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[MOM2400]米子北FW城市太志(3年)_ゴールを呼び込む“幸運のスパイク”

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決勝ゴールを挙げた米子北FW城市太志(3年)

[1.2 高校サッカー選手権2回戦 米子北高1-0仙台育英高 ニッパツ]

 幸福の黄色いスパイクがゴールを呼び込んだ。米子北高(鳥取)のFW城市太志(3年)は前半3分にFW葉間田累(2年)が相手DFと競ってこぼれたボールに走り込み、「打つしかない」とPA手前右から右足を一閃。鮮やかなシュートがクロスバーの下を叩いてゴール内に落下し、開始早々に均衡を破った。

 1回戦の山梨学院高戦(2-1)では、1点ビハインドの前半29分に途中交代し、自身が退いたあとにチームは逆転勝利。この日は1回戦の蛍光色のスパイクから「(鳥取県予選やプレミアリーグで)このスパイクでしか点を取っていない」という黄色の“勝負スパイク”に変えて臨んでいた。得点後は1回戦と同じく、前半31分と早いタイミングで交代を命じられたものの、試合は1-0で終了。自らのゴールによって、同校過去最高タイのベスト16進出を導いた。

 城市徳之総監督の次男にあたる城市の持ち味は、前線からのハードワークだ。しつこくDFを追い回し、攻撃時も足を止めないスプリントが相手の体力を確実に奪っていく。この献身性を買われて中村真吾監督から先発起用されており、本人も「(自分は)相手のディフェンスを疲れさせ、周りが後半に上手くやれるように潰れる役だと思います」と、求められる仕事に理解を示している。

「2年生くらいの時、上手さ的に自分は確実に出られないなと思っていました。自分が出て活躍するにはどうしたらいいか考えて、守備を前からしっかりできるFWにならないといけないというのもありました」

 昨年度の選手権はスタンドで応援していたという城市。自身の長所を見つめ直して生きる道を模索していった結果、レギュラー獲得までたどり着いた。試合開始から懸命にピッチを駆け回る姿は見る人を惹きつけるものがあり、キャプテンのDF三原貫汰(3年)も今回のゴールを喜んでいる。

「(城市)太志が(点を)取ったらちょっと嬉しいみたいなのがチームにはあります。太志は全然点を取れなくて、それをみんなでイジったりするんです(笑)。『お前はもう守備係だ』とか。太志も多分悔しいとは思うんですけど、昨日の試合(1回戦)もしっかり前線で一番守備をして頑張ってくれたので、そういう選手が今日点を取ってくれて、チームのみんなも嬉しいと思います」

 城市は3日に行われる3回戦の一条高(奈良)戦でも、ゲンのいい黄色のスパイクを着用すると宣言。消耗の激しいプレースタイルだけに、また前半で退く可能性もあるが、「交代選手を信じてやっているので、自分はいつ代わっても悔いはないです」。開始からガンガン飛ばし、「初のベスト8」という幸せの風を吹かせる。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 阿部哲也)

●【特設】高校選手権2017

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