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日本vsウクライナ 試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

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日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督

[3.27 キリンチャレンジ杯 日本1-2ウクライナ リエージュ]

 日本代表は27日、ベルギー・リエージュのスタッド・モーリス・デュフランでキリンチャレンジ杯を行い、ウクライナ代表に1-2で敗れた。

以下、試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

バヒド・ハリルホジッチ監督
「もちろん敗戦で喜ぶことはできない。しかし、前の試合(マリ戦)よりも良かったと思う。悪くないものもたくさん見られた。相手は非常に技術があって、サイドチェンジも上手かった。我々よりゲームコントロールができるチームと対戦したが、しっかり戦えたと思う。試合の終盤に2、3回、得点のチャンスがあったが、そこで決められなかったのは残念だ。今回はケガによって3、4人の選手を欠いていた。大会のときにはもう少し競争力のある姿を見せられるかなと思う」

─終盤のチャンスまではセットプレー以外に見るべきものがなかったように思うが。
「決定力の課題というのは世界中のどのチームも抱えている。しかし、今日は試合を通して4回か5回の決定機をつくれたと思う。相手はカンボジアやシンガポールではなく、そんなに数多くのチャンスはつくれないチームだ。これでも多いほうだと思う。相手よりも多くの決定機をつくったと思う。そして終盤、最後の5分間で2、3回の決定機があったが、そういうところで決めないといけない。得点を取るというのはどのチームにとっても重要なテーマであり、メッシやロナウドのように違いを見せる選手はいない。得点力というところで目立った活躍ができる選手をずっと探しているが、そのトライをしなかったとは言えないと思う」

─ボールを持ったときのデュエルで苦しんでいるように見えたが。
「準備の段階からゲームコントロールのところがうまくいっていなかった。(マリ戦は)少し慌ててプレーしたり、バックパスが多かったり、ボールコントロールでのミスがあったりしたが、今日の試合ではそこが良くなっていたと思う。ボールを奪うこともより多くできたし、奪ったあとの狙いも速いプレーだった。いきなりそれができるわけではない。ボールを奪ったあとのファーストパスが重要で、ゾーンを変えてプレーしないといけないが、そこがうまくいかなかった。そういったところでは相手のほうが日本より上手かったと思う。しかし、ポジティブなものも見られた。今回のメンバーに2、3人復帰してくる選手が加われば、ボールを奪ったあとのゲームコントロールが上がると思う。ボールを奪ったあとの速いプレーが現代のサッカーでは求められる。もちろんまだ準備はできていない。これから改善するためにしっかりトレーニングしないといけない。しかし、ドローに限りなく近い試合はできたかなと思う。ベルギー戦も少し似たような状況だった。点を取るのに20回の決定機をつくるのを待っていたら決まらない。数少ないチャンスで決めるというところも一つの改善点だ。ナーバスになっていたとは思わないが、奪った直後の冷静さがあればよかったと思う。奪った直後のボールホルダーのプレーとボールをもらう前線の選手の動きが連動しないといけない。改善するためのトレーニングはこれからたくさん行っていかないといけない」

─マリ戦も今回もフィジカル的な部分で差があったが、相手にとってより危険な存在となるためには何が必要か。
「もちろん、その差によって起こる問題というのがある。我々は自分たちの特徴を生かした守備と攻撃をしないといけない。もちろんフィジカル的なパワーで相手に対応するための強さを持った選手も必要だと思うが、我々の特徴に合わせたプレーが必要だと思う。中央にいる選手にはパワーの部分での対応も必要だと思うので、私もたくさんのオプションを見ている。そしてボールを持ったら攻撃のところで我々の瞬発力、俊敏性、スピード、リズムの変化、速いボール回し、前に向かう動きといったものが必要だが、今日は引いてもらう動き、相手ゴールに背を向けたプレーが多すぎた。そういったところも変えていかないと本大会ではうまくいかない。相手ゴールに背を向けて、引いてもらうというプレーが多すぎた。我々の特徴に合ったプレーを実行しないといけない」

─今遠征の収穫は。メンバー選考で序列が変わるところはあったか。るか。本田圭佑についてはどうか。
「このタイミングで世界中のどの監督も行ったことだと思うが、多くの選手をテストした。ケガの問題もあって、レギュラーと言える選手を5、6人呼べなかった。ブラジルやフランスではないので、その選手が欠けたところがのしかかってくる。ただ、その中で多くの選手を試した。試すことによって得た情報もある。もちろん、すべての情報が良いわけではない。まだ全員が最高の状態ではないと思う。これからクラブの視察も続けていきたい。

 例えば中島は一つの発見だった。多くの人にとってサプライズだったかもしれないが、長い間、我々は追跡していた。2試合とも交代で入ったが、満足のいく姿を見せてくれた。W杯に向けてチームを編成していくとき、その中にはスピード、パワー、いろんな要素を入れていかないといけない。23人の(中島)翔哉を選ぶわけにはいかない。特徴をミックスしていかないといけないが、現時点で言えるのは最終リストの作成は大変な作業だということだ。しっかり熟考して作成していきたいと思う。どのようなプレーをしないといけないのかというものは私の中にある。非常にパワーがあって、形を崩さないようなチームと対戦するが、そのW杯の厳しい要求に応えられる編成にしないといけないし、罠に陥ってもいけない。もちろんチームを応援している方々は、日本がボールを持って攻撃を仕掛け続けることを期待するかもしれないが、そのようなぜいたくなことはできないと思う。

 ブラジル代表を見てもプレースタイルが大きく変わっている。攻撃のみを考えるチームではなく、前線、中盤、最終ラインにいるすべての選手が守備にも関わっている。フランスという優勝候補のコロンビア戦を見たが、後半、少し気を抜いたところでコロンビアに敗戦を喫してしまった。我々も自分たちに何ができるのかということをしっかり認識しなければならない。幻想を抱いてしまっては罠に陥ってしまうだけだ。もちろん(選手の)選択のところで、非常にデリケートな判断を下していかないといけないと思う。私は監督としてできるだけ多くの選手に出場機会を与えてきた。そうすることによって競争も促した。現在、難しい状況にいる選手たちもいるが、まだ23人は決定されていない。いろいろ自問しながら進めていきたい」

─準備の段階ということだが、4年前のアルジェリアと比較しても似たような状況なのか。
「同じような時期にそれぞれのクラブでレギュラーとして出ていない選手がいたので、少し似たようなところがあるかもしれない。ただ、アルジェリア代表の場合は個人で違いを見せられる選手がいた。日本の場合はあまりそれがない。パワーもアルジェリアのほうがあったかなと思う。日本のほうが規律を守る部分があるが、規律を守るとはいえ、日本でも変えにくい部分、私がトライしていても変わらない部分はある。ただ、W杯直前に3週間トレーニングできる時期があるので、そこで守備と攻撃の両方で改善できる部分もあると思う。選手たちそれぞれがトップコンディションに上げていけることに期待している。合宿のたびに2試合プレーするが、内容は毎回、2試合目のほうが良くなっている。今日は敗戦になったが、前の試合と比較すれば内容やハードワークの部分は良くなっていた。ポジディブなものもたくさんあった。4、5人の新しい選手が入っている中で、ゲームコントロールや決定力という部分も見られた。日本はさらに高いレベルでプレーする姿を見せられると感じている。ウクライナ代表は世界のトップ20から25には確実に入るレベルの高いチームだ。彼らも今後のための準備ということでしっかり戦った。そのような相手に対して、ここまで戦う姿を見せた日本ということも考えないといけない。新しい選手も5、6人いる中で戦った。厳しすぎる目はよくないと思う。ただ、W杯レベルを考えると、まだ上げていかないといけない」

─前半と比べて後半は選手たちの姿勢が良くなったように感じたが、監督から何か働きかけがあったのか。
「毎試合そうしているが、ハーフタイムに修正する。守備では(酒井)高徳と(本田)圭佑サイドでより縦を切ってプレーしようと指示した。我々の左サイドでは3人の選手がポジションチェンジしながらトライアングルをつくっていた。(長友)佑都、長谷部、(柴崎)岳などには相手がポジションを入れ替えている中でどうやって相手を捕まえるのかという話もした。1対1で形をつくられたのは少し心配だった。ボールを奪ったあとのファーストパスでもできるだけ早いタイミングでサイドチェンジしようと要求していたが、それがなかった。相手のサイドチェンジは素晴らしかった。我々はそういったところで迫力がなかった。若い選手が多い中で冷静さに欠け、テクニックのミスが出てきたことも考えられる。ただ、試合終了間際の3、4分間の中で3回、4回と決定機をつくることができた。こないだの試合で(クリスティアーノ・)ロナウドは95分、96分ぐらいで点を取って、それがなければ(ポルトガルは)勝てなかった。いつもどおり完全に満足することはできないが、ポジティブなものも見られた試合だった。選手たちは最後までしっかり戦ったし、ハイプレスもでき、最後の3分、4分のところで決定機もつくったので、喜ぶべき部分もある。ただ、繰り返すが、W杯のことを考えるとまだ十分ではない。そこはしっかり認識している。今日の姿を批判されても、それを受け入れながら向上、改善していかないといけないと思う。W杯で結果を残したいなら改善が必要だ。

(取材・文 西山紘平)

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