beacon

[MOM2464]流経大柏DF岩崎千里(3年)_『頂点』への道も一歩から…プレミア開幕戦で決勝OG導く!

このエントリーをはてなブックマークに追加

決勝点となるオウンゴールを誘発し、チームメートから祝福される流通経済大柏高DF岩崎千里(背番号2)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.7 高円宮杯プレミアリーグEAST第1節 流経大柏1-0清水ユース 味スタ西]

 2年ぶりにプレミアリーグEASTの舞台に帰ってきた流通経済大柏高。いまだ得点パターンを構築するには至っていない状況下で、決勝点のオウンゴールを導いたのは背番号2の右足だった。勝利の立役者となったDF岩崎千里(3年)は得点が決まった直後、チームメートに囲まれて喜びを爆発させていた。

 昨季、プリンスリーグ関東を2位で終えた流経大柏は、プレミアリーグ参入戦で大阪桐蔭高、徳島ユースを連破。悲願のプレミアリーグ復帰を果たした。そうして迎えた今季の開幕戦。降格した一昨季は青森山田高に0-3で敗れ、そこから歯車が狂っていただけに、「監督から『初戦負けると危ない』とずっと言われていたので、初戦が大事だと思っていた」(岩崎)と並ならぬ思いで臨んだ。

 序盤から試合を支配した流経大柏だったが、前半は8本のシュートを放ちながらも無得点。しかし後半15分、ようやくスコアが動いた。右サイドでロングスローのモーションに入ったMF熊澤和希(3年)がフェイクで短いスローを送ると、右サイドバックの岩崎がトラップ。そこから前を向いた岩崎は一気にサイドを駆け上がった。

 身体を寄せてきた相手DFと見事に入れ替わり、追いかけてきたもう一人のDFも振り切って果敢に突破。中央寄りに進路を取り、低く鋭いクロスをゴール前に送ると、クリアを試みたDFに当たり、ポストに跳ね返ってゴールマウスへ。記録はオウンゴールとなったが、ほぼ独力で呼び込んだ得点となった。

「スローインをもらって、ごちゃっとなったんですけど、振り向きざまにスペースが見えて。クロスはいつもの練習どおり。たまたま……入っちゃった、みたいな感じ」。得点の場面をやや照れくさそうに振り返った岩崎だったが、ゴール後はチームメートが手荒い祝福。別の流経大柏の選手が「触った!」とアピールしていたようだったが、歓喜の輪の中心には背番号2の姿があった。

 終わってみればシュート数は『17対2』で、完勝とも取れる内容だった。だが、両チームを通じての得点は一つだけ。終盤には清水ユースのセットプレーでピンチを招くこともあっただけに、先制点の安心感は計り知れないものだった。「開幕戦ということで緊張もあったけど、自分らしく粘り強いプレーができた」(岩崎)。

 昨季はBチームで「あまり出場回数が多くないくらい」の立場で、全国大会も「興奮していた」と素直にスタンドで応援していたという。しかし今季、神奈川県の街クラブ『ライオンズSC』から「どれだけできるか挑戦したい」とやってきた流経大柏で、ようやく主力の座を射止めつつある。

 とはいえ、大勢の部員を抱える流経大柏において、シーズンを通してレギュラーをキープし続けられる選手はほんのわずか。「相手が嫌がるような粘り強いプレーや、諦めずに相手より一歩先に触るプレーが持ち味。数多く試合に出て、良いクロスを上げて、もっと『頑張れる選手』になりたい」。まさに“千里の道も一歩から”。Aチームでの公式戦初陣を良い形で終えた働き者は、チームが頂点に立つ日までたゆまず走り続ける。

(取材・文 竹内達也)
●2018高円宮杯プレミアリーグEAST特集

TOP