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[ガバナーカップ]U-19代表CB小林不在の中で存在感示した神戸U-18CB右田、サンプドリアを零封

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ヴィッセル神戸U-18CBF右田楓

[3.24 ガバナーカップ兵庫2018 サンプドリアU-18 0-0 神戸U-18 三木防災陸上]

 U-18年代のクラブチームなどによる国際交流大会「ガバナーカップ兵庫2018」が24日に開幕し、昨年度のプレミアリーグWEST王者のヴィッセル神戸U-18とイタリアのサンプドリアU-18が対戦。両者一点が奪えず、0-0の引き分けとなった。

 正確な左足フィードに跳躍力を活かした競り合いの強さ。神戸U-18の試合を観れば、トップチームに2種登録されるDF小林友希(新3年)がどれだけ良い選手かがよく分かるだろう。同時に、隣にいるDF右田楓(新3年)も小林に負けじと良い選手であることにも気付くはずだ。

 小林がU-19日本代表の遠征で不在となったこの日は、より右田の存在が際立つ一戦だった。前半14分にサンプドリアMFジョアウ・ノブレガにクロスバーをかすめるミドルシュートを打たれるなど立ち上がりはピンチもあった神戸だが、右田が任されたエリアに関しては一切、不安は見られなかった。CBとしては小柄な176cmという身長をカバーする身体能力の高さを発揮し、相手の突破を尽くストップ。「一番ボールをおさめて、仕掛けてきた7番が嫌だった」と評するMFマリオ・フェレイラに対しては、うまく周囲と声を掛け合うことで決定的な仕事をさせなかった。

 無失点を続けながら時計の針を進めると、徐々に神戸らしいパス回しで相手を翻弄する時間が増加。同時にボールを奪えなくなった相手がイラつきからラフプレーに走る場面も増えた。ただ、MF船越大夢(3年)が「相手も気が荒かったけど、右田も気が荒いところがある(笑)。今日みたいな相手になると良く守ってくれる」と評するようにこうした状況は、右田にとっては好都合。「気持ちが昂っていた」と自己分析する右田は、闘争心を漲らせながらも、冷静さを保ったプレーを続け、無失点のまま前半を折り返した。

 後半に入ると、サンプドリアの荒いプレーが更に増え、後半13分には2枚目のイエローカードを受けたDFが退場。数的優位となった神戸はハーフコートで押し込んだが、「引いて守られてしまったので、崩し切るのが難しくなってしまった。それでも、サイドの突破まで行けたのは良かったけど、最後で決めきれないいつもの課題が出てしまった」(野田監督)、「あれだけ押し込んでいて、点が獲れなかったのは僕たちの実力不足」(船越)と声を揃えたようにゴールは奪えず、スコアレスドローで試合を終えた。

 試合の終盤には判定に不満を抱いたサンプドリアの選手が小競り合いを起こし、後味の悪い試合となったが、右田が見せたプレーはポジティブだ。この日の守備陣で、昨年から試合経験を選手は右田のみ。「友希がいなかったので、今日は僕がリーダーシップをとってやらないとダメだと思った」と振り返るように、これまでは少なかった周囲への声掛けなどでチームを牽引する姿が印象的だった。また、「攻撃が上手くなって、相手の間にパスを通せるようになってきた」と船越が認めるように、組み立てでの貢献度も高まっている。

 こうした変化は、オフシーズンに味わったトップチームの練習参加に起因する。「ユースでは出来ていることがトップではできなかった。一つひとつのプレーの質が違い、ユースでは許されたミスでも、トップチームでは失点に繋がることを知らされ、まだまだ足りないなと感じた」のと同時に、DF那須大亮のプレーから、課題であるコーチングの重要性を学んだという。また、普段CBを組む小林の存在も刺激になっており、「友希にない自分の長所を磨きながら、友希にあって自分にない部分は盗んでいきたい」と口にする。

 小林に追いつけ追い越せの精神で成長を続けた結果、二人のコンビは高校年代でもトップクラスの安定度を見せている。右田は掲げる今年の目標は昨年、プレミアリーグWESTで最少だった失点数の更新。目標が達成できれば、大目標として掲げるチャンピオンシップ制覇も見えてくるだろう。

(取材・文 森田将義)

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