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日本高校選抜がデュッセルドルフ国際前日調整、MF宮本「何回もしつこく行く」守備で外国人止める

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デュッセルドルフ国際ユース大会を翌日に控え、調整する日本高校選抜MF宮本優太

 29日開幕の第56回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会(ドイツ)に出場する日本高校選抜が28日にドイツ入りし、デュッセルドルフ市内の宿舎で調整を行った。

 この日は雨。そして夕方に気温が下がったことも考慮して選手たちは到着後に室内でトレーニングを行った。米澤一成コーチ(京都橘高)が京都橘高でも取り入れているピラティスの動画を日本の講師から急きょ送ってもらい、それを見ながら平野直樹監督(履正社高)らスタッフたちも身体を動かした。筋肉を刺激するメニューに選手たちは「これ、マジでヤバイ」「暑い!」という声を上げながら約1時間のエクササイズ。じっくりと汗をかいて翌日の初戦に備えた。

 26日、27日にはオランダでユトレヒト、アヤックスのアカデミーチームとそれぞれ練習試合を行い、2連勝。外国人選手の当たりの激しさを体感してきた。本職のボランチに加え、右SBも務めて190cmクラスのアタッカーやテクニカルなボランチともマッチアップしたMF宮本優太(流通経済大柏高→流通経済大)は「やっぱり一発では勝てないですけれども、しつこく何回も行ったらボールを獲れた。しつこく何回も行けば獲れると分かった」と振り返り、右SB後藤田亘輝(前橋育英高→青山学院大)も「(欧州の選手は)結構しつこくいけば焦れてくる。相手が焦れてくればいける」と大会初戦でも「しつこく」守備する考えを口にしていた。
 
 平野監督はチームに対し、攻守に渡って数的優位を作ることを求めている。加えて、攻撃面ではチャンスで確実に仕留めること、チャンスの数を増やすことがテーマとなるが、守備でどれだけ人数をかけて「しつこく」相手ボールに絡み、奪い切ることができるかも勝利への鍵。日本は相手にサイドを変えさせずに2、3人がかりで挟み込んでボールを獲り切って、チャンスの数を増やす。

 流経大柏で読みの速さと素晴らしいアプローチスピード、球際の強さによってボール奪取を連発していた宮本は、高校選抜でも守備のキーマン。今回は自身初の海外遠征で、初めて外国人選手と対戦しているが、「(オランダでは)ボール獲りの部分でも何回もボール獲れていましたし、フィジカルの面でも身体ぶつけて絶対に負けるという訳でもなかったですし、そういうところで自分の良さを出してバチバチやれていた」と手応えを口にする。

 準優勝した高校選手権後に大学でのプレーを想定して体重増加にチャレンジ。4kg増やし、そこから体幹強化などを行って身体を絞ってきた。「この大会の目標は毎試合どの選手よりも走ったと言われる選手であるのが一番に評価されるポイントだと思うので、それに向けて取り組んでいくことと、ずっと選手権前から掲げていた目標で『1点取れるボランチになる』こと。そういうところでもっともっと自分の特長の走力を活かしていきたい」と意気込んでいる。

 流経大柏では試合前の円陣後にGK薄井覇斗(流通経済大柏高→流通経済大)が宮本の背中を叩いて気合を入れるシーンが恒例の“儀式”だった。元々、流経大柏の先輩MF菅原俊平(現流通経済大)が試合前に行っていた儀式を宮本が先輩の許可を得て真似る形でスタート。昨年はForza'02時代からチームメートの薄井が宮本の背中を叩いて、気合注入し続けていたが、デュッセルドルフ国際ユース大会でも試合前に薄井が宮本の背中を叩くシーンは見られそう。ユニフォームは変わったが、日本を代表する選手として強い気持ちを持って世界と戦うだけだ。

 1月の高校選抜候補合宿から2か月強の時間をかけて迎える“本番”の勝負。「終わってからあの時やっておけば良かったな、この選抜だったらこうやっておけば勝てたなということを思わないように、常に100%でぶつかって、どんな相手にも日本の良さ、しつこいところだったり細かいところを出してやっていければいいと思います」という宮本が、試合開始からフルスロットルで走り回って、「しつこい」ディフェンスで日本に流れを引き寄せる。

(取材・文 吉田太郎)
●2018日本高校選抜欧州遠征特設ページ

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