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先輩たちから受け継がれたキャプテンマークを左腕に躍動。日本高校選抜MF田部井が追加点

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後半7分、日本高校選抜のキャプテンマークを巻くMF田部井涼主将(前橋育英高→法政大、右)が追加点。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[3.29 デュッセルドルフ国際ユース大会予選リーグ スタンダール・リエージュ 0-2日本高校選抜]

 日本高校選抜のキャプテンマークは「特別」なものだ。2年前からデュッセルドルフ国際ユース大会に出場する日本高校選抜のキャプテンマークにはその年の主将が記名し、次の年へと受け継がれている。29日、第56回デュッセルドルフ国際ユース大会初戦出発前に、“伝統”のキャプテンマークはMF田部井涼主将(前橋育英高→法政大)の手に渡った。

 2年前のMF中村健人主将(現明治大)、昨年のMF住永翔主将(現明治大)の下に名を記した田部井は、そのキャプテンマークを左腕に巻いてピッチへ。「試合前に歴代のキャプテンの名前が刻まれたキャプテンマークをもらって、相当重みは感じましたし、自分自身相当プレッシャーは感じました」という。

 だが、同時に「自分としては『嬉しい』という気持ちが強くて、こういう素晴らしいチームで伝統ある大会に出られて、それを率いられていることは今後多分そんなにない経験だと思うので、これを糧にプロになっていきたい」とプレッシャーを前向きに捉えた田部井は中盤で存在感を見せる。味方と連動した動きでボールを奪い取り、攻撃に移れば速攻の起点に。そして、外国人の激しい攻防戦で戦う姿勢を見せ続ける。

 後半7分には貴重な追加点。右SB後藤田亘輝(前橋育英高→青山学院大)のスローインをバイタルエリアで受けると、前を向いて仕掛ける。そしてシュートモーションに入ると、ファーサイド側へ身体を動かしたGKの逆の動きを見逃さずにニアサイドへ左足シュート。これを見事に決めて2-0とした。

 ヤマを張って動いてくるGKの動き、そしてアウトプレーで集中力を切らしていた相手の隙を見逃さずに決めたファインゴール。それまでは中盤でバランスを取る時間帯が多かったが、「外国人の選手はここぞという時の攻撃がタイミング良いので盗みながら、『ここ行けるかな』と思っていったんですけれども、あそこで点取れたんで良かったです」。外国人の攻め上がりのタイミングを自分に活用したゴールでもあった。

 田部井はピッチ内外で抜群のリーダーシップを発揮して前橋育英を初の高校選手権制覇へ導いたキャプテン。日本高校選抜でも始動時からキャプテンの役割を担ってきた。日本高校選抜は強豪校のリーダーや主力選手たちが居並ぶ集団。自立した仲間たちに任せていた部分もあったが、仲間同士の繋がりが強くなると同時に指摘し合う部分が薄まったと感じていた。

 ただし、直前合宿から欧州遠征へかけて、チームには指摘し合う厳しさも出てきている。田部井は「厳しく言えば絶対にやってくれるし、だったらそっちを選んだという感じです」。この日の終盤も集中力を欠き、間延びしそうなところで田部井やMF宮本優太(流通経済大柏高→流通経済大)が積極的に声がけしてチームを引き締め、完封勝利に繋げた。

 1年前、主将を務めた住永は5位に終わったデュッセルドルフ国際ユース大会終了後、1年後にキャプテンマークを巻く選手へ向けて「来年つける人は責任を持って欲しいし、日本の代表として、キャプテンとして、今後もっといい成績が出るように頑張って行ってほしいなと思います」と語っていた。

 今年の目標は優勝。田部井は「(平野直樹)監督も『前後際断』と話していたので、これからもいい準備をしていきたい」。受け継がれたキャプテンマークを巻く田部井が伝統ある日本高校選抜のリーダーとしての責任を持って厳しくチームと接し、全力で戦い抜く。 

(取材・文 吉田太郎)
●2018日本高校選抜欧州遠征特設ページ

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