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チーム再建のカギは選手の“再生” 西野新監督「本来のプレーを出させたい」

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就任会見に臨む西野朗監督

 選手の“再生”を目指す。日本代表西野朗新監督は12日の就任会見で「選手が本来持っているパフォーマンスを出せるチームづくり」を指針に掲げた。ロシアW杯開幕まで約2か月。実質的な準備期間は1か月もない中で「まずは選手の持っているプレー、パフォーマンスを確実に出してもらう、出させたい、表現させたいという気持ちでいる」と述べた。

 技術委員長の立場でバヒド・ハリルホジッチ前監督率いる代表チームを見てきた西野新監督は3月のベルギー遠征で「監督の意図と選手がやらなければいけない、やりたいプレーのギャップ」を感じていたという。縦に速く。デュエル。前監督のコンセプトを否定するわけではない。

「(ハリルホジッチ)監督のスタイルというのは日本のサッカーに足りなかった部分。そのスタイルは間違いなく日本代表チーム、日本のサッカーにとって必要なことではあると思う」。そのうえでハリルホジッチ前監督がチームにその戦術をしっかり落とし込めていたかという部分には懐疑的だった。

「言葉では『デュエル』『縦』とシンプルだが、実際の内容は高度なもので、それを選手たちに強く要求していた。戦術的なところでも選手一人ひとりの役割を厳しく要求していた。それは指導者として当然のことだし、必要なこと。ただ、非常に高い基準で求めているなというのは感じた」

 監督の要求に選手も必死に応えようとした。その作業は当たり前のことで、それ自体がチームづくりと言えるものだが、ハリルホジッチ前監督の就任から3年が経ち、W杯本大会を3か月後に控えた中で、その完成度は決して高くなかった。そこに選手から危機感に近い不満の声もあがるようになった。

「ギャップをなかなか埋められない、選手たちが追いつこうとしても要求に応えられないというのは感じた。チームとしてバランスよく機能していたかと言うと、そのあたりのわずかな差はあったと思う」。その中で後任となった自分はどうチームをつくっていくのか。

 西野新監督は「間違いなく必要なことに関しては継続して考えていきたい」と、前任者の良い部分は継承する考えを示した一方、「日本化した、これまで構築してきた日本のフットボールがある。技術力を最大限に生かし、規律や組織力で結束して戦っていく強さ、化学反応を起こしたうえで戦う強さ。そこをベースにしたうえで構築していくことが必要だと思う」と、より日本の武器を生かしたサッカーに転換する意向だ。

 選手本来のパフォーマンスを最大限に引き出したいという狙いが、その根底にはある。「選手たちがもっと自分のプレー、パフォーマンスを素直に代表チームで出してほしい。代表チームでは自クラブでプレーしている以上のものが当然出るはずで、選手がストレートにプレーできる状況をつくっていきたい」。選手が伸び伸びとプレーすることでその長所を生かし、その相乗効果でチーム力を高める。「あまり個人のプレーに関しては制限をかけたくない」とも言及。「まずは選手たちをいい状態に戻して、本来の自分のプレー、グループとしてプレーできる感覚を持ってほしいということを伝えたい」と強調した。

 ロシアW杯での具体的な目標については「予選(グループリーグ)は突破したい」としながらも、「選手には数字的な目標を大きく与えるつもりはない」と言った。それも「そういう結果は選手たちのプレー、本来持っているパフォーマンスをしっかり出させたうえで付いてくるもの」という信念があるから。「そこを追求したいし、選手たちにも強調したい。選手たちのパフォーマンスをしっかり代表チームの中でも出していける状況を求めていきたい」と繰り返した。

(取材・文 西山紘平)

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