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欠場した主将の責任感の強さ実感。前橋育英の2年生MF秋山が“代役ボランチ”の役割完遂

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“代役出場”の前橋育英高MF秋山裕紀(左)が勝利に貢献

[1.5 全国高校選手権準々決勝 米子北高 0-3 前橋育英高 駒沢]

 大黒柱の穴を2年生MFが埋めた。前橋育英高は3回戦の富山一高戦で負傷したMF田部井涼主将(3年)が大事を取ってベンチスタート。普段彼が担っているボランチのポジションは2年生MF秋山裕紀(2年)が務めた。

 群馬県予選決勝では左SHとして先発していた秋山だが、中央のポジションが本職。そのMFはボールサイドに寄せてくる米子北高の逆側のサイドへボールを運ぶことを意識しながらプレーする。

 コンビを組んだMF塩澤隼人(3年)とも「逆サイドを見よう」と確認を取りながら動き、サイドチェンジを多用することで、反撃しようとする相手をまた押し下げた。秋山は後半23分に右サイドを抜け出す動きで3点目のゴールをアシストし、守備でも身体を張って後半終了1分前に交代するまで奮闘。勝って、しっかりとタスキを繋いだ。

 試合前、田部井涼は秋山に対して「アイツは自主トレの練習量も多いし、『自信を忘れるな』と声をかけた」という。そして、そのプレーについて「入りはガチガチだったけれど、試合が進むに連れて落ち着いてやっていた」と及第点を与えていた。

 秋山はその先輩MFの凄さ、責任感の強さを目の当たりにしていた。富山一戦で田部井涼は後半立ち上がりに負傷。負傷交代してもおかしくないほどの打撲だった模様だが、田部井涼は交代せずに最後までピッチに立ち続けることを選択する。

 秋山はその試合後に田部井涼と会話。「キャプテンである自分が交代すると、チームも崩れちゃう可能性もあったので、痛いのも見せずに最後まで戦うことを決めていたらしいです」。負傷後、山田耕介監督からは交代も打診されていた。それでも、キャプテンが痛々しい姿でピッチを去って士気を下げたくなかったという田部井涼。それを本人から聞いた秋山は彼が「強い」主将であることを改めて実感していた。

 田部井涼は準決勝で復帰する可能性もありそうだ。そして、この日勝利に貢献した秋山が再び先発する可能性もある。秋山は「(田部井)涼さんがいなくても勝てるところを見せたいですし、チャンスがあればスタメンとしてプレーして勝利に貢献したい。(出番があれば) チームが勝つことを最優先にして、その中で結果を出せるように頑張る」と意欲。先発でも、交代出場でも、代役に留まらないプレーをして決勝進出の力になる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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