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[今日の言葉]「あれはスピード違反にならんかなあ?」快足永井が衝撃“Jデビュー”

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敵将を唸らせたFW永井謙佑の“デビュー”(写真は2011年3月5日)

2011年3月5日
「あれはスピード違反にならんかなあ?」(木村和司)

 衝撃の“デビュー”だった。2011年3月5日、豊田スタジアムで行われたJ1開幕節横浜F・マリノス戦でFW永井謙佑(現FC東京)がプロとしてJデビュー。大卒ルーキーだった永井は規格外のスピードでピッチを切り裂き、日本サッカー界に大きなインパクトを与えた。
 
 Jリーグ5クラブによる争奪戦の末、鳴り物入りで名古屋に加入。福岡大在籍時から特別指定選手として09年にJ2福岡、10年に神戸でJリーグのピッチに立っていたが、大学卒業後、プロとしてスタートを切ったこの試合で異次元の速さを見せつけた。
 
 1点を追う後半21分から途中出場。50m5秒8の快足を生かした突破力を存分に発揮し、日本代表DF中澤佑二(当時33歳)を一瞬のスピードではがして裏を取った。後半38分には左足ボレーが惜しくもクロスバーを直撃。迎えた後半アディショナルタイムには最大の見せ場が訪れた。

 自陣で中澤からボールを奪った永井はPA内でDF栗原勇蔵(当時28歳)を振り払い、快足に乗ったドリブルで突進。韋駄天を止められず、たまらず手で引っ張った栗原に警告が出され、永井は値千金のPKをゲット。これをFWケネディ(当時29歳)が沈めて1-1に追いつき、貴重な勝ち点1をもたらした。
 
 試合後、ストイコビッチ監督は「パーフェクトでサプライズ。スピードと決定力にみなさん驚いたのではないか」とスピードスターを称賛。敵将の木村和司監督は「あれはスピード違反にならんかなあ? 大したもんだね、あれは」と脱帽した。日本屈指の俊足を象徴する「スピード違反」という賛辞。名将を唸らせた永井はこの日が22歳の誕生日だった。

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