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ハリル電撃解任、田嶋会長会見要旨

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記者会見には多くの報道陣が詰めかけた

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長は9日、都内で記者会見を行い、日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督との契約を4月7日付けで解除したことを発表した。後任として西野朗技術委員長がロシアW杯まで指揮を執ることも合わせて発表された。

以下、田嶋会長の会見要旨

●田嶋幸三会長
「このたび日本サッカー協会は4月7日付でバヒド・ハリルホジッチ監督との契約を解除しました。ハリルホジッチ監督には、前任のアギーレ監督の契約解除のあと、非常に短い時間でチームをつくり、そして見事にW杯予選突破を実行してくれた。みなさんもご存じのように彼は非常に真面目な性格で、サッカーに熱い情熱を持ち、だれよりもサッカーを愛し、多くの時間をサッカーに割き、そしてピッチの上ではその熱い気持ちを選手たちにぶつけてくれた。デュエルという言葉、まさに日本サッカー界に必要だった言葉を彼が植え付けてくれた。

 しかしながら、W杯の出場権獲得のあと、さまざまな試合を行い、最終的には一昨日の契約解除という結果になってしまった。試合の勝った負けただけで監督更迭を決めたわけではなく、みなさんの意見があったから決めているわけでもなく、選手やさまざまな方の意見はもちろん聞いたが、それで決めるわけでもない。ただ、マリ戦、そしてウクライナ戦後に、選手とのコミュニケーションや信頼関係が多少薄れてきた。そして、今までのさまざまなことを総合的に評価して、この結論に達した。

 私は1%でも2%でもW杯で勝つ可能性を追い求めていきたいと考えている。そのために、この結論に達した。新しい監督には内部からの昇格しかないと考えた。これはW杯までたった2か月ということを考え、内部で一番、このチームを見てきた西野氏を監督と決定した。西野氏については、みなさんに説明するまでもないが、アトランタ五輪、柏レイソル、ガンバ大阪、そしてACLでの戦い、さまざまな国際経験も積んできている。大会までたった2か月という期間だが、現在、西野監督はスタッフを編成中で、今週の木曜にすべてのスタッフの編成、さまざまなスケジュールの決定など、この場で記者会見したいと考えている。

 これから新しい体制に移行するが、我々サッカー協会はスムーズに新体制をスタートさせることに全力を尽くす。今、我々がやらなければいけないことは日本サッカー界が結束し、監督、選手、コーチ陣、スタッフ、関わるすべての人々を全力でサポートすることだと思っている。そしてW杯というひのき舞台で、彼らが120%の力を発揮できるように準備していくこと。今こそ、これまで日本サッカー界が蓄積してきた英知を結集し、サポートしていくべきだと考えている。スカウティング、コンディショニング、メディカル。時間はないが、こういうときに我々日本人は力を発揮できると信じている。多くのサポーターやファンのみなさんにはご心配をおかけしています。サッカーファミリーのみなさん、スポンサーパートナーのみなさん、そして日本代表を支えている報道陣のみなさん、そして国民のみなさん、多くのみなさんの熱い期待に添えるように、私たちは全面的なサポートを惜しまない。みなさんとともに、ロシアW杯に臨むチームを支えていく。引き続き熱い応援をお願いします」

―ベルギー遠征後に西野氏は現体制を続けていくと明言していたが。
「メディアのみなさんに嘘をつくということではないが、私たちはどの監督であったとしても、常にさまざまなことが起こることを想定し、さまざまなことを考えた上で議論している。契約解除に至るまでは、W杯予選を突破したあと、その前、さまざまな状況で我々は議論してきた。もちろん西野技術委員長、スタッフ、岡田副会長とも議論しながら、私たちはこのチームが最善の方向に行くことをサポートしてきた。そういう中でマリ戦、ウクライナ戦というベルギー遠征はW杯にとって重要な遠征だった。ハリルジャパンが立ち直る、良い方向に行くきっかけにしたいということで、西野技術委員長は最後までハリルジャパンをサポートするために、何をすべきかということで努力していた。ただ最終的にコミュニケーションや信頼関係の部分がベルギー遠征後に出てきてしまった。それが最終的なきっかけになったのは事実。そして西野監督は先週、日本サッカー協会の理事、技術委員長、そしてJリーグの理事も辞任した。そして私が技術委員長であった西野氏を監督として選んだ。どのようなスタッフにするかは、監督に一任している」

―直接ハリルホジッチ監督に解任を伝えた際の反応は。
「4月7日、フランス時間の18時にパリのホテルで直接会った。今まで彼とは多くのミーティングをしてきた。さまざまな報道にすごく敏感な人で、そのたびに私とは話をしてきた。私は彼にずいぶんと前に言ったが、『メディアからあなたに解任やそういう情報を伝えるつもりは一切ない』『言うなら私から直接言う』と、そのときに申し上げた。実際に法務関係の方とちゃんと話した上でフランスに向かったわけだが、『紙一枚でも構わないんだ』と言われたが、彼が本当に必死に日本代表を強くしようとし、そしてW杯出場権を獲得したという実績を考慮して、私は礼を尽くして直接言うことを選んだ。

 直接言ったときの状況は、やはりビックリしているのが私の印象。まさか、このことを言われるとはと、多少動揺したし、怒りもあった。それは事実。『どうして何だ』と理由を含めて聞かれたのも事実。ただ、あれがあった、これがあった、何があったと羅列するつもりはなかった。事実として、契約を解除すると伝えた。もちろん選手とのコミュニケーションやそういうものが足りないと伝えたが、実際には総合的ないくつかのことがあるのが事実で、辞めていただく方に、その人を傷つけるというより、私たちはそこでしっかりと線を引いたことを伝えるのが大事だと思い、今のようなことを伝えた。彼としては『満足ではない。何でこの時期に』と話していたが、私としてはそれをしっかりと彼に伝え、少しでも日本が勝てるようにしたいという気持ちから、決断に至ったことは伝えた」

―選手もいろいろな表現でチームに意見していたが、ネガティブなものだけでなく、ポジティブな要素もあった。
「もちろん、さまざまな意見があった。私たちはみなさん以上にその状況は把握しているつもりだ。それは予選を突破する前から、ずっと把握しながらやっていて、コミュニケーションの部分、信頼する選手がだんだん変わってきた、それが逆転してしまったのがマリ戦、ウクライナ戦だと認識している」

―溝が深まる前に協会や西野技術委員長の職務として最小限に抑えられなかったのか。
「西野技術委員長のみならず、さまざまなスタッフがこういう状況を含めて、打開しよう、新たな方法を取り入れようと、さまざまなことを議論してきたと報告を受けている。そういう努力をしてきたのも事実だし、ハリルホジッチ監督がそれを自分の方法だと言っていたのも事実。いろいろな繰り返しがあったが、残念ながらそこをしっかりと埋めるまでには至らなかった。それができなかったというのは事実として認めるが、実際にそのトライをしてきたのも間違いないことだと思っている」

―W杯まで2か月での解任はデメリットが多いと思うが、それ以上に代えなければいけない状況に追い込まれていた。
「そのとおりです。間違いありません。逆に言うと、このタイミングだからこそ西野監督になった。もし、もっと前なら西野監督ではないこともあったかもしれない。この時期で、残り2か月しかないということを考えると、この時期だからこそ、この決断をした。それくらいの状況になっていたと私は認識した」

―ベルギー遠征前、あるいはE-1選手権前など、もう少し早くジャッジできることもあったのでは。
「監督を代えることのリスクもあるし、代えないリスクもある。そういうのを常に比べながら、私たちは議論してきた。監督を代えれば、必ず良くなるという魔法があるなら、私たちはその方法を取るかもしれない。我々はそのリスクを考えながら、さまざまな観点から考えて議論してきた。そのたび、そのたびにです。予選をしているときから、ハリルホジッチ監督をサポートすることに変わりはない、これからもやるぞということを常に考えてやってきた。最後の最後のところでそこが変わってしまったということ。タイミングとしては遅いんじゃないかということはあるが、最後までハリルホジッチ監督のチームをまたグッと固まるものにしたいということで3月も努力したが、残念ながらそれができなかった、実現できなかったということ」

―残り2か月で西野監督はこれまでやってきたことを踏襲するのか。どのような日本サッカーを構築していくべきだと考えているのか。
「まさに日本サッカーと言ってくれた。そこは一番大事にしないといけない。もちろん、これまでやってきたことを全部、全否定するわけではない。ただ、西野監督がやりたいこと、やりたいスタッフで全面的にサポートしていく。我々が築き上げてきたスカウティングやコレクティブに戦う日本の選手たちの能力であったり、そういうものもしっかりと出していける日本らしいサッカーをやってほしいと思っている。これは木曜日に是非同じ質問をしていただければと思う」

―他に候補はいたのか。ハリルホジッチ監督が率いていた期間にも監督候補は考えていたのか。
「最終的なこの段階では内部からということで考えた。だから西野監督や手倉森監督など、内部からと考えていた。それまでのところでいなかったのかというと、もちろん常にそういうことは考えていなければいけないと思っていたが、今ここで名前を出すべきではないと思っている」

―ハリルホジッチ監督は最終準備のエキスパートだが、結果的に彼の一番良い面を発揮する前に辞めてもらうことになった。西野監督は実績があるが、短い期間で準備をしたことがない。
「最終的に良いチームにするというところで言うと、やはりチームが一緒になって、お互い信頼し合い、コミュニケーションを取り合ってやれるからこそ、そのことができると思った。ただ、それができないのではないかと思ったから、この決断に達した。ベースはそこだと考えている。そして、緊急事態ということで西野氏にお願いした。それは内部から、今までの準備を知っている人がやるべきだと思った。3週間が短いか長いかは分からない。逆に言うと、短いからこそ、みんなが集中できる。もし、早くやっていたら、違った意味での摩擦が出るかもしれない。この短い時期だからこそ、西野氏にお願いしたというのはある。得手不得手はあるかもしれないが、そんなことを言ってはいられない。残り2か月、実質集まれるのが3週間。そこでやれることをすべてみんなでやるということを考えて、このスタッフになった。具体的なスタッフについては木曜日に話をさせていただく」

―法務と話をしてフランスに行ったということだが、どういう内容の話をしたのか。
「法務のところで相談したのは、どういう形で解除の手続きが完結するのか、契約を途中で切るときにどのような義務が発生するのか。そういうことをしっかりと分かった上でなければできないので、ウクライナ戦のあとに時間を要したのは、そういうところをしっかりとやるということだった。その上でお伝えしに行った。法務上は別にその必要はなかったが、私は彼に誠意を持って伝えたいということで、それが効果があったかどうかは別としても、自分の気持ちとしてはそれを実行した」

―交代するスタッフは。今後、訴訟などになる可能性はないのか。
「現在のところ、ハリルホジッチ監督、そして本人に伝えているのはコーチのジャッキーさん、シリルさん、そしてGKコーチのルグシッチさん。この3名については契約を解除した。サッカーの場合は訴訟はFIFA等に言わないといけないわけだが、そういう可能性がゼロではないかもしれないが、私たちは契約に基づき誠意をもって今後も対応していくつもりだ」

―日本サッカーが目指すべき道。どのようなサッカーを目指すのか。
「基本的な戦術やベースは一緒だと思っているが、監督によってやり方が変わるのは事実。実際にハリルホジッチ監督がやろうとした速い攻撃だとか、そういうものがあったのも事実だし、そういうことが必要なのは私たちも分かっているつもりだ。ただ、それを選手たちができるかどうか、まっとうできるかどうかを踏まえながら、そして今までW杯で通用したところ、しなかったところ、今のサッカーに合うもの、合わないもの、そういうものをしっかり分析して、我々はチームを作らなければいけない。最近は、サッカーに大きな差がなくなっているのは事実。やはりしっかりと自分たちで判断し、監督の指示だけでなく、自分たちがその場その場で一番良い選択ができる、そういう選手たちのプレーを期待したい。もちろん、ベースには監督がやりたいサッカーが出てくると思うが、それは木曜にまた聞いてもらいたい。日本らしいサッカーが確立されてきている中で、やはりそれを私は志向してほしいと思っている。しっかりボールをつないでいくということ。これは私の意見だから、監督がどう思うかは木曜に是非聞いていただきたい。ただ、“これが日本のサッカーだ”と言って、できるものではない。世界のサッカーに私たちがアジャストしていくことによって、それが自然と日本のサッカーになっていくんだと思っている」

―2か月前の監督交代とういことで、会長自身、協会としての責任をどう感じているのか。
「これをそのまま放置してやることで私の責任がなくなるのかというとそうではないと思う。私は日本サッカー協会の会長としてどんなことにおいても日本のサッカーの発展を第一に考えないといけないと思っている。今回、2か月前ではあったにもかかわらず、このような選択をしなくてはならなかったのは、2か月後のW杯での成績を、勝つ可能性を数%でも上げていきたいということ。監督が代わって急に決勝まで行くぞとかドラスティックに変わることはない。それは分かっている。むざむざとそれを見ているわけにはいかなかった。この状況を打破するために監督を交代するという決断をしたということ。ここまでなってしまっているという責任はもちろんあるかもしれないが、みんながハリルホジッチ監督をサポートし、良くしようと、選手も。みんなが努力してきたのは事実。そこのところがバランスが崩れてしまったのが今の状況で、その状況状況で僕らは決断を変えていかざるを得ない。今まではその決断をハリルホジッチ監督に続行してもらうということでずっとサポートしてきたが、ここに来て状況が変わったということ」

―西野氏に監督就任を伝えた時期と反応は。5月31日に予定されているW杯メンバー発表に変更はあるのか。
「西野氏に打診をしたのは先週の前半で、名古屋で会った。その後、金曜の夜にも会って話をしている。彼はすごく慎重な方なので、いろいろなことを考えた上で結論を出してくれた。ただ、最終的には私はハリルホジッチ監督に言ったあとと決めていたので、最終的に決めたのは土曜のパリのあと。慎重な方なので、はっきりとはおっしゃらなかった。メンバー発表など基本的な流れは大きくは変わらないが、それも木曜に分かればお伝えしたい。基本的には今の流れを大きく変えるつもりはない」

―この4年間で監督は3人目。技術委員長も会長も代わった。代表強化の継続性をどのように考えているか。
「会長が代わるのは、2年の任期ごとにその可能性があるわけで、これは自然のものだと思っている。技術委員長も代わっているのは事実だが、基本的な流れは変えてはいけない部分がある。育成の部分や指導者養成の部分、そこの部分はしっかりと過去を踏襲し、今も日本のスタイルを築き上げていると思う。もちろん良い方向に修正し、改善していくのは、当然必要であって、今後も実行していく。人が代わろうと代わらなかろうと、それは実行していかなければいけない。ただ頻繁に代わることが良いことかと言うと、必ずしもそうではないことの方が多いとは思う。ただ、これはその都度、事情があったりするので、一概にそれがすべてダメだというふうにも言えないと思う」

―ハリルホジッチ監督と協会との間でどのような摩擦、コミュニケーション不足を感じたのか。
「協会との摩擦があったとは思っていない。ハリルホジッチ監督は合宿が終わると会長室に来て、よく話をしてくれた。私はサッカーをやっていた身なので、サッカーに対する考え方はあるが、サッカーについては、あくまで技術委員長であったり、コーチ陣がその話をするものだと思っている。だから、摩擦があったということではない。選手やスタッフとの摩擦は当然、少なからずあるものだと思っているが、それについて把握しつつも、今回はそれを越してしまったことで、この決断に至ったということ。協会との摩擦があったとは思っていない」

―コミュニケーションの部分が原因ということだが、選手から聞き取り調査を行った上で判断したのか。
「先ほども申し上げたとおり、コミュニケーション、信頼関係がなくなるというのは、一つの象徴的なことであって、いくつか細かいところを挙げるというのは可能だと思う。ただ、そこが一つの引き金になったのは間違いない。この件だけでなく、さまざまなことについてスタッフなどから話は聞いている。だれということは申し上げないが、直接選手から話を聞いたこともある。だが、それを鵜呑みにするわけではなく、しっかりと全体のことを考えながら話を聞き、そしてそれを改善すべく動いてきた。その結果、最終的にこういう結論を出さざるを得ない状況になったということ。継続してずっとその作業はやってきた」

―こういった例でグループリーグ突破した例はほとんどないが。
「我々が(W杯アジア最終予選の)初戦でUAEに負けたとき、『初戦で負けたチームは予選を突破できない』と言われた。もちろん代えたからすぐに突破できるわけではない。しかし、代えないでおいて、そのまま突破できないケースを、私はむざむざ見ているわけにはいかなかった。少しでも勝つ可能性を追い求めた結果として、この結論に至った。初戦が本当に大切なのは間違いないと思っているが、そこは監督に木曜日に聞いていただければと思う」

―信頼関係やコミュニケーションはベルギー遠征前から良くなかった。そこをつなぐのが西野技術委員長の役割で、その責任がある方に代表監督を任せるのは自然ではないのでは。
「みなさんは一部の選手からコミュニケーションのことを聞いて、そうおっしゃっていると思う。もちろん、一部の選手からそういう意見が出てくるのは我々も把握しているし、全体ではどうなのかも把握しながら、年末のE-1選手権のあと、韓国戦に大敗したあとにも、我々はその議論をして多くの情報を得た。そこでもどうするかを考え、代えるリスクと、だれが次にやったら本当に良いのかを我々も議論した結果、継続を選択した。その中で西野氏はハリルホジッチ監督を最後までサポートした。最後までサポートする、そのロイヤルティーがあるからこそ、今回監督になった。チーム内で足を引っ張ったりするとか、そういうことではなく、技術委員長として代表チームをサポートするということに徹してくれていた。結果としては残念ながらこういう結論になってしまったわけだが、彼はサポートすることを最後までやってくれていたからこそ、私は西野氏を選んだ。協会の努力については、さまざまな選手と話し合いの場を持ったが、協会がやるというよりは技術委員会やスタッフの中で本来やるべきことだし、選手もそれを直接言うべきことであると、彼ら自身も分かっている。みなさんと私でどっちが選手たちのことを知っているのかとか、内部情報を知っているかというのはあるあろうが、内部の人たちがそれを改善しようと思ってやらなければ変わらないわけで、そのことについてはみんなが努力したと認識している。しかし残念ながら、そこが最後まで改善できなかったのがこの結果になったと思う」

―ブラジルW杯後、W杯を戦うためにW杯を知っている、世界のトップを知っていることが監督の選択の理由の一つだった。追い込まれた状況だが、西野氏を選んだことには矛盾がある。
「ザッケローニ監督が成果を出せなかったということの反省、当時の技術委員会の反省で、W杯を指揮していないことが一つ挙げられていた。W杯を指揮している、経験のある監督ということでアギーレさんが挙がり、その次がハリルホジッチさんになった。2人ともW杯で素晴らしい成果を挙げている。ここは緊急事態になってしまったというところ。先ほど申し上げたとおり、最後までハリルホジッチ監督のチームをサポートし続けた西野氏を選んだということ。もちろん、スタッフはみんなサポートを惜しまなかったが、その中でも西野氏の今までの経験等があったということで、今、外部のまったく関係ない人を連れてきて、指揮をさせるリスクの方が高いと思った。だから、内部の人を選んだ。もしこのロジックを続けていくと、岡田監督以外に(日本人で)日本代表の監督ができないことになるので、我々もこのW杯が終わったあとに考えなければいけないと思っている」

―西野氏との契約期間は。後任の技術委員長は。
「契約期間はロシアW杯まで。後任の技術委員長は今、人選しているところで、できれば今度の木曜日には理事会に諮りたいと思っている」

―ウクライナ戦が終わったあとにすぐに気持ちを決めていたのか。ウクライナ戦が終わってから今に至った経緯は。
「ウクライナ戦の前にいろいろ考えているのはシミュレーションであって、具体的に法務的な手続きについて調べたことはない。それぐらいハリルホジッチ監督を信頼し、サポートしていこうという結論になっていた。マリ戦、ウクライナ戦のあと、さまざまな情報を収集して、これが最終的な決断になるかもしれないと思って、さまざまなことを分析し始めた。だから少し時間がかかったというのがここに至った経緯。最終的な意思決定は会長の専権事項だと認識しているが、多くの人に相談した。よく洩れなかったなと思うぐらい多くの人に相談し、この結論に至ったのも事実。ただ、最終的には会長が決めないといけない。特にこのような緊急を要するときの決断ならそうだ」

―いかに技術委員会が機能していなかったのかが分かった。ベスト16のノルマが達成できなかった場合の会長自身の責任はどう取るつもりか。
「この決断をしなければ私の責任はなかったのかということ。会長というのはそのときそのときで日本サッカー協会の発展のために必要な決断をしていくこと。それが責任だと思っている。辞める、辞めないを軽々に言うつもりはない。1%でも2%でもベスト16に入る可能性を上げる選択をしたと考えている。それが私の責任だと思っている。技術委員会がまったく機能していなかったというのは、まったくそんなことはない。彼らは必死になって代表チームをサポートし、どう改善していくかをやっていたのは事実。監督主導でやっているように思われたかもしれないが、そのサポートをしっかりやってきているのも僕はよく見ているので、まったく機能していなかったというのは当たっていないと思う。ベスト16を突破できたら、できなかったらという責任についてはその都度考えないといけない。だれかが辞めれば済むのか、そういう問題かどうかも含めて考えていくつもりでいる。責任ということを恐れて何もしないのではなく、責任を全うする。今の状況で少しでも勝つ可能性を考えてやっていく。その決断をしたことが責任だと思っている」

―ハリルホジッチ監督はW杯メンバーは2段階で発表すると言っていたが、それも変わるのか。
「日程など大筋なところを変えるつもりはない。ただ、今後どうするのか。最終戦が終わって23人にするのか、向こうに連れて行ってから落とすのか。そういうことは木曜日までに分かればみなさんにお伝えしたい」

「私はこの危機をいい方向に持っていきたいと思っている。オールジャパンで、コーチングスタッフ、トレセンコーチ、サッカー協会、JFAハウスにる人、みなさん、メディアを通して応援してくださっている方々。日本がここでしっかり団結していくチャンスにしたいと思っている。残念ながら、違う方向にあったと認識している。それを変えるいいチャンスだと思った。それも含めて、いい方向に向く日本代表にしていきたい。是非応援よろしくお願いします」

(取材・文 折戸岳彦)

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