下した伝統校の挑戦は2回戦で幕を閉じた。

 長崎総附の小嶺監督は試合後、開口一番に「よく勝たせてもらった」とつぶやいた。「一人一人の持ち味が全く出せなかった。高川学園さんが最後までゆとりを持ってプレーできていたのに、こちらは慢心があった。小学生でももっと良いサッカーをする。判断力がなかった」。出てくるのは厳しい言葉ばかりだった。

 それでも、次の試合はやってくる。翌日に控える3回戦の相手は、前年度覇者の青森山田高。指揮官も「プレミアリーグで頑張っていて、力がある」と警戒は隠さない。それでも島原商高、国見高で何度も日本一に輝いた名将は「どれくらいできるかチャレンジ。勝負の世界は分かりませんから、全力でやるだけ」とただ前を見据えていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 竹内達也)

●【特設】高校選手権2017

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