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普段とは“全然違う”イタリア人GKコーチの指導も柔軟に対応。U-17W杯日本代表GK梅田は明確に判断しながら次へ

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17年U-17W杯日本代表GK梅田透吾(清水ユース)は00年生まれ世代注目の守護神

 普段教わってきたものとは違うものを体感した。高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2017プレミアリーグにおける「NIKE NEXT HEROプロジェクト」ポイントランキング上位選手中心に構成されたイタリア遠征メンバーは現地時間23日午前、ミラノ市内の“ジャチント・ファッケッティ”センター (インテル下部組織練習施設)でトレーニングと体力測定を実施。GK陣は専門のトレーニングを受けたあと、8対8+GKに臨んだ。

 今回帯同している佐野智之GKコーチ(JFAアカデミー福島)がイタリアと昨年触れたというドイツとの基本動作などの違いを説明していたが、17年U-17W杯日本代表GK梅田透吾(清水ユース、2年)も普段との違いを実感した様子。「普段教えられていることと基本的に全然違いました」。手を置く位置、腰の落とし方、セービング姿勢……梅田はその時に言われたことをすぐに実行できる柔軟性を持っているために対応できたというが、「やりにくかったですね」と苦笑。日本とイタリアの方法論には、それぞれ長所も短所もあるだけに「いつもと違うので、何で違うのか聞きたかったですけれども、通訳がいるタイミングで細かく聞きたい」と語っていた。

 飄々としている感のあるGKは、一方で頭の切り替え、取捨選択の判断が速く、自分をしっかりと持っている。「考えすぎても答えが出てこない。例えば反省って大事じゃないですか。でも同じ状況が出てくるかと言ったらなかなか出てこない。だから、そのプレーに対して何時間も考えるんだったら、そのプレーをこうすれば良かったというよりも、前とか前の前とか違う見方をすると自分が納得するし、納得しなくても次に進める感じがする」。

 自分の中のスタンスも確立されている。「できないことやろうとしてもできない。やれることとやれないこと、やりたいけれどやれないこと、やりたくてできることと色々あると思います。やれても、やれなくてもチャレンジすることは大事。ただし、じゃあ、できないことをやろうとして元々できることもおろそかになるんだったら、やれることをまず100パーセントでやって、それから次に進めばいい」。今回、イタリアとの違いを学び、全てを受け入れるのではなく、自分のプラスになることを明確に判断して、次に進む“材料”にする

 昨年、梅田は清水ユースの守護神としてチームのプレミアリーグEAST首位争いに大きく貢献。本人は「自分がいても止められたかどうかは分からない」としていたが、終盤戦で彼が負傷離脱したことは清水ユースのV逸に繋がったのではないかと周囲から評されるほど、チームにとって彼の重要度は高かった。

 チームで評価を高め、昨年10月にはU-17W杯日本代表メンバー入り。初招集でW杯メンバーに招集されるサプライズ選出となり、本人も「なんで呼ばれたのかという感じでした」と振り返るが、世界のピッチにも立ったその日々は「とにかく楽しかった。行って良かったです」という。実感したのは「イングランドのGKはビルドアップ上手いなとか、あのGKは良く止めるなとか、やっぱり全部上げないといけないな」というところ。空中姿勢をブラさずにクロス対応するのをはじめ、シュートセーブなどのレベルも高い万能型のGKは全てを引き上げていく。

 静岡の“逸材GK”は「ワールドカップとかも呼んでもらって、着々と上のレベルに進めている」中でこれからもトップ昇格、U-19代表入りとさらに上を目指す。今はイタリア遠征での日々に集中。現地時間24日と25日にはインテルのアカデミーチームとの練習試合が予定されている。「余裕と思わせておいて……何か分からないけれども止めるよな」というプレーでゼロに。U-17W杯日本代表のGKがインテルアカデミーの才能たちの前に立ちはだかる。
 
(取材・文 吉田太郎)

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