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新潟の歴史を塗り替えろ…止まらない初出場・日本文理!! PK戦で作陽下して8強入り

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PK戦を制してベスト8進出を決めた日本文理高(新潟)

[1.3 全国高校選手権3回戦 作陽高1-1(PK6-7)日本文理高 浦和駒場]

 第96回全国高校サッカー選手権3回戦が3日、各地で行われ、埼玉・浦和駒場スタジアムでは作陽高(岡山)と日本文理高(新潟)が対戦。1-1で80分間を終え、迎えたPK戦を7-6で制した日本文理が、初出場ながらも3回戦を突破。5日に行われる準々決勝で矢板中央高(栃木)と対戦する。

 前半5分に作陽がフィニッシュまで持ち込むが、DF魚住祐輔(3年)の縦パスを受けたMF西山拓実(2年)が狙ったシュートは、GK相澤ピーター・コアミ(2年)の守備範囲に飛んでしまう。一方の日本文理は幾度となくMF古木雄大(3年)のロングスローから好機を生み出そうとするが、作陽の体を張った守備に阻まれてなかなかシュートまで持ち込めない時間帯が続いた。

 一進一退の攻防が続く中、前半26分に試合を動かしたのは日本文理だった。古木が右サイドから投げ込んだスローインをニアサイドで受けたDF吉田元樹(3年)がオーバーヘッドで中央に送る。ボールを受けたMF久住玲以(3年)のシュートは体を投げ出した相手選手にブロックされたものの、こぼれ球をFW亀山来駆(3年)が蹴り込んでスコアを1-0とした。

 しかし、1点のビハインドを背負った作陽がすぐさま試合を振り出しに戻す。前半32分、左サイドからFW西山流聖(3年)が送ったサイドチェンジに走り込んだMF西山拓実(2年)が、相手選手よりも前に出て左足アウトサイドで中央に送ると、猛然と飛び込んだMF黒瀬翔矢(3年)が豪快なダイビングヘッドで突き刺して同点に追い付いた。

 1-1のまま後半を迎えると、3試合目を戦う日本文理と2試合目の作陽に“差”が生じ始める。日本文理の駒沢隆一監督が語る。「3戦目で思った以上にダメージがあった。一瞬の判断の遅れ、出足の一歩の遅さとか、そういったところでジワジワと強みを発揮できない状態が続き、作陽さんにサイド深くまで押し込まれる場面が続いてしまった」。

 運動量で勝る作陽は西山が切れ味鋭い突破を仕掛け、DF辻瞬輔(3年)が果敢なオーバーラップを繰り返すなど圧力をかけ続ける。しかし、「追加点を取られなかったのが、今日の一番の出来だった」と指揮官が振り返ったように、2CBのDF松本勇貴(3年)とDF田中拳斗(3年)、そしてGKの相澤を中心とした日本文理守備陣は破綻することなく、最後まで作陽攻撃を跳ね返し続け、1-1のまま後半終了のホイッスルが吹かれることになった。

 迎えたPK戦。190センチの大型守護神が大仕事をやってのける。ともに2人ずつが決めて迎えた日本文理3人目のMF伊藤駿(3年)のキックはGK岸本鉄矢(2年)にストップされてしまうが、相澤が作陽5人目のMF中西樹大(3年)のシュートをストップ。さらに8人目のDF羽田一平(2年)のシュートをはじき出し、PK戦を7-6で制して3回戦突破を決めた。

「勝った気がしません。中身は完全に負けていたと思う」と苦笑した駒沢監督は、新潟県勢として第91回大会の帝京長岡以来となるベスト8進出にも、「本当に一戦一戦としか思っていない。子供たちが『優勝狙います』と話しているけど、大きなことを言っているなと思うし、そんなに甘くないよ」と謙虚に語る。しかし、初出場ながらも県勢初となるベスト4進出を射程圏内に捕らえ、「ここまで来たので記録更新は狙いたい」と力を込めた。

「夢の向こう側を見に行こうというのがテーマだった。少しでも先に進めるように頑張りたい」。次戦は2日後、相手は矢板中央。まずは、次の一戦で勝利を収め、新潟の歴史を塗り替えたい。

(取材・文 折戸岳彦)

●【特設】高校選手権2017

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