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4年前からの“後退”を危惧する本田「基準が低くなった」

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ランニングするFW本田圭佑

 4年前のブラジル大会、8年前の南アフリカ大会という2度のW杯出場経験を踏まえ、日本代表FW本田圭佑(パチューカ)は自分なりの危機感と打開策を口にした。

「基準を上げないといけない」。危機感の根底にあるのは、4年前からの“後退”だ。「4年前から基準が低くなっているというのは思う。今は“善戦すれば合格”になっているけど、4年前は(相手が)ベルギーだろうが、オランダだろうが、絶対に勝つという気持ちでやっていた。その土台がなくなったなと思う」。本田は歯に衣着せずに言う。

 13年11月の欧州遠征ではオランダと2-2で引き分け、ベルギーには3-2で勝った。翌14年のブラジルW杯本大会では結果を残せなかったが、“自分たちのサッカー”を掲げて世界一に挑戦した4年前を振り返り、「もう一度背伸びして、理想を追い求めてもいいと思う。選手だけでなく、日本サッカー関係者全員でそれを築いていかないといけない」と、日本代表チーム全体が自信を失っているかのように映る現状を危惧した。

 そうしたメンタル面の一方で、ピッチ内に目を向けたとき、参考になるのはやはり8年前の成功体験だ。「ボールに食らいつくというところはもう一度やらないといけない。2010年はギリギリでミーティングして良くなった」。10年南アフリカW杯も本大会前は強化試合で敗戦が続くなどチーム状態は最悪だったが、事前キャンプ地のサースフェーで選手だけのミーティングを行い、DF田中マルクス闘莉王の「俺たちは下手くそなんだから」という言葉をきっかけに、選手たちは泥臭くガムシャラに戦うことで南アW杯16強入りにつながった。

「基礎に戻ろうぜと(ミーティングで話した)。そんなんで良くなるのもサッカー。一歩を出すとか、そういう基本的なところ。1人が1歩で、(11人なら)11歩になる。それをすべての場面で縮めていけば、失点しないかもしれないし、得点もできるかもしれない。それはやっていかないといけない」

 8年前のように原点に立ち返ることができれば、選手のクオリティーや経験値の部分では当時よりも高いという自負もある。現在の状況が南アフリカW杯前と似ているのではないか、と問われた本田は「(2010年と)まったく同じシチュエーションではないと思う。選手の立場を考えてみてほしい。(8年前は選手が)どのクラブでやっていたか」と指摘した。

 南アフリカW杯のメンバー23人のうち海外組は本田(CSKAモスクワ)、松井大輔(グルノーブル)、長谷部誠(ボルフスブルク)、森本貴幸(カターニア)の4人だけだった。今は過半数を占めるまでになり、今回の遠征メンバー26人を見ても、海外組は12人を数える。

「日本は前に進んでいるし、進まないといけないし、進んだら結果も出さないといけない。次のフェーズには行っている。やろうと思えばやれる選手であることは、ヨーロッパ(のクラブで)証明してきている」。さまざまな経験を積み重ねてきたチームメイトのことを信頼してもいる。

「そこは2010年と違う。2010年は右も左も分からないような状態で、分からないけどやるしかなかった。でも、今は分かっている。あとは結果を残すだけだと思う」。まだ立て直す時間はある。本田は自分自身、そして日本代表への自信を失っていない。

(取材・文 西山紘平)

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