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前橋育英の悲願叶えた田部井ツインズ、兄弟Vの次なる夢は「ライバル」として…

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兄弟で日本一に輝いた前橋育英のMF田部井涼(左)とMF田部井悠

[1.8 全国高校選手権決勝 流通経済大柏高0-1前橋育英高 埼玉]

 双子の兄弟で決勝のピッチに立ち、日本一に輝いた。前橋育英高(群馬)のMF田部井悠(3年)は試合後、「ここまで長かったな」とMF田部井涼主将(3年)に声をかけた。「そうだな」と弟は応じる。本格的にサッカーを始めた小学校3年のときから、2人はずっと同じチームでボールを蹴ってきた。

「埼玉スタジアムは他のスタジアムと違って、すごくいい雰囲気がある。双子そろって出られたのは大きな財産になった」。最高の舞台で果たした兄弟Vに田部井悠は「小中高とずっと日本一を目指してきた。やっと取れた」と安堵の笑みを見せ、田部井涼も「10年間、ずっと一緒にやってきた。最後の大会で日本一を取れたのはうれしい」と白い歯をこぼす。

 卒業後、田部井悠は早稲田大、田部井涼は法政大に進学する。チームメイトとして戦う“最後”の大会で有終の美を飾った。大学で進路が別々になることは「高校3年のはじめに“別れるんだろうな”と思った」と田部井涼は言う。だからこそ「この大会に懸ける思いは強かった」。父・晋さんは89年度大会で前橋商高(群馬)の一員として4強入り。前橋育英にとって待ちに待った初優勝は、田部井家にとっても悲願だった。

 田部井悠は早くも次のステージに視線を向ける。「大学に行ったらあいつとは対戦相手になる。全国大会の決勝で当たるかもしれないし、そこで負けたくないし、勝ちたいですね」。今度は日本一を懸けた決勝戦で兄弟で対戦し、自分が優勝する。そんな次の夢も語った兄に対して弟は「切り替えが早いな」と苦笑いし、「少し寂しい気持ちもあるけど、初めてマッチアップできるので、ワクワク感のほうが強い」と、やはり対戦する日が待ち遠しいようだ。

 田部井悠が「これからはライバル。お互いに切磋琢磨してやっていきたい」と誓えば、田部井涼も「今日、日本一になれたけど、サッカーは続く。プロに向かっていくうえで、悠は倒さないといけない相手」と言い切った。高校日本一という一つの夢を叶えた田部井ツインズの“物語”は大学サッカーへと舞台を変えて第2章に続いていく。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

●【特設】高校選手権2017

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