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選手権決勝で対峙したライバルが最も信頼できる仲間に。ダブルボランチ組んだ2人のリーダー、田部井、宮本が高校選抜を白星へ導く

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日本高校選抜の主将を務めるMF田部井涼(前橋育英高、前列右から2人目)と副主将のMF宮本優太(流通経済大柏高)の2人のリーダーがチームを勝利へ導いた

[2.10 NEXT GENERATION MATCH U-18 Jリーグ選抜 1-2 日本高校選抜 埼玉]

 1月8日に埼玉スタジアムで開催された選手権決勝戦。そこで対峙した2人の主将がこの日、ダブルボランチでコンビを組んで日本高校選抜の勝利に貢献した。

 選手権優勝校・前橋育英高(群馬)のボランチ、MF田部井涼主将と同準優勝校・流通経済大柏高(千葉)のボランチ、MF宮本優太主将。いずれも攻守の切り替え速く、球際激しい攻防戦、そして後半アディショナルタイムの決勝点によって勝敗が決した選手権決勝戦は、多くの関係者たちから「ベストゲーム」と評されたほどの90分だった。

 それから約1か月で迎えた埼玉スタジアムでのNEXT GENERATION MATCH。宮本は「バスで(埼玉スタジアムに)来た時に『1か月前にここでやっていたんだな、もう一回来れると思っていなかったな』という話をしました」と振り返る。

 1か月前、宮本にとって「本当に一番イヤな選手だった。ましてキャプテン同士でマッチアップするので負けたくなかった」という存在の田部井は今回、隣でプレーする仲間に。この2人が序盤、やや守備のバランスを崩して、硬さも目立った日本高校選抜を立て直した。

 田部井は「前半の入りが悪かったので、修正のところは自分と優太のところで言っていました」と説明する。献身的なランニングをする前線やSHの選手の動きが無駄にならないように、またU-18Jリーグ選抜の選手との1対1で負けないこと、入れ替わってくる相手のマークがズレないように2人は声をかけ続けた。

 そして前半26分、左足の展開力を見せ続けていた田部井のスルーパスを起点とした攻撃から、MF井上怜(市立船橋高)が先制ゴール。さらに34分には田部井が「秘密兵器」という宮本の右ロングスローからFW飯島陸(前橋育英高)が加点する。

 田部井が「(宮本は)特長として運動量があって助けてもらった。そこのバランスという部分では、自分といい感じで試合の中で進めていたので相性は良かったと思います」と語り、宮本が「(田部井は) 展開力も凄いですし、自分が出たらカバーしてくれる。バランスを気にして自分がやりやすいようにしてくれている。見習わないといけない部分ばかり。自分にないリーダーシップの面もありますし、サッカー選手としての能力は自分よりも数段上を行っていると思います」と評するお互いの活躍、奮闘もあって日本高校選抜は2-1で勝利した。

 今回の埼玉合宿の期間中に日本高校選抜の主将は田部井、副主将は宮本が務めることが決まった。2人のキャプテンシーは周囲も認めるところ。事前にどちらが主将になってもリーダーシップを取ってチームを引っ張ること話していたのだという。現在は目の届きにくいところなどを確認しあいながら、チームをレベルアップさせている。

「優太はリーダーシップが凄いので、自分が言うよりは優太が本当にチーム引っ張ってくれていますし、合宿前から2人で引っ張っていくのは自分たちで話し合っていたのでそれを意識してできたのは良かった」(田部井)。

 1か月前までライバルだった2人は今、誰よりも信頼することのできるチームメート、リーダーに。彼らにとって約1か月ぶりとなる埼玉スタジアムでのゲームは協力しあって勝利することができたが、これで終わりではない。ダブルボランチでコンビを組む2人のリーダーが厳しさを持ってチームを締め、またメンバー全員が力を発揮できるように意見を出し合って、高校選抜にとって最大目標であるデュッセルドルフ国際ユース大会での優勝へ導く。

(取材・文 吉田太郎)
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