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デュッセルドルフ国際優勝。高校選抜・平野監督「高体連の皆さん方の総力で勝ち取ったものだと思います」

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デュッセルドルフ国際ユース大会で優勝し、胴上げされる日本高校選抜・平野直樹監督(履正社高)

 第96回全国高校サッカー選手権の優秀選手中心に構成された日本高校選抜は3月29日から4月2日まで第56回デュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)に出場し、5年ぶり2回目の優勝を果たした。決勝戦終了後、優勝監督となった高校選抜の平野直樹監督(履正社高)に同大会を振り返ってもらった。

―決勝戦含めて4回先制されましたが、全て追いつき、決勝では逆転勝ちしての優勝です。
「(先制されても)動じないですよね。それは宮本(優太)や田部井(涼)がいて、他が思い切ってできるし、あの2人が兄貴分でいて、後ろで生駒(仁)や蓑田(広大)がしっかりと跳ね返してくれる。後ろの四角形の軸がしっかりしているので思い切っていけますよね。GK(薄井覇斗)も含めてゴール前の中心は木でいうと根っこと幹じゃないですか。太い幹のあるチームだったんじゃないかと思います。それに加えて、色々な枝葉があるチームだったと思います」

―実績があり、攻撃の軸だった飯島(陸)と町野(修斗)から最後は佐藤(颯汰)と荒木(駿太)にシフトした。
「(佐藤颯と荒木には)アグレッシブに前から守備して欲しいし、前からアグレッシブに行ってほしいしということで逆に行けるところまで行ってくれと。行けなかったら後に控えている人間はいるよ、という思いで起用しましたが、行き切ってしまいましたね。彼らも次に飯島と町野がいるから(結果を出さなければ)ヤバイ、と4人で良い競争ができたと思います」

―オランダでの練習試合2試合を含めて全8試合無敗でした。
「嫌らしい話なんですけれども、勝ち切り方、試合の終わらせ方っていうことにこだわって、我々のチーム独自のやり方なんだけれども、進めていこうと話していました。良く選手たちがやってくれました」

―合言葉の「前後際断」ができるチームだった。
「福島の田坂監督が御殿場合宿で一緒で、年末(年始)の候補合宿の時も指導者の集まりがあって、その時に一緒に食事をしている時に田坂くんに会っていました。彼も高校選抜を経験しているし、日本代表も経験しているので、そんな経験から『ちょっと話してくれない?』とお願いしたら、快く引き受けてくれた。その時に彼が言った言葉が『人は変えられないけれども、自分は変えられる』ということと禅の言葉で『前後際断』という言葉を言ってくれて、『今に集中しろ』ということで我々は良く言ったりもするんだけれども、彼の言葉がみんなの頭にちょうど残っていたので続けて自分たちも活用させてもらいました」

―良い合言葉になっていた。
「蓑田なんかがね、切り替えの時に『前後際断、前後際断』って言っていたのでドイツに来てからミーティングのスライドで使わせてもらいました」

―今に集中するチームだった
「点取ったから勝てるんじゃない。全ては試合が終わるまで、自分たちで最後まで諦めないこと。レフリーが最後笛を吹くまで勝つために最善を尽くそうと。攻めるだけじゃないし、守るだけじゃないし、そういう意味では選手たちがプランを理解してくれてできたんじゃないかと思います。目標は勝つことだからズルさだったりも出してくれた。良いサッカーして勝てればいいんだけれど、相手も我々がやりたいことをさせないように妨害してくるし、勝つために何をしなければいけないかということで、その状況、スコア、時間帯、選手が判断して今何をすべきかできるようになってきたというのは、少し子供から大人のサッカーになってきた。また、日本でいうサッカーというものから、言い方が変わるんだけれどもヨーロッパのフットボールに代わってきたと思います」

―今年の選手たちはフットボールをやりに来て、フットボールができた。
「お世辞だと思うんだけれども、『今まで来たチームで一番いいチームだ、日本が勝つべきして勝ったチーム』ということで決勝を見に来て頂いた方にも言って頂いたりして。お世辞半分だとしてもクオリティがそんなに低いクオリティじゃなく、フットボールをちゃんとやってくれたと思います」

―来年の子どもたちにも高校選抜でやりたい、と印象づけるようなチームになったのでは?
「決勝など苦しいゲームはもちろんあったけれども、負けない、勝ち切ることができた。最初はリーグ戦でしたから、リーグ戦トータルして2位に入ること。それがないと優勝できないので、引き分けOKのゲームもある訳ですよね。引き分けOKのゲームを引き分けることが日本人はなかなか苦手な訳で、そのゲームコントロールができない中でウチの選手はゲームコントロールをしてくれていた」

―優勝監督に。良いスタッフにも恵まれた。
「私の力はパーセンテージでいうと3割あるかないかじゃないですか。優勝できたのは日本の高校サッカーに対する指導者たちの賜物なんですよ。宮本や田部井のようにあそこまでキチッとできないですよ。荒木にしても最後まで走れるし、(佐藤)颯汰にしてもプロにもなっているから出たいと思うけれども、出れなくても諦めなかった。我慢強く子どもたちを育ててくれた力の集大成であって、それをお預かりしていた。そのお預かりしていた選手たちがいいコンディションでできたというのも、ドクターやトレーナーのお陰でもあるし、私が一から十までやらなくてすんだのもスタッフがパイプ役としてやってくれたからでもあるし、陰で支えてくれた主務の先生方、選考に携わってくれた高体連の皆さん方の総力で勝ち取ったものだと思います。(勝因は)日本の高体連の総力です」

―50分間ゲーム6試合が選手たちにとって良い経験になった。
「ここから代表選手が出てくれるのが本当に楽しみですよね。俺たちは俺たちなりのやり方で勝てるというその自信を持ってね。(どこかのチームと)同じサッカーでやる必要は全然ないし、どこのチームのマネではなく日本の子たちがやったサッカーで勝てたのが良かった。素敵な仲間の集まりだったと思います」

(取材・文 吉田太郎)
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