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県予選から“7戦連続無失点”、明秀日立が3回戦進出…星稜は強力ロングスローも及ばず

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大阪桐蔭高との3回戦に進んだ明秀日立高

[1.2 全国高校選手権2回戦 明秀日立高1-0星稜高 オリプリ]

 第96回全国高校サッカー選手権は2日、2回戦16試合を行った。ゼットエーオリプリスタジアム(千葉)の第1試合では、明秀日立高(茨城)が星稜高(石川)を1-0で下した。3日の3回戦では、大阪桐蔭高(大阪)と戦う。

 試合は早々に動いた。キックオフから勢い良く攻め込んだ明秀日立は前半2分、MF及川央泰(2年)が左サイドからスローインを入れ、DF宗像隆人(3年)がワンタッチで中央へ。PA近くやや左寄りでMF二瓶優大(2年)が受け取ると、浮き球をうまくコントロールし、左足のハーフボレーでゴール右隅に突き刺した。

 萬場努監督によると、「立ち上がりの15分で先制するのがテーマ」という明秀日立。県予選決勝の水戸啓明高戦(○2-0)を除けば、今冬の試合では常にこの時間帯に先制点を挙げているといい、まさに「理想どおり」(萬場監督)の展開で試合をスタートさせることに成功した。

 2年ぶりに全国の舞台に戻ってきた星稜も、徐々に形勢を取り戻していく。DF中川真太朗(3年)のロングスローで相手ゴールを襲うと、182cmのFW西部悠大(2年)を有効に使って陣地を回復。前半17分には、左サイドに開いたMF武沢亮佑(3年)のクロスを送り、背中で相手DFを制した西部が振り向きざまのボレーで狙ったが、惜しくも上へと外れた。

 それでも、4バックと3バックを試合中に使い分ける明秀日立が主導権を譲らない。前半35分、自陣左サイドからのロングボールを二瓶が力強くそらすと、ボールはフリーで抜け出したDF深見凜(3年)の元へ。クロスは惜しくも合わなかったが、その後もFW荒井慧伊大(3年)と二瓶の鋭い連携でゴールに迫り続けた。

 前半をシュート1本に終えた星稜はハーフタイム、河崎護監督は「相手の選手が片方のサイドに偏っているので、サイドチェンジを使っていく」という狙いを共有し、後半のピッチに選手を送り出す。すると、左利きのMF長田大樹(3年)らが良い形でボールを持てるようになり、次第に相手守備陣を押し込む時間が増えていく。

 後半6分、星稜は左CKにDF小平大輔(2年)が頭で合わせるも、相手DFがゴールライン付近でブロック。同8分には、PA内から武沢がシュートを放ち、相手に当たった跳ね返りがゴール前にこぼれ、走り込んだ西部が流し込むも、オフサイド判定でゴールが取り消され、なかなかスコアを動かすことができない。

 明秀日立は後半11分、及川に代えてFW湯澤涼(3年)を入れ、チームに活力を注入。それでも、荒井、FW作山雅紀(2年)がシュートを放ちながら決められずにいると、星稜もサイドチェンジを起点にチャンスをつくり、MF南出直人(3年)のミドルシュート、MF高岸憲伸(3年)のカットインシュートがゴールを脅かした。

 ところが、DF高嶋修也(2年)、DF土田大樹(3年)らがしっかり固め、地区予選から無失点を続けている明秀日立守備陣はなかなか崩れない。後半20分からピッチに立ったDF松井涉太(3年)のロングスロー、長田のドリブル突破に苦しむ場面も見られたが、「『連動と連結』は嫌になるほど言ってきた」(萬場監督)との言葉どおり、PA内の水際で組織的に防いでいた。

 明秀日立は後半36分、宗像がシュートブロックで右足首を負傷すると、布陣をこの日2回目の3バックに変更。「ゴール前の局面はこだわってきた」(萬場監督)という自慢の守備に全てを託し、逃げ切りにかかった。ところが、「やられてもおかしくない場面はたくさんあった」と指揮官がこぼしたように、星稜の猛攻を真っ向から受け止める形となった。

 後半アディショナルタイム、星稜はゲームキャプテンを務めるDF敷田唯(3年)らを前線に置き、パワープレーを展開。2分、中川がこの日7本目のロングスローを入れると、こぼれ球が再び中川の元へ。力強いミドルシュートを狙い、GK藤田陽輔がわずかにこぼしたが詰められず。3分には、高岸の左CKに南出が頭で合わせたが、GKの攻守に阻まれてネットは揺らせなかった。

 2014年度覇者の星稜に残された時間はわずか。アディショナルタイム4分、中川が8本目のロングスローを入れ、長田が右足シュートを狙うもGKがキャッチ。さらに、長田のロングボールを西部が落とし、敷田が最終ライン裏に抜けたが、先に飛び出したGKがこれも確保。そのままタイムアップを迎え、2回戦敗退となった。

 河崎監督は試合後、「あの失点がなければ……。ちょっと早かった」と敗因を指摘。キックオフで風下を取ったことについて「前半0-0で行けば、後半に勝機があると思った」と狙いを述べたが、後半はシュート6本を放ちながらの無得点に終わり、「相手が一枚上でした。技術もあるし、守備力も高く、良いチーム」と明秀日立を称えた。

 一方の萬場監督は「身体も張って、ボールに寄せていた。集中力を切らさずによく頑張った」と地区予選から560分間にわたって無失点の守備陣を賞賛。2日連戦での3回戦は、大会前から目標としてきた“ベスト8”を懸けた戦いとなる。31歳の指揮官は「私たちにとっては決勝戦という位置づけ。失うものは何もない」と意気込んでいた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 竹内達也)

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