beacon

[新人戦]新生・浦和東、まず着手してきた堅守と“後半勝負”の2発で正智深谷撃破!:埼玉

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半1分、浦和東高の右SB菅瑞生が先制ゴール

[2.12 埼玉県新人大会準々決勝 正智深谷高 0-2 浦和東高 西武台第2G]

 平成29年度 埼玉県高校サッカー新人大会準々決勝が12日に行われ、浦和東高が右SB菅瑞生(2年)とFW小川翼(2年)のゴールによって正智深谷高に2-0で勝利。浦和東は準決勝(17日)で成徳深谷高と戦う。

 チームのベースとしてまず高めてきた守りの堅さを発揮し、狙い通りの後半勝負で快勝。浦和東が2年前の優勝校・正智深谷を破って堂々の4強入りだ。

 前半は正智深谷にボールを握られ、自陣に押し込まれる展開だった。だが、OBでコーチから昇格した平尾信之新監督が「チームを立ち上げてから守備は組織的にやってきた」という浦和東は、声でチームを動かすCB上原龍(2年)を中心に局面で数的優位を作る部分や、ゴール前でシュートを打たせない部分を徹底。決定打を打たせずに前半を0-0で折り返す。

 相手の快足FWオナイウ情滋(2年)に対しては常に2人がかりで対応し、同じく突破力のあるFW田中泰斗(2年)やMF波多野晟愛(1年)に対しても粘り強く食い下がってスピードに乗らせなかった。

 そして、後半開始直後、浦和東が連続ゴールを奪う。1分、絶妙なポジショニングで上原の左足フィードを引き出した菅が、DFラインと入れ替わって独走。GKとの1対1から冷静に右足シュートを流し込んで先制した。

 殊勲の菅は一瞬、戸惑ったような表情。「シュート上手いキャラじゃないので『入っちゃった』みたいな感じになってしまいました」と笑う。それでも、「自分は足が速いのでとにかく前に速く。こういう時は上原から強いボールが来るので、相手の裏を取ることを考えていました。自分が少し上がった時に相手の左SHがついてこなかった。(味方のSHと連係して)上手く外せました」というように、相手をよく見て、自分の特長を出した好プレーが貴重な1点をもたらした。

 浦和東は畳み掛ける。3分後には左サイドから仕掛けたFW前田祥玲(2年)がゴールライン際まで深くえぐってラストパス。これをニアへ飛び込んだ小川が1タッチでゴールへ沈めて2-0とした。

「プラン的にも最初は守備で行って、後半攻めに行こうという感じだったので狙い通りでした」と小川。前半とは打って変わり、浦和東は攻撃で主導権を握っていく。前線で奮闘した小川やMF中野音央(2年)らが絡みながらボールを前進させると、相手から危険視されていたMF横田遙人(2年)やMF石塚陸斗(2年)がスピードを活かしてサイドを突破する。

 正智深谷は2点を先行され、落胆の色が濃く出てしまう。後半から投入されたFW佐藤亘輝主将(2年)や右サイドで繰り返し縦に仕掛けるオナイウが中心になって攻め返してはいたものの、強引に攻めて跳ね返されるシーンの連続。相手を押し返し、セットプレーを獲得していたが、浦和東の守りは堅く、追撃することができない。

 正智深谷の小島時和監督は「まだまだ。引かれちゃって、無いスペースをどう崩すかができていない」。佐藤の仕掛けから、MF小林来維(2年)が右足シュートを狙うシーンなどもあったが、最後まで集中して守りぬいた浦和東が2-0で勝った。

 浦和東の平尾監督は埼玉県の国体少年男子選抜監督を務めるなど経験を積み、今冬に鈴木豊前監督から引き継ぐ形で監督就任。現2年生は彼らが1年時に担当として受け持っていたこともあって、目標とする姿が浸透、共有できているようだ。

「浦和東はこれしかできない、では勝てない。チームとしての引き出しを増やそうとやっています。相手に応じて、力を出していくチームが強い」(平尾監督)。まず守備から着手してきた成果が4強入りに繋がっているが、“何でもできる”ハイスペックなチームになっていくのはこれから。新人大会では「優勝したいです」(菅)という目標を達成し、5年ぶりのタイトルを勝ち取って今後へ弾みをつける。 

(取材・文 吉田太郎)

TOP