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[新人戦]日本一奪還へ向けて好スタート。青森山田が大会無失点で3年ぶりV:東北

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3年ぶりの優勝を果たした青森山田高

[1.28 東北高校新人選手権大会決勝 青森山田高 1-0 尚志高 仙台育英高多賀城校舎G]

 平成29年度第17回東北高校新人サッカー選手権大会が27日と28日に行われ、決勝は青森山田高(青森)と尚志高(福島)が対戦。青森山田が3年連続同カードとなった決勝を1-0で勝利し、3年ぶり5回目の優勝を決めた。

 今大会は本来であれば27~29日の3日間、七ヶ浜サッカースタジアムと泉総合運動場泉グラウンドで行われる予定であったが、降雪の影響により両グラウンドが使用不可能となり、仙台育英高多賀城校舎グラウンドと仙台大グラウンドでの開催に変更。さらに2日間の短縮開催となり、28日10時から準決勝、同15時から決勝を行った。

 青森山田は1回戦で新屋高(秋田)に2-0で勝利。仙台大グラウンドで行われた準決勝は仙台城南高(宮城)の粘り強い守りに苦しみ、0-0で延長戦まで持ち込まれる大苦戦となったが、DF二階堂正哉(2年)のPKにより1-0で勝利し決勝へ駒を進めた。一方の尚志は1回戦で八戸学院野辺地西高(青森)に2-0で勝利。仙台育英グラウンドで行われた準決勝は仙台育英高(宮城)を相手にMF伊藤綾汰(2年)のハットトリックなどで4-0と快勝で決勝に進出した。

 青森山田は準決勝で延長戦を含め90分戦った後、仙台大グラウンドから決勝が行われる仙台育英グラウンドまで1時間程度のバス移動を強いられた。こうしたハンデもあったことから、試合は移動の無かった尚志が前半からペースを握った。右サイドハーフのMF加瀬直輝(2年)が何度もドリブルで仕掛け、長身FW染野唯月(1年)が多くのシュートを放ったが、青森山田は二階堂を中心に守備の集中を切らさなかった。今大会主将を務めたMF檀崎竜孔(2年)も「僕らはプレミアで90分の試合を経験しています。こんなので走れないようなら全国レベルでやっていけません」と語った通り、青森山田の選手たちはプレミアリーグの経験も生かし、厳しい条件でもしっかり走り抜いた。

 30分、カウンター攻撃でゴールへと突進する青森山田FW佐々木銀士(2年)を尚志DFフォファナ・マリック(2年)が倒し、得点機会阻止で退場。数的優位となった青森山田は後半に入り、今大会好調のMFバスケス・バイロン(2年)がドリブル突破を見せるなど、決定機を増やしていった。

 そして後半20分、ボランチのMF天笠泰輝(2年)がPA内で尚志DF富岡理久(2年)に倒されてPKを得た。キッカーは準決勝と同じ二階堂。「1点勝負だと思ったので、決めないといけないと思って蹴りました」と落ち着いてゴール左隅にPKを決め、先制に成功した(得点時間は後半21分)。その後は数的不利ながらもゴールに迫る尚志の反撃を、最後まで落ち着いて守り抜いた青森山田が1-0で勝利した。

 青森山田は例年、正木昌宣コーチがこの大会の指揮を執っているが、今年は28日の準決勝・決勝を黒田剛監督が視察した。「檀崎しか試合に出ておらず経験値が無いので、相当苦しいと思っていましたが、GK飯田雅浩(2年)や二階堂を中心によく声を出していて、今年絶対やってやるという雰囲気が練習からできていました。思ったよりも成長するのではないかと思っています」と2年生中心にモチベーション高く大会に臨めたことで、確かな手応えを感じ取っていた。

 無失点で大会を終え、準決勝・決勝で自身のPKが決勝点となった青森山田の二階堂は「大会前から無失点が目標でしたので良かったです」と3試合連続無失点を喜んだが、「シュートを打たせないとか自分たちが求めているところがまだ徹底されていません」とさらに細かい所を突き詰めようと意気込んだ。主将の檀崎は「一人一人やんちゃな選手が多くて個が強いですが、集まれば大きなパワーになるチームです。自分がリーダーシップを持ってやっていきたいです」と今後に向けて強く意気込む。日本一奪還に向け、青森山田は順調なスタートを切った。
  
(取材・文 小林健志)

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