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[新人戦]前橋育英敗れる!75分間を10人で戦い抜いた桐生一が群馬決勝でライバル撃破!

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桐生一高が選手権日本一の前橋育英高を撃破

[2.11 群馬県高校新人大会決勝 前橋育英高 0-1 桐生一高 下増田運動場A]

 前育敗れる! 平成29年度群馬県高校サッカー新人大会決勝が11日に行われ、選手権日本一の前橋育英高桐生一高が激突。前半5分にGKが退場するアクシデントを乗り越えた桐生一が1-0で勝ち、3年ぶり5回目の優勝を果たした。

 前橋育英の新チームに早くも黒星がついた。前半5分に退場者を出した桐生一にシュート16本を浴びせたが、決定的なシュートがクロスバーを叩くなど最後まで1点を奪うことができずに0-1敗戦。不在の山田耕介監督に代わって指揮を執った櫻井勉コーチは「ウチの詰めの甘さ。現状の力がはっきりと出た」と敗戦を受け入れていた。

 開始わずか5分、勝敗の行方を大きく左右するようなプレーが起きた。縦パスで相手DFラインの背後を取った前橋育英FW室井彗佑(2年)を、PAから大きく飛び出したGK杉浦駿介(2年)がファウルで止めてしまい、一発レッド。立ち上がり、コンビネーションよく攻めて押し込んでいた桐生一にとっては痛すぎる展開となった。

 それでもCB中野就斗主将(2年)は「一人ひとりが責任持ってやらないとスペースが空いてやられてしまう。10人になっても戦えることを見せたかった」と振り返る。前橋育英にボールを支配され、押し込まれたものの、桐生一も注目レフティーMF田中渉(2年)とMF梅林幹(2年)を中心に奪ったボールを細かなパスワークで繋いで前進。田中のスルーパスや左MF若月大和(1年)の仕掛けからチャンスになりかけるようなシーンも作る。

 前橋育英は室井の抜け出しやドリブルシュート、また選手権決勝で劇的な決勝点を決めている注目FW榎本樹(2年)のボールキープやドリブルシュートでゴールを脅かす。だが、数的優位を得ていることが逆に焦りとなったか、攻め急いでボールを失うシーンも多発。CB中野やCB角野寛太(2年)中心に跳ね返す桐生一が凌ぎきって前半を終えた。

 前橋育英は後半開始から選手権で先発を経験している新司令塔候補・MF秋山裕紀(2年)とMF高橋優斗(2年)を投入。だが、開始直後に桐生一が先制点を奪う。2分、桐生一は田中の右CKをファーサイドの中野が打点の高いヘッドで豪快なゴール。「自分たちの代で(前橋育英に)絶対に勝ってやろうと思っていた」という中野が渾身のガッツポーズをし、青いユニフォームの選手たちが主将を祝福する。数的不利を強いられている桐生一がスコアを動かした。

 前橋育英はすぐさま反撃開始。秋山のフィードから高橋優が抜け出し、セットプレーからも決定機を作る。だが、ゴール至近距離からのシュートを交代出場のGK吉田陸人(2年)に立て続けに止められてしまうなど、1点を奪うことができない。逆に桐生一はスピードのあるFW楠大樹(2年)を投入し、田中のパスから決定機。前橋育英はGK山口瞬(2年)のファインセーブで何とか2点目の失点を逃れていたものの、苦しい試合展開となった。

 前橋育英ベンチの櫻井コーチから「(逆境を乗り越える力を)試されているぞ」という声が飛ぶ。だが、遠かった1点。前橋育英は36分に右FKからCB山原康太(2年)のヘディングシュートがクロスバーをヒットすると、アディショナルタイムにも再びクロスバーにシュートが阻まれてしまう。桐生一は後半、より守勢となったものの、GK吉田やDF陣がゴール手前で必死の守りを見せ続けて1-0で勝利。75分間を10人で戦い抜いた桐生一が前橋育英を破った。

 桐生一は今年、田野豪一監督がS級ライセンスを受講。指揮を執った中村裕幸コーチは「プリンスがけの試合で圧力を経験している。(攻められても)動じなかったですね」と語る。昨年12月のプリンスリーグ参入戦に2年生中心のメンバーで臨み、3年生中心の実践学園高や東海大相模高に勝利している桐生一はその経験が活きた。

 そして、「打倒・前育」のエネルギーも間違いなく勝因に。押し込まれても集中力を欠かさず、特に終盤、GKが反応できないシュートをDFがゴールラインまで戻ってクリアするなど守り抜いた。中野は「(前橋育英とは)選手権県内で0-1だったので、あまり差はないと思っていた。(相手は)日本一になっているので、ここで倒せばいいなというモチベーションになっていた。(今年、)群馬と言えば、桐一と言われるようなチームにしていきたい」と誓い、田中は「(プリンスリーグ含めて)全部勝っていきたい」と意気込んだ。

 今年、桐生一は昇格したプリンスリーグ関東でも前橋育英と同じステージで戦うことができる。10人でもパスワークの巧さなどを見せていたチームはより厳しい環境の中で大きな成長を遂げるか。まずは自信に繋がる1勝。群馬県勢初の選手権日本一を果たした宿敵の前に、今年は桐生一が何度も立ちはだかる。

(取材・文 吉田太郎)

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