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「今年は強くない」米子北が歴史塗り替えるベスト8!!自慢の走力で前橋育英戦へ

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米子北が初の8強入り

[1.3 高校サッカー選手権3回戦 一条高0-3米子北高 等々力]

 第96回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦を行い、等々力陸上競技場の第1試合では米子北高(鳥取)が一条高(奈良)に3-0で快勝し、同校初の8強入りを果たした。鳥取県勢としても92年度大会の米子東以来、25年ぶりの快進撃。5日の準々決勝で優勝候補の前橋育英高(群馬)と対戦する。

 米子北は最終ラインの背後を突いたロングボールから攻撃の形をつくり、前半11分、2トップのFW葉間田累(2年)とFW城市太志(3年)がワンツーの形で崩し、城市がフィニッシュまで持ち込んだ。対する一条は2回戦に続いて右膝靱帯を痛めている主将のDF生成光(3年)が先発。前田久監督は「立ち上がりで相手に(流れを)持っていかれそうになったときに彼がいた方がいい」とこの日も短い時間で起用。プランどおり、前半16分に生成を下げ、DF奥井瑞樹(3年)を投入した。

 徐々に一条が流れをつかみ、カウンターからFW竹島玲太(3年)がドリブル突破。MF松田崚(3年)が左のスペースを突き、サイド攻撃から得点機をうかがう。MF中井一尭(3年)がPA手前から右足ダイレクトで叩くなど、ミドルレンジから狙ったが、互いに決定機はつくれず、スコアレスで前半を折り返した。

 米子北は後半開始と同時にMF高橋諒(2年)を投入。交代策が的中し、後半3分、ロングスローから高橋が左足シュートを放つと、相手DFにブロックされたこぼれ球に反応したMF坂田二千翔(3年)が右足ダイレクトで突き刺し、先制に成功。坂田は1回戦に続く今大会2ゴール目をマークした。

 一条もすぐさま反撃にでると、後半4分、MF中井一尭(3年)のパスからこぼれたボールをMF石川航大(2年)が右足で叩いたが、シュートはわずかにゴール左へ。その後は再び米子北が豊富な運動量で攻め込み、シュートを連発。最後の猛攻をかけた一条は後半35分に決定機。FW相坂恭杜(3年)が決定的な左足ミドルを放ったが、これはGK佐藤壮太(3年)が右手一本でかき出した。

 すると、直後のカウンターから米子北が次の1点を奪う。カウンターで抜け出したMF馬場琢未(3年)がエリア内でラストパスを届けると、走り込んだMF高橋諒(2年)が右足で流し込み、2-0と勝利を決定づけた。最後まで走力が衰えない米子北は後半40分にも途中交代のFW奥石龍世(3年)がダメ押しの3点目。後半だけで12本のシュートを浴びせた米子北が3-0の完封勝利をおさめた。

 終盤は攻勢に出たことで前掛かりになり、スペースを突かれて失点を重ねた一条。リスクを冒した攻撃は実らず、前田監督は「最後の2失点で0-3という結果になりましたが、前がかりにいかないといけなかった。そこはサッカーが分かる方には思い切ってやった結果だと評価してもらえると思う」と敗戦を受け止めた。記録を塗り替える8強入りは逃したが、「後悔がないわけではないが、やり切ったというのが感想です」と充実感を漂わせた。

 米子北・中村真吾監督は「チームのために一生懸命全員が走ったから結果が出た」と走り勝った選手たちを称えた。監督就任2年目も、コーチ時代から長くチームを見守ってきた立場から「今年のチームは『強くない』と言い続けてきた」と明かすと、「たとえば身長は例年より低かった。走力や技術も劣っていたけど、我慢強さや真面目さがあった。そこがストロングポイントだと思ってやり続けた」と積み上げてきた努力を称えた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2017

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