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「失点ゼロの共通理解」持つ流経大柏、J内定FW擁す日章学園を完封し8強へ!!

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“夏の王者”流通経済大柏高が勝負強さを見せつけた

[1.3 全国高校選手権3回戦 日章学園高0-1流通経済大柏高 フクアリ]

「負けたくないというのは例年になく強い」。指揮官がそう評する流通経済大柏高(千葉)が、“ウノゼロ”で攻撃力が持ち味の日章学園高(宮崎)を退け、ベスト8入りを決めた。

 縦への推進力に優れる流経大柏が次々と日章学園ゴールに迫った前半。FW熊澤和希(2年)が2つのチャンスを迎えたがものにできず。CKのこぼれ球に反応したMF菊地泰智(3年)が鋭いシュートを放ったがクロスバーを直撃してしまう。「熊澤はシュート上手いのに入らなかったので、『これやばい雰囲気かな』」とMF宮本泰晟(3年)は焦りがあったことを認める。

 日章学園はギラヴァンツ北九州内定の1トップ佐藤颯汰(3年)がDF関川郁万(2年)に、トップ下のMF比嘉将貴(2年)が宮本泰に徹底的にケアをされ、攻撃の形をつくることができない。そんな中でも、ここまで2試合連続得点中のエース・佐藤颯がゴールポストを叩く強烈なミドルシュートを見舞い、少ないチャンスで得点をうかがう。

 先発の平均身長で5cm以上上回る流経大柏だが「CKでどうしても(ゴールを)取りたかったんですけど、なかなかやらせてくれない」(本田裕一郎監督)焦れた展開が続く。守備力だけでなくヘディングでの得点力も武器にする関川は「相手が前にニアで失点していたので」と日章学園が1回戦で北陸にCKからニアで失点したシーンを分析していたが、タイミングは合わず。

 GK小原司(2年)が好セーブを何度も見せていた中、ついに流経大柏がゴールをこじ開ける。後半27分、菊地が左サイド深い位置まで切り込むと、ゴール前に鋭いボールを入れる。そこに合わせたのは、後半7分からピッチに立っていたMF加藤蓮(3年)。体を投げ出して押し込む気迫の得点で均衡は破れた。

 1〜2回戦で1得点ずつ挙げているFW木津蒼(3年)とFW鈴木陽介(1年)を入れて攻勢をかける日章学園に対して、「とにかく失点ゼロでいこうという共通理解は持っている」(本田監督)流経大柏は、高い集中力を維持。終盤には佐藤颯がゴール至近距離から右足を振り抜いたが、またしてもゴールポストに嫌われてしまい、その後も得点を奪うことができないまま試合終了の笛を聞いた。

「今大会の目標」に設定していた流経大柏戦を終えた早稲田一男監督は「どうにかしのいでいたんですけど……」と唯一の失点に唇を噛む。一瞬の隙をつかれた格好だが、「その1点で勝敗が決まるから。それが勝負の厳しさだと思います」と諭すように語った。

 接戦をものにした流経大柏の本田監督は、大会前から九州勢に好チームが揃っていることを生徒たちに伝えていたという。第2試合の青森山田高(青森)対長崎総合科学大附高(長崎)が試合中だったため「相手に悪い」とフォローしながらも「総附が勝つだろう」と予想していたが、その通りの展開となった。「小嶺(忠敏)先生と対決したい」。選手権優勝経験を持つ“名将対決”となった、準々決勝・長崎総附戦は、5日14時10分にキックオフを迎える。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2017

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