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「強度が甘い」負傷欠場の前橋育英MF田部井涼主将、準決勝へチーム戒め

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ベンチで試合を見守る前橋育英MF田部井涼主将(中央)

[1.5 全国高校選手権準々決勝 米子北0-3前橋育英高 駒沢]

 頼もしい仲間たちに感謝した。前橋育英高(群馬)のMF田部井涼主将(3年)は3日の3回戦・富山一戦(1-0)で負ったケガのため欠場。「(試合に出る)準備はしていたけど、(ベンチでも)チームのためにしっかりやることは決めていた」と、“裏方”としてチームを支えた。

 富山一戦の後半に右膝の上を強打しながらもフル出場。強い打撲で当日はかなり腫れていたが、前日4日は別調整で治療に専念し、「腫れは徐々に引いて、痛みも少し」というところまで回復した。この日も後半途中まではウォーミングアップをして出番に備えていたが、後半28分で3-0になると、スタッフから「今日は出ない」と告げられ、最後はベンチで試合を見守った。

 チームは3-0の完勝だったが、「球際や切り替えの強度が甘かった」と厳しい視線を向けるのはキャプテンだからこそ。「強度をもっと上げていこうということは選手に伝えたい」と、6日の準決勝・上田西(長野)戦に向けてチームを戒めた。

 新チームになってから田部井涼が公式戦を欠場したのは初めてだったという。山田耕介監督も「どうなるかなと思った」と不安がなかったわけではないが、代わって先発したMF秋山裕紀(2年)、キャプテンマークを巻いたMF塩澤隼人(3年)のダブルボランチが田部井涼の穴をしっかり埋めた。

 これには田部井涼自身、「自分がいなくて勝ったのは大きい」と認める。「この仲間ならやってくれると思っていた。悔しいというよりも、『やってこい』と託す気持ちが強かった」とチームメイトを信頼していた。

 連戦となる準決勝で先発復帰させるか、決勝も見据えて再びベンチに温存するか、山田監督も頭を悩ますことになるだろう。本人は「ジャンプとかするとまだ少し痛みがある」というが、「やれないレベルの痛みじゃない。8割、9割の状態にはある」と力説。1分1秒でも早い回復に努め、どんな状況になろうとチームの勝利のために最善を尽くすつもりだ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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