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[MOM2466]柏U-18FW森海渡(3年)_2年連続開幕弾! 運命を変えるのは「これから」

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1ゴールを記録した柏U-18FW森海渡(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.7 高円宮杯プレミアリーグEAST第1節 柏U-18 2-0 磐田U-18 味スタ西]

 昨季の悔しさを晴らすためのスタートラインに立った。柏レイソルU-18FW森海渡(3年)はプレミアEAST開幕戦の前半32分、DF貞廣大輔(3年)のクロスにファーサイドで合わせて先制点を奪取。昨季開幕戦に続いて2年連続での決勝スコアラーとなったが、途中失速した昨季の反省を踏まえて「これから」と前を見据えた。

「難しい体勢でしたけど、芯を捉えて決められて良かった」。決勝ゴールの喜びを表現した背番号9の表情は、どこか緊張感に満ちていた。脳裏にあったのは昨季の苦難。京都U-18との開幕戦で2得点を挙げ、2年生エースの覚醒を期待させたものの、その後の17試合でわずか2ゴール。当時を「点が取れない時期が続いて苦しかった」と素直に振り返る。

 あれから1年、今季の開幕戦では1ゴールのみにとどまったが、好スタートを切ったということに意味がある。「去年はここから落ちていったので、『これから』って感じです」。成功の後の挫折を経験したからこそ、そして再び前向きなスタートを切ることができたからこそ、苦しかった経験を乗り越えることができるはずだ。

 今季から就任した山中真新監督も、185cmのストライカーには期待を寄せている。「彼に対する期待はものすごく大きく、持っているものはすごく素晴らしいと思っている。身体にしても、スピードにしても、相手の背後を取るアクションにしても、センスがものすごくいい」。だが、その後には『~してほしい』という言葉が続く。

「自分が持っているものを輝かせてほしいし、持っている可能性をより大きくしてほしい。チームのために走ったり、チームのためにボールを持ったり、チームのために自陣に戻ったり、そういうことをやってほしい」。森の評価を問われた指揮官は「まだまだです」と口にしたが、それは期待の裏返しだ。

 指揮官は今季、柏アカデミーの選手が伝統的に持つ『うまさ』だけでなく、選手個人の『強さ』にフォーカス。「うまさだけでは強くならないし、プロに上がっていくうえでも通用しない」と述べ、普段のトレーニングから積み挙げようとしている。それは森へのアプローチにおいても例外ではない。

 たとえば、クロスの練習。これまでは通る確率が低ければ、良い選択ではないとして避けられる傾向にあったが、現在は「ストライカーを育てないといけないですし、育てるには中にどう入っていくか、相手DFとどう駆け引きするかも必要」と重点化。先週の練習でもトライしていたといい、それがこの日のゴールに結実していた。

 細かい要求はいろいろあるが、総合的には「なんでもできる選手」を目指してほしいと願う。「プロの前線は外国人選手が多いですし、彼らからポジションを奪うには、全ての面で高水準が必要。攻撃だけだと外国人が試合に出ますから」(山中監督)。それは森自身も自覚している。「どんなボールでも決められるようなFWにならないといけない」「守備もできて『FW』って感じ」。いよいよ迎えた最終学年、高いレベルを課されたストライカーが今年こそ覚醒の時を迎える。

(取材・文 竹内達也)
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