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後半ATに2年生FW榎本が劇的V弾!前橋育英が悲願の初優勝!

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悲願の初優勝を飾った前橋育英

[1.8 全国高校選手権決勝 流通経済大柏高 0-1 前橋育英高 埼玉]

 前橋育英が3度目の決勝挑戦で悲願の初優勝!第96回全国高校サッカー選手権は8日、埼玉スタジアム2002で決勝戦を行い、前橋育英高(群馬)が初優勝を飾った。流通経済大柏高(千葉)と対戦した前橋育英は後半アディショナルタイムにFW榎本樹(2年)が決めた決勝ゴールによって1-0で勝利。群馬県勢としても初の選手権制覇を果たした。

 雨の中、41,337人の観衆が集まった関東決戦。夏冬連覇を狙う流経大柏は準決勝から先発3人をチェンジ。DF佐藤蓮(3年)とDF三本木達哉(3年)が今大会初先発、FW熊澤和希(2年)が3試合ぶりの先発となった。流経大柏は、三本木が今大会7得点で得点ランキング首位の前橋育英FW飯島陸(3年)をマンマークする変則陣形。GKが薄井覇斗(3年)で最終ラインは右SB佐藤、CB瀬戸山俊(3年)、U-17日本代表CB関川郁万(2年)、左SB近藤立都(3年)。そして三本木はポジション関係なく飯島を徹底マーク。中盤は宮本優太主将(3年)と宮本泰晟(3年)のダブルボランチで、前線には右FW菊地泰智(3年)、CF安城和哉(3年)、左FW熊澤が並んだ。

 一方、昨年度準優勝校の前橋育英は、右足の負傷によって2試合欠場していたMF田部井涼主将(3年)が先発復帰。4-4-2システムのGKは湯沢拓也(3年)。4バックは右SB 後藤田亘輝(3年)、U-18日本代表CB松田陸(3年、G大阪内定)、U-18日本代表 CB角田涼太朗(3年)、日本高校選抜の左SB渡邊泰基(3年、新潟内定)。中盤は田部井涼と塩澤隼人(3年)のダブルボランチで右SH田部井悠(3年)、左SH五十嵐理人(3年)。そして2トップは日本高校選抜FW飯島とインターハイ得点王のFW榎本樹(2年)がコンビを組んだ。

 両校は夏のインターハイ準決勝でも対戦し、その際は3選手にマンマークをつけて相手のパスワークを封じた流経大柏が勝利。流経大柏は今回も三本木が飯島、宮本泰が田部井涼を“監視”しながら試合を進める。

 先に決定的なチャンスを作ったのは、流経大柏だった。11分、GK薄井のキックが左ハイサイドの菊地へ通る。エンドライン際まで持ち込んだ菊地が強引にDFと入れ替わり、クロス。長い距離をスプリントしてきた宮本優がフリーで飛び込んだが、わずかに合わず得点とはならない。それでも流経大柏はシンプルに前線の3人を活用した攻撃と近藤のロングスローなどからゴール前のシーンを作り出した。

 一方、前橋育英は徐々に落ち着いてパスを繋ぎ出す。山田耕介監督の言う「トントントン」というテンポの連続パスが繋がり、相手の守りを崩しかけるシーンもあった。26分にはPAへ潜り込んだ飯島がシュートへ持ち込み、27分には飯島の左足ミドルがクロスバーをかすめる。そして46分、敵陣でボールを奪い返すと、右中間を抜け出した飯島が決定的な右足シュート。だが、先制点かと思われた一撃は左ポストを叩き、前半は0-0のまま終了した。

 流経大柏は後半4分、熊澤に代えて準決勝で決勝点のMF加藤蓮(3年)を投入。11分には宮本泰をMF石川貴登(3年)へスイッチする。後半15分過ぎから前橋育英が猛攻。渡邊や角田の攻め上がりから連続攻撃を繰り出す。そして19分、田部井涼のスルーパスで左サイドを抜け出した五十嵐が左足シュート。だが、これもクロスバーをヒットしてしまう。

 前橋育英は19分、その五十嵐に代えて185cmFW宮崎鴻(3年)を投入し、飯島を左サイドへ移す。一方の流経大柏は安城とFW池田啓利(3年)を入れ替えた。苦しい時間帯を耐えた流経大柏は中盤中央にポジションを移した菊地の展開からクロスでチャンスも作り出したが、前橋育英は松田、角田のU-18代表CBコンビ中心に隙を見せない。

 34分、前橋育英は右CKから松田の放ったヘディングシュートを皮切りに塩澤、角田と3連続で決定的なシュート。だが、今大会全4試合無失点の流経大柏は、3本全てDFがゴールライン手前で身体に当てるという鉄壁の守りで1点を許さない。
 
 流経大柏は40分、佐藤に代えてMF金澤哲流(3年)を投入。試合は0-0のままアディショナルタイムに突入する。そして47分、ついにスコアが動く。前橋育英は田部井涼がPAへループパス。榎本がニアサイドでそらしたボールを、飯島が右中間でキープしてから左足シュート。DFがブロックしたこぼれ球を榎本が右足ダイレクトでゴール右隅にねじ込んだ。 
 
 後半アディショナルタイムのゴールで先制した前橋育英が、このまま1-0で勝利。14、16年度の決勝で敗れていた“上州のタイガー軍団”前橋育英が、3度目の決勝挑戦で悲願の初優勝を果たした。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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