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身体の使い方が向上し“マーキュリアルな”プレー連発のFW和田とMF高木。日本代表MF倉田は「ミスを怖れずにやって欲しい」

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日本代表MF倉田秋(G大阪、左)からアドバイスを受ける阪南大高FW和田育(右)と京都橘高MF高木大輝(中央)

 現役日本代表からのアドバイスが2選手のスピードを加速させた。2月25日、“史上最速選手”を育成することを目指したプレミアムクリニック「NIKE ACADEMY MERCURIAL MASTERCLASS」(全4回)の第2日目が行われ、午後のトレーニングには日本代表MF倉田秋(G大阪)が特別コーチとして参加。「MERCURIAL MASTERCLASS」を受講中の阪南大高(大阪)FW和田育(2年)と京都橘高(京都)MF高木大輝(1年)に1ランク上のスピードプレーヤーになるためのアドバイスを送った。

 JFA Youth & Development Programme(JYD)にトレーニングメソッドを提供している「NIKE ACADEMY」。スピードに特化したスペシャルトレーニング「NIKE ACADEMY MERCURIAL MASTERCLASS」の2日目午前は2対2のオフェンス・ディフェンスなどを実施した。

 初日は身体の使い方やその向き、ボールの置き所などを指摘された2人。スピードで抜け出してもラストの精度を欠くなど、自分の持っているスピードを十分に活かしきれていなかった。

 それでもこの日、高木が「身体の使い方が変わったし、腕振ることでスピードも上がる。コーチからスピードが上がったと言われて、自分でも相手を抜くことができて実感がありました」と振り返り、和田が「肩の力を抜くことを意識したのでそこが昨日と違ったと思います。しなやかに、敵が来てもスッとかわせた。背後に抜け出すとか昨日よりもできたと思います」と語ったように、2人は前日学んだことをより自分で理解し、ピッチで実践していた。

 加えて、鈴木友規フィジカルコーチから「重心の意識を持っているのがいい」「方向転換が上手い」など評価される動きを披露。2日目は和田が抜け出しから、力の入ったシュートを枠へ飛ばしてゴールを破れば、縦への突破でDFを“無双”していた高木はカットインから利き足と逆の右足でゴールを連発するなど好プレーを見せていた。

 そして、倉田がコーチを務めた午後、「プロでは仕掛けるまでの時間が少ない。足元で止めてから仕掛けるのではなく、ファーストタッチから仕掛ける意識を持った方がいい」とアドバイスを受けると、彼らだけでなく、サポートメンバーとしてともにトレーニングした他の高校生たちも、よりファーストタッチから仕掛ける意識を持ってプレーしていた。

 その中で和田が4対4や8対8のトレーニングでDFを何度も“ちぎって”決定的なプレーをしてのける。そして高木も縦突破でDFを振り切り、ゴール前で一瞬の速さを発揮。最速を追求したナイキフットボールシューズ「MERCURIAL(マーキュリアル)」の新モデルを着用していることから、彼らの「高速の動き」は関係者たちから「今のは、“マーキュリアル”(のプレー)だった!」と賞賛されていた。

 和田と高木のプレーは、倉田の目にもはっきりとした特長があると映ったようだ。和田については「裏への抜け出しが上手いし、そこからのフィニッシュの精度が高い」と評し、高木に関しては「ドリブルが特長で、スピードがあって、サイドのドリブル突破が上手いな、センスあるなと思った」と印象を口にした。

 その上で「守備が強ければ、もっと欠点も出てくる」と指摘。倉田は高校時代、足元でボールを止めてからスピードで抜きに掛かっても“余裕”で突破することができていたが、プロ1年目で壁にぶち当たったという。プロは0.1秒を削りに来て、あっという間に2対1の状況を作ってくる。だからこそ、今から高い意識を持つこと。和田と高木は、今のままでも高校レベルではスピードで突破できるかもしれないが、将来のために、「上に上がってから壁にぶち当たる可能性がある。今のうちからやってほしい。最初はずっとミスすると思うけれど、練習ではミスしても関係ない。ミスを怖れずにやってほしい」とファーストタッチから意識してよりスピードを上げることを倉田は期待していた。

 これに対して和田は「(日常から)意識を変えたらそれが当たり前になっていくと思うので、当たり前になっていくことを増やしていきたいです」と宣言。今回、2日間の集中形式で実施された「NIKE ACADEMY MERCURIAL MASTERCLASS」では自身の身体の使い方を映像で確認したほか、宿舎でネイマールやアザール、マルセロといった選手の映像も見て、トッププレーヤーの動きを学んできた。高木が「めちゃくちゃ収穫がありました」という2日間。与えられた宿題をチームに持ち帰り、チームメートたちと日々レベルアップしながら“史上最速選手”に近づく。

(取材・文 吉田太郎)

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