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[プレミアリーグWEST]観衆興奮の撃ち合い。G大阪ユースvs名古屋U-18は5-5で決着

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後半8分、名古屋グランパスU-18FW石田凌太郎が右足で勝ち越しゴール

[4.8 高円宮杯プレミアリーグWEST第1節 G大阪ユース 5-5 名古屋U-18 ヤンマー]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2018WESTは8日に第1節3試合を行い、ガンバ大阪ユース(大阪)と昇格組の名古屋グランパスU-18(愛知)との一戦は、壮絶な点の取り合いの末、5-5で引き分けた。

 ともに攻撃を前面に押し出すチーム同士の激しい撃ち合い。名古屋が追求する「止める・蹴る・運ぶ・外す」を随所で発揮すれば、タレント揃うG大阪も個々の正確なボールタッチ、コンビネーションによって中央、サイドから相手のマークを外して幾度もチャンスを作り出してくる。見事なシュートが次々と決まって計10得点。会場のヤンマースタジアム長居は大いに盛り上がった。

 立ち上がり、G大阪に押し込まれていた名古屋が逆に2点を先取した。6分、相手ハンドで得たPKをFW兵藤健斗(3年)が左足で左上に決めて先制。13分には右MF村上千歩(2年)のクロスをファーサイドで拾ったFW石田凌太郎(2年)が再びクロスを入れる。これを兵藤が豪快なヘッドで決めて2-0とした。

 G大阪・實好礼忠監督は「相手の2トップの関係の質が高かったですね。そこにウチが対応できなかった。上手くやられましたね」と振り返っていたが、名古屋は兵藤と石田の2トップの連係に加え、相手の状況を見ながら仕掛けと遅攻を使い分けていた右MF村上、推進力ある動き光る左MF手嶋秀(3年)も相手の守りに穴を開ける。右SB萩野滉大(3年)の効果的なパスなどもあって良い流れで試合を進めていた。

 ただし、守備から立て直したG大阪が地力の高さを示す。MF 岩本翔主将(3年)や17年U-17W杯日本代表MF奥野耕平(3年)の配球から局面を崩してゴールに迫っていく。名古屋はゲーム主将のCB藤井陽也(3年)を中心に良く凌いでいたものの29分、G大阪は敵陣深い位置で左SB吉木大喜(3年)が藤井からボールを奪い返して中央へ折り返す。これを岩本が正確な右足シュートで決めて1点を返した。さらに39分にはコンビネーションから右サイドを突いたSB岡治秀明(3年)がクロス。ニアへ飛び込んだFW 原田烈志(3年)が左足ダイレクトで合わせて2-2の同点に追いついた。

 名古屋の古賀聡監督は立ち上がりの2得点の後、「なかなかボールを受けようという意識が低くなってしまった。嫌なところを伺わずに外に外に逃げてしまったところがあったと思う」と指摘する。後半含めて相手のプレッシャーの速さに“逃げてしまった”部分のあった名古屋に対し、G大阪は勢いのある攻守で試合を振り出しに戻した。だが後半8分、名古屋は自陣でのインターセプトから兵藤の縦パス一本で状況を一変。抜け出した石田が豪快な右足シュートを突き刺して再び勝ち越した。

 だが、名古屋は22分、MF丹羽匠(3年)のスルーパスで左中間を抜け出した交代出場FW塚元大(2年)が左足で同点ゴール。さらに23分、直前に投入されたFW唐山翔自(1年)がファーストタッチで斜めのスルーパスを通すと、今度は右中間から抜け出した塚元が決めて4-3と逆転に成功する。

 逆転された名古屋だったが、カウンターから手嶋がドリブルで長い距離を持ち上がったり、村上がワンツーで右サイドを打開するなど押し返す。そして39分、手嶋の右CKのこぼれを拾ったMF田邉光平(2年)が右足シュートをねじ込んで4-4。だが、チャンスを確実にゴールへ結びつける力のあるG大阪は41分、丹羽の1タッチループパスからDF2人を強引に打開した1年生FW唐山が勝ち越しゴールを奪う。

 1年生FWを祝福するG大阪イレブン。決着がついたかと思われたが、試合はまだ終わっていなかった。43分、名古屋は右CKのクリアボールを村上が右足ダイレクトシュート。これがニアサイドへ突き刺さり、点の奪い合いは5-5のドロー決着となった。

 見る側にとってはスリリングな攻め合いとなったが、一方でクロスの対応のズレや、マークを外された選手の戻りが遅れる場面が見られるなど、課題も残る試合になった。G大阪・實好監督が「何とも言えない感じですね。面白いというよりは締まりのないゲームでしたね」と首を傾げ、名古屋・古賀監督も「もっともっとチャンスをつくってゴールに迎える質を上げていかないといけないと思います。その質を上げることが失点を減らすことに繋がると思います」。他のライバルチームが驚異に感じていたほど、ゴールを奪い切る力を示した両チーム。この日出た課題を改善して、次節は撃ち勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
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