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名古屋を3年で“クビ”…這い上がったG大阪森勇人、プロ5年目のJ1デビュー

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プロ5年目でJ1デビューを迎えたMF森勇人

[3.31 J1第5節 FC東京3-2G大阪 味スタ]

「もっと感慨深いものになるのかなと思ったんですけど、課題というか、もっとああしたい、こうしたいという方が出てきました。でも試合に出たということに関しては、腐らずサッカーをやってきて良かったなと思います」

 ガンバ大阪のMF森勇人(22)が3月31日、J1デビュー戦を迎えた。出番がやってきたのは2-3と勝ち越しを許した直後の後半21分から。同点ゴールを期待された森は積極的にプレーした。

 ただ後半29分の強烈ミドルはGK林彰洋の好セーブに阻まれる。終了間際の波状攻撃でもシュートを打ったが、ゴールネットを揺らすことは出来なかった。「チームを助けたかった」。嬉しさより悔しさの残るデビュー戦になった。

 森は愛知県安城市出身の22歳。名古屋グランパスの下部組織で育ち、14年にトップ昇格した。エリート街道を進んでいたかに思えたが、プロの壁は厚く、名古屋ではナビスコ杯(現ルヴァン杯)3試合と天皇杯1試合に出場したのみ。16年オフに契約満了を言い渡された。

 挫折。プロで戦うという現実。ただそんな森に声をかけてくれたのが、G大阪だった。移籍1年目の昨季はU-23チームでJ3リーグ戦23試合に出場。持ち前のリーダーシップを評価され、チームキャプテンも任された。そこで感じたのは手ごたえ。「J3でちゃんとやれている選手はJ1でも必ずやれる。堂安(律)だったり市丸(瑞希)や(初瀬)亮を見ていると感じます」。

「今は倉田秋君を手本にしています。出して動いて飛び出して、自分でボールを持てるし、パスも出せる。そしてシュートも決めれるというのは、すごく意識しています。僕もああいうプレーヤーになりたいなと思います」

「これまで課題と言われていた部分を意識しすぎていた。今はそれを上手く消化して、逆に自分の武器に出来ている。オフの動きが良くないというのがあったんですけど、今はゴールに向かって走る動きを意識してプレーしています」

 2歳下の弟・森晃太の活躍にも刺激を受けている。ヴァンフォーレ甲府でプレーする晃太は、3月7日のルヴァン杯札幌戦でプロ初ゴールを記録。同14日のルヴァン杯清水戦でも決勝弾を決めた。「晃太も去年は怪我で苦しんでいたけど、ルヴァンで結果を出した。すごく刺激になるし、僕も頑張りたいです」。

 ルヴァン杯。4月4日に予定されているルヴァン杯第3節の相手は奇しくも名古屋だ。思い出の詰まったパロマ瑞穂スタジアムでの試合がある。トップチームデビュー直後の一戦、十分に出場の可能性があるタイミングで迎える一戦。「タイミングじゃないですけど、感慨深い」と表情を緩めるも、「出たら成長した姿を見せたい」と気を引き締める。

「見返したいというよりは、育った場所なので、反骨心はそこまでない。憎しみがあるわけではないので、元気に楽しくプレーしている姿を見てほしいなと思います。でも結果的に僕のゴールで勝ってやろうというのはあります」

 自信を取り戻した22歳の“恩返し”に期待したい。

(取材・文 児玉幸洋)
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