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初戦4発の飯島陸がATV弾!!“日程面の差”で富山一下した前橋育英、初優勝へ追い風

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後半AT3分のFW飯島陸の決勝点によって、前橋育英が8強へ

[1.3 全国高校選手権3回戦 富山一0-1前橋育英 等々力]

 第96回全国高校サッカー選手権の3回戦が3日に行われ、前橋育英高(群馬)が富山一高(富山)に1-0で勝利した。5日の準々決勝では、駒沢陸上競技場で行う第2試合で米子北高(鳥取)と対戦する。

 シュート数は前橋育英の8本に対し、富山一はわずかに1本。ただ内容面は互角だった。勝敗を分けた差は何だったのか。前橋育英の山田耕介監督は、「富山一が最後の方で動けなかったのは、3試合目だったから。うちは2試合目。富山一は最後足が止まる。それまでは0-0でいいよと話していた」と日程面の優位性を勝因に挙げた。

 両チームは今季はともにプリンスリーグ(前橋育英は関東、富山一は北信越)を戦って1位。12月半ばに行われたプレミアリーグ参入戦まで戦った。富山一が参入戦を突破、前橋育英が昇格を逃すという結果に終わっていたが、約2週間後に開幕した選手権は富山一が12月31日の一回戦から、前橋育英が1月2日の2回戦からの登場となっていた。

 2回戦から中0日で迎えた決戦。最初から緊張感のあるゲーム展開になった。富山一は2日の東福岡戦では4バックにして奇襲をしかけていたが、この日は本来の5バック。縦に速い攻撃、そして“北信越最強2トップ”と呼ばれるFW坪井清志郎(3年、徳島内定)とFW大竹将吾(3年)にボールを集めてチャンスを伺う。

 しかし前半からシュートまで持ち込めていたのは前橋育英。インターハイ得点王で今大会初得点に燃えるFW榎本樹(2年)が3本、2日の初芝橋本戦で4得点を決めている背番号10のFW飯島陸(3年)が2本を前半だけで放つなど、勝利への気迫を見せた。

 スコアレスで折り返した後半も均衡状態は続く。7分に富山一が坪井の落としをMF多賀啓志朗(3年)が左足で狙ってチームファーストシュートを放つが、ボールはGK湯沢拓也(3年)の正面で収まる。一方の前橋育英も同19分にFKをDF渡邊泰基(3年、新潟内定)が頭に当ててゴール前に折り返すが、誰も触ることが出来ず。同29分にはMF五十嵐理人(3年)がドリブルで持ち込んでシュートを狙ったが、GKの正面に飛んだ。

 PK決着も見え始めた一戦。ただここで山田監督の言う“日程面の差”が出た。終盤戦、やや運動量の落ちた富山一に前橋育英が襲い掛かる。後半40分に飯島が抜け出して放ったシュートは、ブロックに入ったDFに当たったこともありポストを叩いたが、終了間際のアディショナルタイム3分、MF塩澤隼人(3年)のミドルシュートが相手DFに当たってこぼれると、飯島が今度はしっかり蹴り込み、勝負を決める得点を奪った。

 優勝候補同士の激突。選手たちも日程面以外で差はなかったことを強調する。右足の膝の上を打撲しながらフル出場した主将MF田部井涼(3年)も「互角の戦いだった。どちらに転ぶか分からなかった。この一年戦ってきた中で、セカンドボールの反応はどこよりも早かった」と敗者を称えた。

 次戦の準々決勝は中1日を置いて5日。山田監督は「1日はさめるのは大きい」とうなるように話す。そしてこの日は昨年決勝を戦った優勝候補の一角であった青森山田高が敗退。悲願の初優勝へ向け、“追い風”が吹いている。

 またプレミアリーグ参入戦の敗退を「僕はまだ切り替えが出来ていない」と苦笑いを浮かべた山田監督だが、選手たちはすっかり切り替えが出来ていると強調。イレブンの成長に目を細めるも、自身は「米子北は米子北ですから、走り勝つか、疲れを知らないで来ると思うので」と、慌ただしく続く次戦に頭を切り替えるので必死の様子だった。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 児玉幸洋)

●【特設】高校選手権2017

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