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欧州で2戦連発中の高校選抜MF菊地、S・リエージュ戦はゴールよりも「チームのために走る」

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チームのために走ることを強調する日本高校選抜MF菊地泰智

 第56回デュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)が現地時間29日に開幕する。大会4連覇中のザルツブルク(オーストリア)やエバートン(イングランド)、地元ドイツのブレーメン、フォルトゥナ・デュッセルドルフなど参加10チームが2グループに分かれて予選リーグを行い、各グループ上位2チームが準決勝に進出する。グループ2の日本高校選抜は29日にスタンダール・リエージュ(ベルギー)と対戦。まずは初戦勝利を目指す。

 29日、日本高校選抜は現地時間20時15分キックオフの試合へ向けて約1時間の散歩を行ったり、アヤックスとの練習試合(27日)の映像を確認したりしながら、大事な初戦へ向けた準備を進めている。大きな怪我を負っている選手はおらず、好調を維持している選手も。欧州入り後の2試合連続でゴールを決めているレフティーMF菊地泰智(流通経済大柏高→流通経済大)は結果を残している一人だが、ゴールを挙げられているからといって調子に乗ってシュートを打つのではなく、自分が求めているミスの少ないプレー、走ることを徹底してチームに貢献する考えを口にした。

 前日に大会スポンサーの表敬訪問を行った際、激励に訪れた日本代表FW原口元気、FW宇佐美貴史と交流。流経大柏OBのJリーガーと練習したり、見ているだけでも意識が上がるという菊地は欧州でプレーする2人を見てまた気持ちが引き締まったという。

 同会場で宇佐美のインタビュー映像を見た菊地は「ゴールって獲れてしまえば簡単に思えて、獲れていない時はどうやって獲っているんだろうと話しているのがビデオであって、共感できるものがあった。自分にも以前、どうやって点獲れていたんだろうという感じがあったけれども、獲れている時はこれで獲れるんだ、という感覚もあって今はその状況に寄っている」と説明する。

 準優勝した高校選手権の初戦でファインショット2発を叩き込んでいる菊地は今回の欧州遠征で結果を残しているだけに、スタンダール・リエージュ戦でもゴールへの期待が大きい。だが、本人はそれを自制する。「いつもよりもシュートを打つことを考えてこっちに来て、点が獲れている。でも、その考えだと自分が強く(シュートに)行っちゃうので、やはり(普段どおりに)一歩引いてチームのために走って、勝つことに貢献したい。自分は小さいので走っていないといけない」と静かに意気込みを語った。

 まずは自分が求めていることを徹底する。「こっちに来て、プレッシャーが大してかかっていなくても感じてしまっている。(流経大柏の)エノさん(榎本コーチ)にボールロストが一番少なくないといけないと言われていることが、毎試合頭をよぎるんですよ。もしも、エノさんがこっちに来て見ていたら、点獲っているけれどもめっちゃ怒られるんだろうなというのは試合やるたびに思っています」。攻撃のテンポを上げなくてもいいところで上げてしまい、ボールを失っていることを反省。流経大柏の本田裕一郎監督がそのサッカーセンスを非常に高く評価するレフティーは、しっかりと見えているところにボールをつけて、相手の背後へ走る動き、止まってボールを受け直す動きなどの判断の質を高めて攻撃をコントロールする。

 チャンスがあればもちろんゴールを狙うが、自分のことよりもまずはチームの勝利。高校選抜に選ばれていない選手たちの思いも胸に戦い、チームのために走ってまずは1勝を挙げる。
 
(取材・文 吉田太郎)
●2018日本高校選抜欧州遠征特設ページ

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