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[船橋招待]「止める、蹴る、外す」の“風間流”継承中、名古屋U-18は市船5発に沈む

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市立船橋高に5失点敗戦となった名古屋グランパスU-18

[3.30 船橋招待U-18 市立船橋高5-2名古屋U-18 グラスポ]

 第23回船橋招待U-18サッカー大会が30日、千葉県船橋市内の2会場で開幕した。グラスポ法典公園での第1試合は、今季から高円宮杯プレミアリーグへの復帰を果たした名古屋グランパスU-18(愛知)が同じくプレミア勢の地元市立船橋高(千葉)に2-5で敗れた。

 昨年12月のプレミアリーグ参入戦でトップカテゴリへの復帰を飾り、新たに就任した古賀聡新監督のもとでスタートを切る“若鯱軍団”。すでにJリーグでも出場機会をつかんでいるDF菅原由勢(新3年)に加え、トップチームに帯同しているMF成瀬峻平(新3年)、DF藤井陽也(新3年)を欠いた陣容で、総仕上げとなる関東遠征に挑んだ。

 先手を取ったのは市立船橋。前半9分、DF橋本柊哉(新3年)がロングフィードを敵陣左サイドに落とすと、ボランチのMF岡井駿典(新3年)が勢い良く走り込む。角度のないところから左足を振り抜き、強烈なアウトサイド回転でファーのサイドネットへ。平日午前から集まった観客もどよめくスーパーゴールが決まり、両軍計7点が入る多点試合が幕を開けた。

「前半はやろうとしていることができた」(古賀監督)という名古屋もすぐに試合を振り出しに戻す。前半17分、右サイドをMF手嶋秀(新3年)が攻め込むと、中盤でパスを受けたMF倍井謙(新2年)が縦へ展開。後ろ向きにトラップしたFW兵藤健斗(新3年)が振り向きざまに左足で狙い、華麗にゴール右隅へ流し込んだ。

 1-1で迎えた25分ハーフの後半は、さらなる点の取り合いとなった。市立船橋は後半2分、左からの崩しを受けたFW松尾勇佑(新3年)が右足で流し込んで勝ち越しに成功。さらに同7分、右CKがファーサイドに流れ、DF岸本駿朔(新3年)が頭で落とすと、波状攻撃からFW西堂久俊(新3年)が押し込み、一気にリードを2点に広げた。

 攻勢を強めたい名古屋は後半11分、右サイドでボールを持ったDF牛澤健が斜めのパスを送り、中央で収めたのは前半にもゴールを決めていた兵藤。一瞬の持ち出しで相手を外して左足シュートを叩き込み、背番号9の2得点目で1点差に迫った。

 それでも市立船橋は攻め続ける。後半19分、FW賀澤陽友(新2年)が自ら倒されて得たPKを決めると、同20分にはFW鈴木唯人(新2年)のシュートのこぼれ球を拾った岡井がダイレクトで流し込み、リードは3点差に。守備では最後まで名古屋の得点を許さず、試合を5-2で終えた。

 名古屋U-18の古賀監督は試合後、「最後のアタッキングサードの質が足りずに行き詰まってしまった。相手に対して、パスの出し手と受け手の質で上回れず、シュートにいたらなかった」と敗因を指摘。大量5失点については「これは課題でもあるが、速い攻撃で守備が整う前に突かれている。攻守の切り替えと、守備組織を整えるスピードを上げないといけない」と述べた。

 今季は攻守の要となる3人がトップチームに招集され、戦力ダウンが懸念される名古屋U-18。だが、ネガティブな側面ばかりではないという。トップチーム出場経験を持つMF萩野滉大(新3年)に加え、MF田邉光平(新2年)、倍井の3人は前日までトップチームのトレーニングに帯同。「トップのサッカーを目指す上で、アカデミーにも落とし込む」(古賀監督)というサイクルの中で、プラスに作用しているようだ。

「良い選手は他にもたくさんいますし、能力のある選手がいる。チャンスがあるなら上でやっていけばいいし、良い選手はジュニアユース(U-15)から飛び級でプレーさせてもいい」(古賀監督)。そう意気込む新指揮官は「止める、蹴る、(相手を)外す」という風間八宏監督のポリシーをそのまま受け継ぎ、新たな名古屋アカデミーのスタイルを構築していく構えを見せていた。

(取材・文 竹内達也)

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