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ごまかしのきかない世界で感じた課題。高校選抜MF菊地は本当に“怖い選手”へ

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日本高校選抜のMF菊地泰智(流通経済大柏高→流通経済大)

[4.2 デュッセルドルフ国際ユース大会決勝 ボルシアMG 1-2 日本高校選抜]

 高校レベルではできていたことが、世界では同じようにいかない。それを実感する欧州遠征となった。日本高校選抜のMF菊地泰智(流通経済大柏高→流通経済大)は第56回デュッセルドルフ国際ユース大会で全6試合に先発出場。左右、中央の2列目のポジションでプレーし、重要なプレーヤーであり続けたが、大会後は自分のやりたいことができなかった悔しさを滲ませていた。

 初戦の先制アシストや準決勝でDFを引きつけてスルーした“決勝アシスト”など大事なところでゴールに絡むプレーをしていた。だが、得点が奪えなかった。決勝戦では前半15分にFW荒木駿太(長崎総科大附高→駒澤大)とのコンビネーションから中央へ持ち込んで左足シュート。18分にはクロスに対してDFを振り切ってゴール前に入り込む動きで1タッチシュートを放ち、21分にも田部井とのワンツーでPAへ切り込んで見せる。

 だが、このシーンは「もう少しスピードに乗ったままファーストタッチしていたら(シュートを)打てていた」と反省。DFを引きつけてからのワンツーで相手を振り切る動きまではイメージ通りだったが、ファーストタッチが緩くなってしまい、ラストパスを選択するしかなくなってしまった。

 菊地は後半4分にも右サイドへの抜け出しからFW佐藤颯汰(日章学園高→北九州)へ決定的なラストパス。このシーンも得点には繋がらなかったが、2列目で得点の予感をさせていたことは確かだ。高校のチームメート、MF宮本優太(流通経済大柏高→流通経済大)は「今回は守備で貢献していたと思います。相手がボーっとしている時とかに緩急つけていくところはアイツの良いところ」と印象を口にしていたように、献身的な守備や巧みに相手DFをブロックしながら一歩前に出る部分、感覚的にスペースへ出すパス、ダイレクトでの崩しでも持ち味を出した部分が多かった。

 ただし、菊地は「点を取っていない」と首を振る。流通経済大柏のコーチ陣から再三言われていたのが「上手い選手だけじゃなくて怖い選手に」という言葉。それをデュッセルドルフ国際ユース大会では表現できなかった。

 普段、高校サッカーではできていることが、世界ではごまかしがきかない。選手権で3得点を挙げているMFは外国人選手の逆を取るような動きからゴール前に侵入していた一方、一瞬で間を詰められてボールを失ったり、マークを外したと思ってもついて来られていたり、国内との違いを思い知らされた。その中でもゴールを決める選手にならなければならない。日本の高校生をを代表して戦った世界との真剣勝負。そこで初めて気づくことは多かった

 流経大柏の榎本雅大コーチからは「ディバラのように」と期待されてきた。デュッセルドルフ国際ユース決勝前にFWパウロ・ディバラの映像を見ると、菊地の目に映ったのはゴール方向へ向かうファーストタッチをするなど、ディバラのゴールに直結するような“怖い”プレー。トッププレーヤーは菊地の課題を当たり前のように実行している。それでも、今回、日常とは違う空間で感じ、学んだことは注目レフティーをまた一段階引き上げるかもしれない。

「高校時代は(怖い選手になるということが)分かっていなかったからできなかった。大学入る前にこういう経験ができたのはデカイなということと、高校の時から怖い選手にならないといけなかったな、選手権でチーム勝たせられたなという思いもある。大学でチームを勝たせられるようにして、プロに行けたら一番理想ですね」。身長160cm台と小柄だが、流経大柏の名将、本田裕一郎監督が絶賛するサッカーセンスの持ち主。課題を改善し、世界でもゴールを奪えるような“本当に怖い選手“になる。

(取材・文 吉田太郎)
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