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「実りある」大敗を乗り越えたFC東京U-18、町田ユースに4発快勝で3位入賞

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前半12分、FC東京はFW今村涼一(2年)が先制ヘッドを叩き込む

[2.11 東京都クラブユース選手権3位決定戦 FC東京U-18 4-1 町田ユース 味フィ西]

 第19回東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会は11日、3位決定戦を味の素フィールド西が丘で行い、FC東京U-18FC町田ゼルビアユースが対戦した。前半に3点を重ねたFC東京が終始優勢を保ち、後半にも追加点を奪って4-1で完勝。グループリーグ最終戦では思わぬ大敗(●0-4)を喫した昨季の「高校年代王者」だったが、名誉挽回を期して臨んだ一戦で意地を見せた。

 4日に行われた三菱養和SCユース戦に敗れた後、FC東京の佐藤一樹監督は選手たちに「ぶっ倒れるまで走ったヤツがいたか。全てを出し切ったヤツがいたか」と厳しく問いかけたという。そこで奮起したメンバーは、日々の練習から意識改革を実施。「前のめりになって、良いトレーニングができた」という1週間を過ごして、今大会最後の一戦に臨んだ。

 しかし、先に決定機をつくったのは町田だった。前半2分、右サイドを駆け上がったMF北野拓海(2年)がクロスを送ると、ゴール前でMF佐藤陸(2年)がヘディングシュート。惜しくも右上に外れたが、敵将が「あれが決まっていれば、流れがどうなるか分からなかった」とうなるビッグチャンスだった。

 ところが、このプレーで目が覚めたFC東京はその後、立て続けにチャンスをつくる。前半5分、FW今村涼一(2年)の左CKをMF寺山翼が頭で合わせると、同6分にはDF鈴木智也(2年)がオーバーラップから左足クロスを配給。MF小林里駆(1年)のアプローチは相手DFに阻まれたが、一気に流れをつかみにかかった。

 すると前半12分、ついにスコアが動く。セットプレーの流れからMF芳賀日陽(2年)がボールをキープし、左サイドを突破したMF天野悠貴(2年)にパス。「あまり得意ではない」という左足で鋭いクロスを送ると、ファーサイドに飛び込んだ今村が低い位置から頭で叩き込んだ。

 先制点で勢いがついたFC東京は前半24分、芳賀のパスを受けた小林がPA内でDF野呂光希に倒されてPKを獲得。キッカーの小林が自ら決めて、リードを2点に広げた。一方の町田は同28分、FW齊藤滉(2年)の突破でFKを獲得。同39分には、野呂のクロスにFW前田陸斗(1年)らが詰めたが、いずれもゴールを脅かすには至らなかった。

 攻勢を緩めないFC東京は前半40分、見事なファインショットでリードを広げる。今村の左CKは相手DFにクリアされたが、こぼれ球がPA外で待っていた天野の下へ。バウンドした浮き球をリラックスしたフォームから右足ダイレクトで叩くと、鋭い弾道を描いたボールがゴール右隅へと吸い込まれていった。

 3点のビハインドを負ってしまった町田はハーフタイム、指揮官がメンバーの「ケツを叩いた」(竹中穣監督)。3日の東京Vユース戦(●2-3)では前半の内容が低調だったといい、この日もその流れは変わらず。最終ラインのビルドアップが「ただ回しているだけ」だったため、「ゼルビアのストロングポイント(前線の突破力)が全然生きていない」ことを問題視し、守備陣2人を交代して後半に臨んだ。

 すると町田が徐々にペースをつかみ、後半14分、主将の一撃で1点を返す。野呂の右CKがゴール前に送られると、手を伸ばしたGK飯塚欣士(2年)ら守備陣がいずれもクリアできず。ファーサイドで待っていたMF鈴木舜平(2年)が左足インサイドで華麗に合わせ、ゴール右隅に叩き込んだ。

 ここからは両チームともに交代選手を多数起用する方針を見せ、フレッシュな選手たちがアグレッシブなプレーを見せる。FC東京はDF湯本創也(1年)と昨季のチャンピオンシップにも出場したDF草住晃之介(2年)が最終ラインで身体を張り、町田はMF甲斐稜人(1年)、MF八木直人(1年)らが攻撃を活性化させた。

 ところが互いに球際での争いが続くばかりで、目立ったチャンスはつくれない。それでも後半アディショナルタイム2分、FC東京は途中出場のMF沼田航征(1年)のパスをFW久保征一郎(1年)がつないで、PA内を突破したFW横田峻希(1年)がGK市橋和弥(2年)に倒されてPKを獲得。これを横田が自ら決めて、スコアを4-1とし、そのままタイムアップの笛を迎えた。

 三菱養和戦での大敗から立ち直ったFC東京は見事な大勝劇。佐藤監督は「ガツンと頭を叩いて頂いたのがありがたかった」と、直後の決勝戦で優勝を決めた街クラブへの感謝を口にした。もっとも、昨季は日本クラブユース選手権、チャンピオンシップの2冠を果たした王者にとって、3位入賞は満足できる結果ではない。今大会を「何となくタイトルを取るより、実りある敗戦となった」と総括した指揮官は「謙虚さ、ひたむきさ、真摯さを外したら東京じゃない」とあらためて強調し、これから本番を迎える新シーズンへの決意を述べていた。

(取材・文 竹内達也)

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