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[新人戦]1対2で強気に仕掛けるも敗退。今年に懸ける正智深谷FWオナイウ情滋「研究されている中でももっとやらないと」

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強気の仕掛けを続けた正智深谷高FWオナイウ情滋

[2.12 埼玉県新人大会準々決勝 正智深谷高 0-2 浦和東高 西武台第2G]

 1プレーで会場を沸かせたあの舞台で、1年後に大暴れする。正智深谷高FWオナイウ情滋(2年)は、1年前の選手権でわずかな出場時間ながらも圧倒的なスピードを見せつけた快足アタッカー。16年U-23日本代表FWオナイウ阿道(現山口)を兄に持つこともあって注目度が高いオナイウは、高校生活最後の1年間をスタートさせている。

 この日は正智深谷の右SHとして先発フル出場。チームの副主将を務めるオナイウは主将のFW佐藤亘輝(2年)がベンチスタートだったこともあり、ゲーム主将として前半はキャプテンマークを巻いてプレーした。

 右サイドから縦に仕掛けるオナイウは、そのスピードを警戒する浦和東高DFに距離を取って守られ、加えて常に1対2の状況。それでも引きつけたDFを振り切るように縦へ持ち込んでクロスを放っていたが、それをDFにブロックされるなど決定的な仕事をすることができない。

 この日は自分がどうにかしなければという思いの中でプレースキッカーも務めていたが、チームは引いて守る相手を切り崩せないまま0-2で敗退。オナイウも「先制されて、みんな頭回らなくなって落ち着いてできなくなった。もっと精神的に成長しなければならないと思いました」と悔しがった。

 オナイウ自身も相手の厳しいマークの中でムキになって単調な仕掛けに。警戒されている中で強引に仕掛けて攻めきれなかった部分もあった。自分の良さを十分に出しきれずに敗戦。「かわしきる前にクロスを上げて、(相手が)警戒してきた時に縦に行ってクロスとか。シンプルに中に動かしたり、切れ込んだり、左足のドリブルももっとしなければいけない。研究されている中でももっとやらないといけない」と反省していた。

 なかなか1点を奪えない中で、冷静さを欠いてしまった。小島時和監督も「今日は(何故かプレースキックを蹴ったり)よそ行きだった。アイツはスピード。それでいい」と指摘。だが、彼の意地や今年に懸ける姿勢が見えた部分もある。特に後半、ボールを受けると、多少難しい状況でも逃げずに武器である縦突破でチャレンジし続けていた。

「コーチにも、監督にも、基本的に自分が生きるところは仕掛けるところだと、自信をもってやるようにと言われている。あの状況で自分が仕掛けなくなったらチームの士気が下がってもっと悪くなるかなと思ったし、どうしてもそこだけは負けたくなかったのでクロスだけでも上げたいなという気持ちがあった」

 1年前の選手権3回戦(対創造学園高)で全国デビュー。後半アディショナルタイムからの出場だったのにもかかわらず、驚異的なスピードを披露して会場をどよめかせた。だが、その選手権の出場時間は4試合で7分間のみ。本人も選手権でのプレーについては「物足りない」と振り返る。昨年度は1度も全国のピッチに立てなかっただけに、今年はチームの中心として全国のピッチに立ち、力を示したい考えだ。

「難しいのは分かっていますけれども、高校からプロに行くという気持ちが一番強い」とオナイウ。そのためにも今年は一つでも多く正智深谷の勝利に貢献して、上のステージで武器を見せつけて、夢を叶える。

(取材・文 吉田太郎)

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