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[MOM2412]矢板中央MF山下純平(2年)_県予選出場ゼロからの出発…“50m5秒9”の寡黙な韋駄天が決勝弾!

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決勝弾を決めた矢板中央高MF山下純平(2年、背番号14)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全国高校選手権準々決勝 日本文理 0-1 矢板中央高 駒場]

 栃木県予選は出場ゼロ、寡黙なスピードスターが“埼スタ”への扉を開いた。日本文理高に1-0で競り勝った矢板中央高は史上最高タイの4強入りを達成。前半36分、50mを5秒9で駆け抜けるという快足MF山下純平(2年)がこぼれ球に詰め、チームの歴史に肩を並べる決勝弾を押し込んだ。

「大塚(FW大塚尋斗、2年)が良いシュートを打ってくれたので、信じてこぼれ球を待っていた。ここで決めないとチームが苦しくなると思って、正確に決めました」。右サイドハーフで先発出場した背番号14は、試合後の取材に照れながら答えた。「小さいころから喋るのは苦手」という言葉のとおり、緊張のせいか額と鼻先には大粒の汗が浮かんでいた。

 チーム立ち上げ時の新人戦から主力の座を射止め、総体予選まではレギュラーを守っていたが、選手権の県予選はベンチに座ったまま優勝を経験。指揮官が「この1か月ちょっとですごく伸びてきた。使われない時期に、本人の中に考えることがあったんでしょう」と目を見張る成長の末、全国大会でようやく出番をつかんだ。

 当時の心境について山下は「悔しかった。勝ったのはうれしかったけど、試合に出たかった」と回顧。それ以前は「突破が通用しなくて弱気になっていた」とことでレギュラーを失ったと考え、「予選が終わってからは課題の守備で頑張って、持ち味のスピードで縦に抜けるように頑張ってきた」と努力を積み重ねてきた。

 指揮官が「おとなしい子」と表現したように、自他共に認める「人見知り」(山下)。それでも「あいさつや試合中の声出し」に気を配ることで、プレーのオンオフ問わず積極性を高めてきた。「3年生と全国優勝を目指したいし、得点を決められるようにしたい」。準決勝の流通経済大柏高戦でも、寡黙なアタッカーは積極的に攻めに出る構えだ。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2017

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