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スタンドで終了の笛を迎えた選手権…安藤瑞季は仲間に感謝「あいつらの前で涙を見せたらいけない」

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出場停止の安藤瑞季(前列手前から3人目)はスタンドから声を振り絞った

[1.5 高校サッカー選手権準々決勝 長崎総合科学大附高0-3流通経済大柏高 浦和駒場]

 スタンドで見守りながら最後の選手権は終わりを告げた。3回戦の青森山田戦(○1-0)で今大会2枚目のイエローカードを受けた長崎総合科学大附高(長崎)のFW安藤瑞季(3年、C大阪内定)は、準々決勝・流通経済大柏戦は出場停止処分となり、スタンドで試合を見ながら「一生懸命声を出して」仲間の勝利を祈った。「ピッチに出てなかったですけど、誰よりも勝ちたいと思ってました」。

 大会最注目のFWは、3回戦まで3試合連続ゴールという結果を残し、チームを史上初となる準々決勝まで導いてきた。しかし、試合は0-3で敗戦。「個々の能力が高い。その辺の差は否めない。その差は歴然としているから。それをどう埋めるか」と小嶺忠敏監督は完敗を認めた。

 安藤は「一生懸命戦ってくれた仲間にめっちゃ感謝してます」とチームメイトへの想いを口にする。「(荒木)駿太もそうですけど、倒されても倒されても立ち上がってがむしゃらにやってくれて」。そんな長崎総附イレブンの姿を見て、「あいつらの前で涙を見せたらいけないと思っていたので、絶対に泣かないと決めていました」と決意し、仲間の元へと帰っていった。

「みんな泣いていて『ごめんな』と言われたんですけど、『お疲れ様』しか言えない。『後悔ないから』とみんなには言ったんですけど、感謝しかない」。背番号10は悔しさを噛み殺すと、試合後に流経大柏のロッカールームに行くと「(関川)郁万と(宮本)優太に『がんばれよ』とエール」を送ったという。

「小嶺先生のもとでサッカーをできたのが大きくて、厳しいことばかり言われることもあるんですけど、それが少しずつ自分たちの力になって、人間力がすごく鍛えられた。小嶺先生のおかげでいまの自分はあると思います」。そう3年間を振り返った安藤。対する指揮官は「(プロは)監督が変わることもある。自分が努力してやっていかないといけない」と、自立したプロプレーヤーになることを求め、教え子を激励した。

「年上の人たちがライバルなのでサッカーのときは負けじとプレーして、コンスタントに点を取るだったり結果を残してFWとしての価値を残していけたらなと思います」。高校サッカーを終えた世代屈指のストライカーは、Jリーグでの活躍を誓っていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)
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